続いては、Savage Interactive Pty Ltdが提供する、俳優のモーガン・フリーマンの写真に見えるような絵を書いたツールとして今後も語り継がれであろう驚異のペインティングアプリ「Procreate」だ。このアプリはプロフェッショナルな現場で利用されるケースが多い。マイナビニュースでは、美術家のヴァスコ・ムラオ氏の例、イラストレーターである橋本孝久氏の例、そして、 アップルのキャンペーンサイト「新しい何かを始めよう。」でも作品が紹介されたグラフィックアーティストの牧かほり氏の例を取り上げてきた。iPad Pro+Apple PencilとProcreateの組み合わせについて彼らは「創作の可能性が広がった(ヴァスコ・ムラオ氏)」「水彩画の二度と再現できないニュアンスと近い描写が可能なんじゃないかと思えるようになりました(牧かほり氏)」「結果から言うと相性は、GOOD!!(橋本孝久氏)」といったコメントを残してくれている。

プロの作家に愛用されているから、きっと操作も複雑なのだろうなと思われたかもしれないが、さにあらず、UIはシンプルかつ操作も簡単で、キャンバスで作業するのに集中できるように仕上げている。絵心ないです、という人でもすぐに始められそうだ。Apple Pencilとのコンビネーションも抜群で、筆圧のレスポンスもよく、遅延のない正確な反応を示してくれる。

アプリの機能の特徴としては4Kのアートボードの作成が可能であること、レイヤー機能が使えることが挙げられる。レイヤーキャップを使用すると、作成できるレイヤーは無制限となり、基本的に使っているデバイスの処理能力に依存する。となれば、ここでもA9Xプロセッサを積んだiPad Proにアドバンテージがある、ということになる。描画エンジンには64ビットOpenGLを利用した「Silicaペインティングエンジン」を搭載。これにより正確な色表現を可能にしている。

ユーザー独自のブラシを作成できる

ユニークな機能としては、ユーザー独自のブラシを作成できるところだ。iPad Proのカメラで人物を撮って、それを加工してブラシのパターンとして適用できる。作ったブラシのストロークはスタンプを貼り込んだようなテイストとなるが、ブラシのシェイプとグレインのソースは自分で撮った写真だけでなく、プリセットのライブラリなどからも選択可能だ。

Procreateでは、変更ボタンを使うことで遅延なくキャンバスからカラーを選ぶことができるのだが、上級者向けに「Quick Menu」なる機能が追加された。よく使う機能を一発で呼び出せるショートカットの一種なのだが、これを利用することで、Procreateに慣れてる人なら作業効率が飛躍的に向上することだろう。

また、「ストリームライン」という機能では、創作過程を全部記録し、それをムービーとして書き出すことができる。これもまたユニークな機能で、作家の思考がどのようなものか伺えるものになっている。筆者は昔、ピカソのドキュメンタリー映画を観たことがあるのだが、そこで収録されていた創作過程のタイムラプスを思い出した(ピカソは一度仕上がった絵を全部白く塗りつぶしたりしている)。