スマートフォンの運用コストを節約できる"格安スマホ"(格安SIM)が注目を集めている。格安SIMとは、MVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる事業者が、大手キャリアのネットワークを利用して提供する通信サービス。さまざまな事業者が参入し、各社それぞれ特徴のあるサービスを提供しているが、「各社のサービスはどう違うの? 」「自分の使い方に向いているサービスはどれ? 」などと疑問を感じている読者も多いかもしれない。

そこで本企画では、毎回個別の格安SIMサービスを取り上げ、その特徴を紹介していきたい。今回は、KDDIバリューイネイブラーが提供する「UQ mobile」について紹介する。

auの4G LTEネットワークに対応したMVNOサービス

「UQ mobile」は、KDDIバリューイネイブラーが提供するMVNOサービス。同社は、柔軟なモバイルサービスを提供することを目的にKDDIが設立した子会社となり、自社ブランドとしてUQ mobileを提供するほか、パートナー企業によるMVNOサービスの提供を支援していく。"UQ"といえば、KDDIグループのUQコミュニケーションズが提供する「UQ WiMAX」が知られているが、UQ mobileは、その"兄弟ブランド"という位置付け。同サービスはauの4G LTE網に対応したMVNO方式の通信サービスとなり、利用エリアはau 4G LTEと同様だ。

KDDIバリューイネイブラーが提供する格安SIMサービス「UQ mobile」

同サービスでは、データ通信専用SIMに加えて、090/080/070番号に対応する音声SIMを提供。音声SIMはMNP(携帯電話番号ポータビリティ)にも対応する。SIMカードのサイズはmicroSIM/nanoSIMの2種類から選択可能。同サービスの対応端末は、SIMフリー端末およびauスマートフォン・タブレットとなるが、auの4G LTEに対応していることが条件となる。なお、動作確認端末は、同サービスのWebページで確認できる。

UQ mobileのSIMカード単体の料金プラン

料金プランについては、データ通信専用SIM、音声SIMともに、月間3GBまで下り最大150Mbpsの高速通信を利用できる「データ高速プラン」、月間の通信容量が無制限で最大500kbpsの通信を利用できる「データ無制限プラン」という2種類のプランを用意。データ高速プランで月間3GBの通信容量を使い切った場合、通信速度は最大200kbpsとなる。

なお、月間3GBを使い切ったときに、通信容量を追加チャージするサービスは現時点では未提供。また、データ通信専用SIMには最低利用期間は設定されていないが、音声SIMには12カ月の最低利用期間が設けられており、期間内に解約した場合、9,500円(税抜)の契約解除料がかかる。

SIMカード単体のコースに加え、SIMカードと端末のセットコースも用意されており、京セラ製のAndroidスマートフォン「KC-01」、LG Electronics製のAndroidスマートフォン「LG G3 Beat」の2機種を提供。端末代金は月額料金に上乗せして24カ月間、加算料を支払う「端末購入アシスト」を利用すれば、端末購入時の一時的な負担を軽減することが可能だ。

このほか、同サービスでは、データ通信専用SIM、音声SIMともにSMS、テザリング機能が標準サービスで提供されるほか、音声SIMでは着信転送サービスや割込通話サービス、番号通知リクエストサービスを月額料金無料で利用可能。また、有料のオプションサービスとして、留守番電話/三者通話/迷惑電話撃退サービスの「電話基本パック」、端末購入時に加入できる「端末補償サービス」「メールサービス」も提供されている。

公式オンラインショップのほか、家電量販店などの店舗でSIMカードを購入できる

同サービスへの申し込みは、公式オンラインショップのほか、エディオン、ジョーシン、ビックカメラ、ケーズデンキ、ソフマップ、ヤマダ電機、コジマ、ノジマ、ヨドバシカメラといった家電量販店でも受け付ける。即日開通店舗は、2015年7月17日現在で全国275店舗。

UQ mobileの特徴とは?

格安SIMサービスでは、NTTドコモのネットワークを利用するサービスが大多数であり、auのネットワークを利用するサービスは、UQ mobileのほか、ケイ・オプティコムが提供する「mineo」など、ごく僅かに限られる。そのため、UQ mobileの最大の特徴は、auの4G LTE網に対応することだといえる。

auの4G LTEでは、2.1GHz帯、800MHz帯のLTEを利用でき、"つながりやすい"とされるプラチナバンドの800MHz帯の人口カバー率は99%超。エリアが広く、高品質なLTE通信が同サービスの特徴であり、KDDIバリューイネイブラーの担当者は「品質の良さにこだわって提供している」とする。なお、同サービスの音声SIMは、音声通話にはauの3Gを利用する仕様だが、通話品質についても「auと同様」(同社担当者)だという。

また、料金プランに関しては、データ通信専用SIM、音声SIMともに「データ高速プラン」「データ無制限プラン」の2種類のみとなっているが、同社担当者によれば、「シンプルでわかりやすいプランにした」とのこと。しかし、ただシンプルにこだわるのではなく、SMSやテザリング機能を標準サービスとして提供するほか、留守番電話や端末補償サービスなどをオプションとして用意することで、「ベースの部分の安心を充実させている」(同)とする。

さらに、前述の通り、全国275店舗という即日開通店舗の多さも同サービスの特徴。家電量販店のほか、一部地域のスーパー、複数キャリアを取り扱うケータイショップなどでMNP転入を含む即日開通が可能となっており、今後も即日開通店舗を拡大していく方針だという。なお、同サービスでは、オンラインショップでMNP転入を申し込んだ場合でも、SIMカードが届いてから開通手続きを行うため、既存のSIMカードは直前まで利用できる。一般的な格安SIMサービスの場合、オンラインからMNP転入を申し込むと、電話番号が数日間使えなくなるので、切れ目なく電話番号が使えるのは同サービスのメリットだといえるだろう。

同社では、今後も格安SIMサービスを使うユーザーの裾野が広がることを見据え、多様なニーズを満たすために、「様々なサービスの展開について今後も検討していきたい」(同社担当者)としている。