説明会では、4K番組の特徴について、さまざまなジャンルの番組映像を流しながら紹介。プロ野球中継では、フィールド全体を映した映像カットでも、ボールの位置が分かる高画質のため、まるで球場で観戦しているような広いサイズでのカットが可能になった。従来のハイビジョンでは、引いたカットではボールが見えないため、選手にズームして、カメラの切り替えを繰り返すという手法をとってきた。それが、4Kでは、ランナーの動きを見て、送球の判断を決める選手の動きが、全体像で見ることができる。

Jリーグ中継では、4Kスーパースローを導入。まるでスチール写真の連続のような鮮明さで、ボールタッチの柔らかさから、ドリブルする選手の息遣い、目線までも分かるようになった。

プロ野球中継(2015年3月29日 阪神-中日戦)

Jリーグ中継(2015年3月7日 ガンバ大阪-FC東京戦)

音楽ライブの例では、ジャズピアニスト、ハービー・ハンコックがブルーノート東京で行ったコンサートの映像を上映。パープルがかった会場の照明から、出演者の楽器の質感はもちろん、最前列の観客が飲むカクテルの種類や減り具合まで判別できる鮮明さだ。もちろん高音質で、臨場感あふれる番組となっている。

また、ドキュメンタリーとして紹介したのは、今年3月に岩手県で行われた「蘇民祭」を追った番組。暗闇の中で行われた祭りだが、4Kではカメラの感度を従来より4倍程度まで高くすることができるため、明るく、ノイズの少ないクリアな映像で撮影することができたという。

ハービー・ハンコック ライブ(ブルーノート東京)の番組

奥州・黒石寺「蘇民祭」のドキュメンタリー番組

そして、中でも報道陣が見入ったのは、1959年の皇太子殿下・美智子妃殿下(当時、現・天皇皇后両陛下)のご成婚パレードの記録映像だ。当時の35ミリフィルムの映像が、4Kデジタルリマスターされることで、鮮明な映像に生まれ変わった。実家を出発する美智子さまが羽織るケープの毛並みから、当時の東京の道路の舗装状況まで、細部にわたってリアルに伝わってくる。

実は、35ミリフィルムの映像は非常に情報量が多く、従来のハイビジョン映像では、その一部しか再現できていなかった。今回、4Kにリマスターすることで、その再現度が大きく高まったことになる。この番組は、7月26日に放送予定だ。

1959年の皇太子殿下・美智子妃殿下(当時)ご成婚パレード

このほか、俳優の堺雅人が出演する、スカパー!4KのCMも紹介した。スカパー!の4K専門チャンネルでしか流れていないもので、米粒を口元につけて森の中で座っている堺が、4K映像だからこそ、遠くからでも米粒がついていることが分かるということを説明。冷静ながらユニークな口調で「今まで見えなかったものが、見えてきます」と語りかけている。

堺雅人が出演するスカパー!4KのCM


スカパーJSAT高田社長「いよいよ4K時代の到来を実感いただける」

4K対応テレビは、各メーカーから続々発売されており、昨年12月に出荷された薄型テレビのうち、4K対応テレビの割合は7.2%となっている。今後、2017年には、現在主流の2Kと4Kのシェアが逆転し、2018年には4K対応テレビが、テレビ出荷台数の約65%を占めると予測されている。

そうした中で、6月20日には、4Kテレビのトップシェアを持つソニーから、スカパー! プレミアムチューナーを搭載し、4K放送・配信に対応した液晶テレビ「ブラビア」3シリーズ7機種が発売される。

登壇したソニーマーケティングの白拍子誠一ホームエンタテインメントプロダクツマーケティング部ディスプレイMK課統括課長は、高画質に加えて「ソニーのオーディオメーカーとしての高音質技術をすべて搭載している」と説明。画面の両サイドにスピーカーを配置しており、テレビとして初めてハイレゾ音源に対応した。白拍子氏は「迫力とともに感動をお伝えできるのではないかと思っています」と自信をのぞかせた。

ソニーマーケティング白拍子誠一氏

スカパーJSAT高田真治社長

また、スカパーJSATの高田真治社長は、放送の歴史の中で、カラー化、ハイビジョン化、デジタル放送化というさまざまな技術の進歩があったことを踏まえ、「ビジュアル面での進歩は、必ず視聴者さんが評価してくれると経験上学んでいる」と力説。「われわれの番組と、テレビが市販されていくことで、いよいよ4K時代の到来を実感いただけるのではないか」と、今後の普及への期待を語った。

スカパー!では、4Kの普及に向け、さまざまなキャンペーンを実施中。4K専門チャンネルが視聴できる「スカパー!プレミアムサービス」の新規契約で、アンテナ取り付けサポートや、加入料無料のサービスが受けられるほか、4K対応ベーシックチューナーのレンタル料の割引などを行っている。

説明会後にはメディアセンター内も公開された(左から スタジオ、MA編集室、スカパー東京メディアセンター外観)