器の中にはほぼまるごと魚の炒め煮が

香港の超ディープな下町エリア佐敦(ジョーダン)。このエリアのさらに奥深く、ナイトマーケットで有名な男人街の裏道にあるのが「和味生滾粥」だ。雑然とした路地に突如ミシュランのマークが現れ、一瞬このギャップに驚くが、夜遅い時間でもひっきりなしに地元のお客さんが訪れる人気店なのである。

ディープな男人街の真ん中で約20年、「和味生滾粥」は地元の人に愛されている

店主イチオシの「和味四寶宝粥(●(●は「月南」で一文字)、嘴、骨、ト)」51香港ドル(約780円)は、魚の腹部分、頭、骨と浮き袋という意味。つまり、"ほぼまるごと"なのである。この魚は「カン魚」といって、お粥といえばこの淡水魚なのだそうだ。

魚の鮮度には特にこだわり、毎日朝イチで仕入れるのだが、足りない時は午後もまた届けてもらうほど。魚はオーダーごとに厨房でさばくので、限りなく新鮮で臭みは全く感じない。調理されてきたお粥を混ぜると、中から大きな魚の頭をはじめ、白身、内臓など、様々な具が姿を現す。主役がお粥か魚か迷ってしまうほどだ。

「和味四寶宝粥(●(●は「月南」で一文字)、嘴、骨、ト)」を掘り起こすと大きな魚の頭が顔を出す

魚の浮き袋はコリコリしていてコラーゲンもたっぷり。お粥の中身の写真が壁に貼ってあるので分かりやすい。店には日本語メニューもある

すりおろしショウガが味をしめる

この店の人気の理由は、酒とショウガをきかせたベースのお粥に、新鮮な魚を炒めて入れ煮込むという濃厚さだ。肝心のお粥の味付けは豚肉の赤身と干し貝柱でダシをとり、酒とショウガ汁を加えて調整している。

通常のお粥には刻んで入れることが多いショウガだが、ここではすりおろして絞るという丁寧ぶりだ。魚を炒めることで深い旨味を出し香りも高め、これまたお粥を食べていることを忘れてしまうかのような味わいなのだ。しっかりきかせたショウガ味が食欲を増進し、かなり満腹になること必至なのである。

「和味四寶宝粥(●(●は「月南」で一文字)、嘴、骨、ト)」のほか、日本人に一番人気の定番粥「皮蛋痩肉粥」(ピータン粥)は、大きなピータンが入って34香港ドル(約520円)

和味生滾粥 Delicious Congee(OpenRice掲載ページ)

※1香港ドル=15.2円で換算。記事中の価格・情報は2014年10月取材時のもの