すでに現在では死語となりつつあるネットブックだが、当時この市場対策のためにライセンス価格の大幅引き下げやライセンス価格の低い機能限定版Windowsの提供を行い、Linux等のライバルへの対抗とした。つまり販売台数は伸びているにもかかわらず、ライセンス単価減少がMicrosoftの売上減となって跳ね返ってきている。

この傾向は同年第4四半期にさらに顕著になる。同四半期の売上は前年同期比17%減であり、引き続きのPC市場不調に加え、企業向けも不調に終わったためだ。

同時期のCisco SystemsやOracle等、他のエンタープライズ向けソフトウェア/ハードウェア企業の決算を見ていると、企業の投資引き締めにより不況期は特に業績が悪化する傾向がみてとれる。主に新規投資やリプレイスが中心となるCiscoはそのダメージが大きく、Oracleは既存ライセンスは維持されるものの、新規ライセンス購入は停滞する。

逆に、不況とはいいつつもコンシューマ市場は比較的底堅いビジネスを展開することが多く、この時期にはiPadやiPhoneの新モデルが登場して、それに続く関連ベンダーも大きく潤うなど、成長のドライバーとなっていた。Microsoftは2009年度にコンシューマとエンタープライズの両方で頭打ち傾向に見舞われ、この時期を境に「さらに底堅いライセンスモデル」への意向を模索し始めたのではないかというのが筆者の予想だ。

Microsoft内部で進む事業シフト

Microsoftは去年2013年に組織改定を行っており、正確な売上比率の推移はつかめないが、コンシューマ比率を落としてエンタープライズへとシフトしていく傾向は依然として続いているとみられる。

同社は現在、事業を「Devices and Consumer Licensing」「Devices and Consumer Hardware」「Devices and Consumer Other」「Commercial Licensing」「Commercial Other」「Corporate and Other」の6つに分けて売上を集計しており、1つめは主にコンシューマを対象としたWindowsとOfficeのライセンス、2つめはXboxやSurface等のハードウェア、3つめはXbox LiveやBing等のオンライン事業、4つめはWindows ServerやCALを含む企業向けボリュームライセンス、5つめはAzureやOffice 365のオンライン事業、6つめはその他残りとなっている。