ベンチマークで性能を検証

さて、ここでは各種ベンチマークテストを通じてQH77/Mの処理性能やバッテリ駆動時間を検証していく。QH77/Mが搭載しているCPU、Core i5-4200Uは2コア4スレッド、動作クロックは1.6GHz/ターボ・ブースト時2.6GHz、TDP15Wというスペックだ。しかし、その性能はオプションの「ターボモード用拡張クレードル」にドッキングさせるとフルに発揮される仕組みとなっている。

(左)HWiNFOによるCPUとGPUの情報。(右)QH77/M単体でファイナルファンタジーXIV公式ベンチマークを実行しながら、タスクマネージャーで動作クロックを観察した様子

今回は性能検証が可能なターボモード用拡張クレードルを用意できなかったため、QH77/M単体での性能について、同じCPUを搭載した「LIFEBOOK UH90/L」、Atom Z3770を搭載した防水タブレット「ARROWS Tab QH55/M」と比較しながらみていきたい。

■PCMark7
機種名 UH90/L QH77/M QH55/M
PCMark score 3637 2887 2554
Lightweight score 2267 1726 1457
Productivity score 1685 1288 1085
Entertainment score 2672 2512 1681
Creativity score 7017 5601 4671
Computation score 12325 6755 6598
System storage score 3605 4957 3667
■3DMark
機種名 UH90/L QH77/M QH55/M
Cloud Gate 2837 2463 974
■ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア
機種名 UH90/L QH77/M QH55/M
1280×720ドット 標準品質 2221 1629 888

QH77/Mと同じCore i5-4200Uを搭載したUH90/Lとの比較では、PCMark 7の総合スコアで約20%、3DMarkのCloud Gateで14%、ファイナルファンタジーXIV公式ベンチマークで約27%低いスコアとなった。一方、Atom Z3770を搭載したQH55/Mとの比較では、PCMark 7の総合スコアで約13%優位に立った。QH55/Mに対しては3D性能も大差をつけているが、ファイナルファンタジーXIVクラスとなると標準品質でもプレイは厳しい。

次にbbenchを使ったバッテリ駆動時間の検証結果を見てみよう。JEITA測定法によるQH77/Mのカタログ値は、タブレット単体で約16時間、キーボード接続時で約13時間となっている。後者が短いのは、キーボードの電源がタブレット本体から供給されるためだ。bbenchの設定は定時キー入力、Web巡回とも有効、Windows 8.1の電源設定は「省電力」、液晶の輝度を40%に固定してテストしたところ、タブレット単体で約5時間18分という結果だった。

冷却ファンの動作については、bbench開始後2時間あたりから次第に回りはじめた。動作音は低めなので、それほど耳障りではなく、回転数を細かく制御している様子もうかがえた。そして、3時間を超えたあたりからファンの回転が最大となった。

オプションの「ターボモード用拡張クレードル」とドッキングした様子。QH77/Mの下面から強制的に空気を送り込むことでCPUを冷却する

ターボモード用拡張クレードルは左側面から背面にかけて吸気口を設けている。4基のUSB 3.0、D-sub、HDMI、有線LANも備える

まとめ : ターボモード用拡張クレードルは必要か?

検証結果を見てのとおり、QH77/Mの性能をフルに引き出したいのなら、オプションのターボモード用拡張クレードルは必須となる。しかし、QH77/Mをサブマシンとして使うとか、動画編集などMAXのCPUパワーを必要とする作業は行わないというなら話は別だ。

Microsoft Officeを使ったビジネス用途、ネット閲覧やSNSでのコミュニケーションといった用途が中心であれば、QH77/Mにフルパワーを要求する機会は少ないだろう。見やすい画面サイズでWindows 8.1を満喫できる防水・防塵タブレットがほしいなら、QH77/Mは事実上唯一の選択肢となる。

オプションのキーボード・ドッキングステーション。適度な重量があり、タブレット本体とドッキングしたときのバランスは良好だ。2基のUSB 3.0、D-sub、HDMI、有線LANを利用できる

製品名 ARROWS Tab QH77/M
CPU Intel Core i5-4200U (1.60GHz)
メモリ LPDDR3-1600 4GB (2GB×2)
グラフィックス Intel HD Graphics 4400 (CPU内蔵)
ディスプレイ 12.5型ワイド液晶 (1,920×1,080ドット、タッチパネル)
ストレージ 128GB SSD
ネットワーク IEEE802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0+HS、NFC
インタフェース USB 3.0×1、USB 2.0×1、microSDカードスロット、500万画素Webカメラ、200万画素Webカメラなど
サイズ/重量 W309.6×D199.3×H11.9㎜/約980g (タブレット単体)
W309.6×D212.7×H20.0mm/約1.67kg (スリムキーボード接続時)
バッテリ駆動時間 約16時間 (タブレット単体)
約13時間 (スリムキーボード接続時)
OS Windows 8.1 64bit
店頭価格 205,000円前後