iOS向けの専用UIと操作感が◎、艦これもスムーズ。ネックは価格

さてリモート艦これを試した所感だが、先述したように使い勝手はなかなか良好だった。実はParallels Access以前に、同様の遠隔操作ソフトウェア「TeamViewer」を使用したこともあったが、Parallels Accessは拡大・縮小の動作がスムーズだったり、1本指でのスクロールが可能と、特徴の1つでもあるiPad向けのUIと操作性が使いやすい。

特に拡大縮小操作は他のリモートソフトウェアでは対応してないものも多いが、艦これの表示をiPadの画面に最適化させるのに便利だった(そうクリティカルな問題ではないが…)。iPadに合わせ画面を拡大縮小をした場合、PC側ソフトでの拡大縮小も行われる。例えば艦これのメイン画面の表示をiPadのサイズに最適化させた場合、PC側のブラウザは110%拡大した状態で表示されている。

PC側の画面解像度はiPadに接続すると自動的に変更され、接続を解除すると自動的に戻る。ただし、上記のように手動で起動ソフトに対し拡大縮小操作を行った場合は、接続解除してもPC側のアプリも拡大されたままとなる。

母艦となる家のデスクトップPC。モニタ解像度は1,920×1,080ドットのフルHDだ。左は通常の解像度で全画面表示した場合。右はiPadからParallels Accessでリモートで動かした場合の画面

iPadで艦これを動かしてみたところ。通信状況によって自動的に画質が変動する

リモート接続すると、PC側のモニタ解像度が、設定していた1,920×1,080ドットから自動的に1,024×768ドットへ変更される。接続を解除すると自動で元の解像度に戻る

PC側で何もアプリを動かしていない場合、iPad側にPCにインストールされているソフトウェアが表示される(App Launcher画面)。画像は初期表示のものだが、ここに良く使うソフトウェアを登録できる

基本的にはデスクトップ画面などは共有されず(設定でデスクトップを表示することは可能)、あくまでPC内のソフトウェアのみをリモートで操作することが主眼のアプリ

リモートといえば動作の遅延が気なるが、ネットワークの環境によりPCブラウザ利用時と同程度の良好な時もあれば、環境が悪い場合は体感1秒程度の遅延を感じる時もあった。ただ、LTE回線でもスムーズに動くなど全体通してみると悪くない印象だ。家庭内の同一ネットワーク内で試した限りではほとんど遅延なく利用でき、寝る前、PCから離れて寝ころびながら艦これをたしなむ際にも重宝した。

XPERIA Z(SO-02)からドコモのLTE回線によるテザリングで艦これをを試したところ、Wi-Fi接続時よりわずかに画質が下がったが、コマ落ちなどの遅延はなく、スムーズにプレイできた。ちなみにLTE電波強度4本の場所でiPadだけを接続し、10分間艦これをリモートプレイした場合のテザリング通信量は98.24MB。このほか2回試してみたが、いずれも通信量は100MB前後となった。1アプリの通信量としては多いが、これくらいならば筆者が加入している、ドコモのXi用プラン「Xiデータプラン ライトにねん」の上限3GB通信制限にもさほど影響がなく、"空き時間にちょっと電ちゃんと遊ぶ"という夢が広がるといえよう。

ドコモLTE回線で10分間使用した場合のテザリング結果

Parallels Accessを使用してみての具体的なメリットをざっと挙げると、「iOSのズームやスクロール操作などに対応」「アプリのみを遠隔操作できる」「操作UIがシンプル」「電波環境が良い場合は画質や反応速度が良好」…といったところ。

また、(自分の中では)艦これプレイ以外の用途を想定していなかったが、ある日、必ずその日中に上げなければいけない記事のデータを、家のPCで開きっぱなしにしたまま忘れてきたということがあった。そこでiPadから家PCにアクセスし、開いていたテキストをSkydriveに保存したところ、無事に会社PCからデータを拾うことができた。Parallels Access特有というよりは遠隔操作ソフト自体のメリットではあるが、会社PCからの遠隔操作は社内で推奨されていないため、iPadから手軽に操作できるのは助かる。

母艦PCのデスクトップ画面を表示して遠隔操作できるモードも搭載する

FキーなどのWindows特有のキー操作や、マウスの右/左クリック操作も可能

母艦PCで起動中のアプリがタイル状で表示されるモード。タップ操作で全画面表示できる

艦これだけでなく、音楽のリモート再生や先述のテキストメモの共有もできた。遠隔操作アプリなので当たり前ではありますが

接続中してもPC側でソフトを起動していなかった場合(もしくはiPadからのソフト遠隔操作を終了した場合)、PC側のデスクトップはこの状態に

一方、細かい部分でデメリットも幾つかある。一時間も放置すると、iPadが持っていられなくなるほど熱を持ち、電池消費も激しい。また、想定内だが通信環境が悪いと艦これがコマ落ちすることもないとはいえない。そして、大きな部分では、やはり価格。サブスクリプション制かつエージェントPC1台につき年額77.99ドル(約7,600円)は、1台だけなら良いが数台のPCに導入したい時にはハードルが高いだろう。2台目以降は価格を下げるなどの仕組みがあるとうれしい。

ただし。個人的には、艦これに加え本来の用途であるリモート用ソフトウェアとして割り切れば悪くない価格であり、10月30日時点では期間限定の30ドルオフセールにより49.99ドル(10月30日現在、国内向けApp Storeでは5,000円で販売中)で購入できるので、検討の余地はある。その部分を加味しても、現状「iPad」で艦これをプレイする選択肢としてはなかなかに魅力的だ。Windowsのエージェントソフトが正式版になるまでは無料で利用できるので、気になった提督諸氏は無料期間中に試してみると良いだろう。

「仕事中です」と見せかけて艦これ、という手も(※仕事です)