フラットパネルディスプレイやタッチパネル、有機ELといった業界の最新技術が一堂に会するディスプレイの専門技術展、ファインテックジャパンが10日に開幕した。テーブルとディスプレイが一体化した製品のほか、巨大なサイネージ製品などの展示を紹介しよう。

ディスプレイの専門技術展、ファインテックジャパンが東京ビッグサイトで開幕。展示は4月12日まで行われる

タッチパネル研究所

タッチパネル研究所では、テーブルにタッチディスプレイを埋め込んだ「フルフラットタッチテーブル」をデモ展示。「リビング型1面式」は、Windows 8の操作を行える32型ディスプレイを内蔵した製品。ディスプレイの大きさは10~60インチ程度まで変更可能だという。

会場に展示されていたリビング型1面式(32型)。Windows 8の2点マルチタッチに対応する。Windows 8のほか、Windows 7も搭載できる

タッチ検出には、投影型静電容量方式(PCT)を採用する。説明員によれば、通常のタッチディスプレイ製品に使われているITOフィルムを使用していないので、画面の色変化を抑えることが可能だという。また、大型のディスプレイもローコストで提供できるとのこと。展示されていた32型の製品は参考出展で、製品化した際には300,000円程度での提供を考えている。

テーブルの形状は、ユーザー側の用途に合わせて変更できる

様々な用途が想定されており、例えばレストランやカラオケボックスなどのテーブルに利用すれば、オーダーのやり取りが可能に。ウェイターの人件費が削減できるだけでなく、どの時間帯に何の注文が多かったかなどをデータとして残すことも容易になる。鮮度が重要な回転寿司店などでは、受注してから握ることができるので、ネタを廃棄処分にする頻度も減らせる。

飲食店や商業施設など、様々な場所での利用が考えられている

商業施設にとどまらず、各業種から問い合わせが来ているという。例えば、ITの活用で家庭内の省エネ化を実現するスマートハウス構想とも相性が良い。家庭のリビングテーブルで利用することで、家庭内の消費電力をチェックしたり、各部屋の無駄な電力を調整したりといった使い方ができるようになる。

LG電子

LG電子のブースでは、4Kに対応したパブリックディスプレイが紹介されていた。フルHDの4倍(約829万画素)の高精細表示が可能で、展示されていたのは84型ワイドスクリーンを採用した「84WS70」。IPSパネルの採用で視野角が非常に広く、ほぼ真横から眺めても映像の色味が変わらない。

薄く軽いのも特長。84型ながら質量は72.9kgで、大人2人でも何とか運べる。縦表示も可能で、壁掛け用途にも対応できるという

説明員によれば、84型という大きさのパブリックディスプレイで4Kに対応した製品は、これが世界初だという。「デジタルサイネージが普及し、ディスプレイが街中に増えるなか、差別化が難しくなってきた。本製品は4Kの超高画質で映像が出力できるので、それだけで人を惹き付けることができる」とアピールしていた。

IPSパネル採用により、視野角は178度まで確保されている。ほぼ真横から眺めても、映像の色味が変わらない

シリコンサイン・ジャパン

シリコンサイン・ジャパン合同会社が展示していたのは、33型に相当する巨大なデジタルサイネージ製品「SiOrchid」。超高精細の1.9mmピッチLEDディスプレイパネルを採用しており、フルHD画質の映像を表示できる。最小視認距離が1mと非常に短く、視野角は160度と広い。LEDパネルにより輝度が高く、ディスプレイに光が当たっても反射しないなどの利点がある。このため、例えばビルディングの上にデジタルサイネージとして設置した際など、太陽光が当たっても広告が見えづらくならないという。

165インチの製品「SiOrchid」を2枚並べた、330型相当のディスプレイ。LEDのピッチが1.9mmと狭いため、至近距離からでも高精細な映像が確認できた