インテル 代表取締役社長 吉田和正氏

東京都内で18日、米Intelの2012年度第4四半期(2012年10月-12月)決算ならびに通年決算が発表されたことを受けて、同社日本法人のインテルが記者会見を開催した。インテル 代表取締役社長の吉田和正氏が決算内容を説明するとともに、特に日本法人として取り組む、2013年度の経営方針や製品戦略についても紹介した。

2012年度第4四半期決算の概要は、売上高は135億ドルで前年同期比3%減、純利益は25億ドルで同27%減。PC販売低迷の影響を受けて前期に続く減収減益となったが、サーバプロセッサ関連のデータセンター事業は売上高を伸ばし、また厳しい状況に応じた在庫抑制も奏功し、1株あたりの利益や粗利益はアナリストの予測を上回った。そのグループ別では、コンシューマ向けPCプロセッサを扱う「PCクライアントグループ」が売上高85億ドルで前年同期比6%減、サーバ用プロセッサを扱う「データセンターグループ」は28億ドルで同4%増、その他のIntelアーキテクチャグループは10億ドルで同7%減。

2012年度通年の売上高は533億ドルで前年比1.2%減、純利益は110億ドルで同15%減。そのグループ別では、「PCクライアントグループ」が売上高343億ドルで前年比3%減、「データセンターグループ」は107億ドルで同6%増、その他のIntelアーキテクチャグループは44億ドルで同13%減だった。

決算発表から、2012年を総括

吉田氏は2012年を総括して、全体としては厳しい年であったという認識ながら、UltrabookによるPCの在り方の変革へのチャレンジを評価。また、タブレットやスマートフォン、そして組み込み、車載にいたるまで、Intelが事業分野を大きく広げることができた年だったとも評価した。

また、サーバ関連の事業には力強さがあり、Sandy Bridge世代のXeonプロセッサの立ち上がりが、初代XeonのPentium Pro世代以来の最も速い立ち上がりであったことも報告した。あわせて、昨今のタブレットやスマートフォンといったデバイスの増加が、そこへサービスを提供するために不可欠なデータセンター事業の伸張と連動していることも強調した。

2013年に130億ドルの大規模設備投資を計画

2013年に向けては、まず業績予測として、第1四半期(2013年1月-3月)については、売上高127億ドル(±5億ドル)、粗利益率を58%(±2%)と予測。通年では、売上高で一桁台前半の成長率、粗利益率で60%(±2%)と予測しているという。

2013年度の計画で最も注目されるのは、設備投資に総額で130億ドル(±5億ドル)の予算を計上している点だ。吉田氏は、「Intelという会社の特徴で、厳しいときこそ投資の手をゆるめず、R&Dを強化し、必ずやり遂げるという思想がある」と話す。例年でも、同社の設備投資は経済状況に反発するかのようにアグレッシブなものであったが、今回の130億ドルという予算はことさら大きなものだ。

この130億ドルの予算では、その多くの部分を450mmウェハの開発へと割り当てると説明している。また、2013年内に主力プロセッサの製造プロセスを14nmプロセスへと微細化する計画も盛り込んでいる。10nm台の14nmプロセスへの微細化が成功すれば、現行22nmの20nm台のプロセスと異なり、スマートフォン向けも含むプロセッサ製造プロセスにおいて、電力効率や製造コストの面で、Intelの優位が長期間にわたり確定的なものになると見られている。

なお現行の300mmウェハから450mmウェハへの移行では、「ご存知の通り、Intelのウェハ製造装置の大部分は日本のメーカーと組んで進めている。450mmウェハでも、日本の製造装置メーカーと協業で開発を推し進めている」(吉田氏)とし、昨年7月に、その取り組みを支援する「Intel's 450mm Japan Metrology Center」が立ち上げ済みであることも紹介した。

450mmウェハへの移行のインパクトは非常に大きい。日本の装置メーカーと協業する「Intel's 450mm Japan Metrology Center」も設立した

同社では3年後に、インターネットの接続ユーザー数が現在よりも10億人増加し、世界中で30億人に達すると予測している。その10億人の増加は成長ドライバとして十分であり、投資を活かすことができるとしている。吉田氏は、大規模投資について、「細かい話をすれば多くのリスクは存在するが、何よりも、インターネット人口が増加していくことは確実だ」と述べている。

日本からの提案を積極化

吉田氏からは、日本法人のインテルとしても、2013年の活動目標も紹介があった。日本で「最も強調したいこと」(吉田氏)として最大の目標となるのが、PC市場の拡大だ。次いでIA搭載のスマートフォン/タブレットの早期展開を目指すことなどが紹介された、

吉田氏は、日本の特徴が「モバイル環境が世界で一番進んでいる国」であるため、モバイルの新たな環境とは、どんなものが最も好ましいのか、それを本社に提案していくのに、日本のインテルは最適という認識なのだという。

日本のすばらしさを強調し、日本から世界へイノベーションを発信する取り組みを積極的に進める考えを披露

また、少子高齢化や、国際競争力、災害対策やエネルギー対策といった問題を、世界がICTで何とか解決させようと取り組んでいる中で、日本という国は、大震災の影響などもあり、まさに今現在フロントエンドでそれらの課題に取り組んでいる国となっている。一方で吉田氏は、依然として日本はイノベーションの力を失ってはいないという認識なのだそうで、2013年は「日本のすばらしさを世界に示していく年になるだろう」と、吉田氏は話している。

新年最初の会見ということで、吉田氏が"書初め"を行った。「Big Hairy Audacious Year」という言葉で、よく「BHAY」と略して使われる言葉だそうだ。意味は、"Be Hay"で"テンション高めで"といったものなど様々あるそうだが、もとの言葉は"Big Hairy Audacious Goal"で、"大胆なゴールを持て"といった訳になり、一言で言えば"今年は大きなチャレンジをする"といった意味だそうだ