筐体にアルミニウム合金を採用 - 薄さと剛性を両立

もうひとつが筐体へのアルミニウム合金の採用だ。液晶天面部は厚さ1mmのアルミ合金プレートを採用。さらに筐体全体をフルアルミ合金とすることで、外部からの圧力に対して強度を高めながら、薄型化を実現している。

また、ベゼル部にはシート材を使用することで成形プラスチックを利用するよりも薄型化することに成功しているという。

こうした技術の採用は新たな挑戦でもあった。金型を発注する直前まで、独自に試作機を作り、これにより何度も強度を確認したというのも、薄型化への挑戦ならではのものだったといえよう。

LaVie Xの天板

液晶画面。ベゼル部は(画面から)0.5mm高のシート材を採用した

ちなみに、「LaVie Z」では、背面部にマグネシウムリチウム合金を採用しているが、「LaVie X」ではこの素材の採用は見送っている。

「軽さを実現するにはマグネシウムリチウム合金は効果を発揮するが、薄さと剛性を両立するには、アルミニウム合金の方が適している。早い段階で、マグネシウムリチウム合金は検討から外れた」という。

とはいえ、「LaVie Z」を追うようにして開発を開始しただけに、そのノウハウが共有されている部分もある。

例えば、「LaVie Z」で採用している筐体一体型キーボード構造は、「LaVie X」でも採用されており、薄型化にも寄与している。

「LaVie X」では、10キーボードも採用しているが、これだけの薄型化を実現しても、たわみが少ないキーボード構造となっているのはこの技術によるものだ。

LaVie Zと同じ筐体一体型キーボード。同社の他の15.6型ノートPCと同じくテンキーも搭載する。なお、大型のタッチパッドはジェスチャー機能に対応する

10キーボードの採用によって、タッチパッドの位置がやや左方向にずれることになるため、ここではバッテリのレイアウトに影響が出ることになったが、ここでは、バッテリの高さを低くしながら、バランスのいい形で配置できるセルを探しだし、これを搭載することで解決を図った。

「バッテリのレイアウトには大変苦労した。厚みを抑え、7時間という駆動時間を実現し、配置バランスにも最適化したセルを用意しなくてはならない。そして、NECの安全基準にも合致したものでなくてはならない。駆動時間を実現するためには、ファンのシステム制御により、不要なときにはファンの電源を切るといったことも行っている」という。

本体底面部の構造。手前側(パームレスト部)にバッテリが収まっている

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