フリーロケーションのコンセプト

「LaVie X」の基本コンセプトは、"フリーロケーション"だ。 これまでのA4ノートPCは重装備である分、軽量化や薄型化は重視されていなかった。そのため、一度設置するとノートPCとはいえ、設置場所がほぼ固定されてしまうといった使い方が多かったともいえる。

「もっと手軽に、家の中でPCを持ち運ぶことができないか。使わないときには、簡単に片づけることができないか。こうした使い方をする際に感じていた、重い、厚いという不便さを無くし、持ち運びに邪魔にならない薄さを実現することにこだわった」(三島氏)。

つまり、家のなかで自由に持ち運んで利用できるのが、フリーロケーションとする意味である。重さも一般的なA4ノートPCの約半分となる約1.59kgに収めている。

一般的なA4ノートの半分となる約1.59kg。なお、同社A4ノートPCのハイエンドシリーズ「LaVie L」で約3.3kg、スタンダートシリーズ「LaVie S」の最軽量機で2.4kgとなる

そしてもうひとつのフリーロケーションの意味がある。それは、ピュアモバイルの進化としてのフリーロケーションだ。

NECパーソナルコンピュータは、2012年8月に13.3型液晶ディスプレイを搭載しながらも、875gという世界最軽量を実現した「LaVie Z」を投入し、市場から高い評価を得た。

ピュアモバイルを目指したこの製品において、もう少し大きな画面が欲しいというニーズに対応するという点でも、「LaVie X」は役割を担うことになる。

「『LaVie Z』だとOfficeアプリケーションを作業する際や、写真を見るには画面が小さいと感じるユーザーに対して、その薄さを維持しながら、大画面化するという提案が『LaVie X』のもうひとつの役割。細かい見積書も客先で直接見せることができる」と三島氏は語る。

LaVie X(写真左)とLaVie Z(写真右)。LaVie Xの方が高さは薄いが(LaVie Zは高さ14.9mm)、大きさはひとまわり大きい

三島氏は、自らが所属する商品企画本部の本部長をはじめ、社員が持つカバンに片っ端から、「LaVie X」のモックアップを入れてみた。そのカバンの数は約50人分にあたるという。

どのサイズのビジネスバッグにならば入るのか、サイドポケットに入れられる薄さはどの程度なのかを、社員が持つ様々なカバンを使用して実験したという。

「他人のカバンにモックアップを入れて、ニヤニヤしている様子は異様な雰囲気にしか見えなかった」と、三島氏の姿を遠くから見ていた同社社員は笑いながら振り返る。

薄くすることで、持ち運びを便利にし、机の長引き出しにも収納でき、さらに棚の本棚などにも縦にして入れることもできる。もちろん、カバンの出し入れにも薄さは威力を発揮する。「LaVie X」の利用シーンを想定する上では、「薄さ」がすべてを物語るというわけだ。

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