SSD 840 PROとSSD 840のベンチマーク結果や、大幅に強化された付属ユーティリティを紹介するセッションも行われた。

ベンチマークテストは、PCMark VantageやPCMark 7、Iometer(IOPS)などだ。競合製品との比較も示されたが、特にSSD 840 PROは現行のSSDとして最速の座に返り咲いたと言える。さらに、SSDを使い始めてから性能が落ち始めるまでの時間が長いことや、ノートPCに搭載したときにバッテリの持ちが良い点(SSD 840 PROとSSD 840が低消費電力)なども紹介された。

PCMark Vantageの結果。SSD 840 PROは128GBモデルも256GBも現行最速。SSD 840もかなり速い

PCMark 7の結果。こちらもSSD 840 PROがトップ

ランダムアクセス(IOPS)の数値。ランダムアクセス重視のチューニングということで、下位モデルのSSD 840も高速。実際にIometerで計測したデモも紹介されたが(写真右)、SSD 840 PROは100,000IOPSを越えている

SSD 840 PROはランダムライトの高速性が比較的長く保たれる。競合製品と比較して、SSD 840 PROもSSD 840も性能の落ち込みが緩やか

棒グラフがSSDの消費電力、折れ線グラフが各SSDを使ったときのノートPCのバッテリ駆動時間。SSD 840 PROとSSD 840、およびSSD 830は消費電力が低く、ノートPCのバッテリ駆動時間を伸ばす効果も

ユーティリティ類は、環境移行ツールの「Samsung Data Migraiton」と、モニタリング機能などを備えた「Samsung Magician」の2つだ。Samsung Data MigraitonはGUIをかなりシンプルに設計しており、PCに詳しくないユーザーでも使えるように配慮したとのこと。システムドライブよりも容量が少ないSSDへ環境を移行する場合に、画像/動画/音楽などのデータは別ドライブへコピーし、システム関連やアプリケーションだけをSSDへ移す機能が便利そうだ。また、環境を移行するときに、パーティション容量を調整することもできる。

環境移行ツールの「Samsung Data Migraiton」

Samsung Magicianは、既存のバージョンから大きく機能強化された。SSDの状態や書き込み回数などを確認できる。既存バージョンと同様に、Trim/ガベージコレクション、セキュアイレースなどを実行することも可能だ。

SSDに付属する無償のユーティリティとしては、とても高機能な「Samsung Magician」

近い将来、SSDのインタフェースはSATAからPCI Expressへ

「Future SSD Technology」セッションのプレゼンター、チョウ クンス氏

話題が前後するが、午前中のセッションでは、次世代SSDへの展望も語られている。SSDの進化から振り返ると、まずCPUの高速化に対してストレージ(主にHDD)が追いつかず、CPUとストレージの性能ギャップが拡大する一方だった。SSDによってそのギャップは小さくなり、SSD自体も順調に高速化しているが、今度はSSDのインタフェースがネックになってきているという。

具体的にはSATAのことで、現在のSATA3(6Gbps、実効速度600MByte/秒)でもSSDのパフォーマンスが頭打ちに近づいており、SSDの性能をフルに引き出せなくなる日も遠くない。そこで、次世代SSDのインタフェースとしてはPCI Expressが有力。現在(2012年時点)のPCI Express 3.0は、1レーン(PCI Express x1)で1GByte/秒(片方向)の帯域を持つ。

今回のプレゼンテーションスライドによると、2014年にはSSDの転送速度が4GByte/秒に達すると、Samsungは考えている。それをカバーするにはPCI Express x4(4GByte/秒)が必要となるが、意外と早い時期に、SATAからPCI Expressへの切り替わりが始まっていくだろうと見込む。こうした高速化には高い技術力が必要であり、NANDフラッシュなどSSDのコアコンポーネントをすべて製造できる、Samsungのような企業だけが解決できるとアピールした。

CPUとHDDの性能ギャップ

Samsung製SSDの歩み

SSDの転送速度に対して、インタフェースのSATA3(6Gbps)がボトルネックになりつつある

SSDのインタフェースはPCI Expressになっていくと思われる

プレゼンテーションのスライドショーはこちらから →