「Digital Youthプロジェクト」ロゴマーク

ウィンドウズ デジタル ライフスタイルコンソーシアム(以下WDLC)は、PCを中心に添えた若年層のコミュニケーションスキルや創造力の向上などを図る「Digital Youthプロジェクト」を発表した。「Digital Youthプロジェクト」は、WDLCが経済産業省の後援などを受けて若年層のITを中心としたスキル向上の促進、次世代を担う国際競争力のある人材育成支援などが目的となる構想となる。

WDLCは、業界の枠を超えた117社の企業が参加するコンソーシアムだ。IT機器を利用したユーザーの生活や行動をいかに充実させられるか、またいかにこれらを生産的に利用できるかを目指し、その結果として魅力的なサービスやハードウェアの提供を促進することを活動方針に掲げるコンソーシアムである。2007年11月の発足から様々なキャンペーンを展開することで、PCを中心としたライフスタイルに対して意欲的な活動を行っている。最近では、記憶に新しい「パソコンも地デジカ」キャンペーンを展開、"地デジ番組の録画機能の訴求"や"TV番組を視聴しながらのコミュニケーションサービス"などのシナリオ、"ファミリー世代のセカンドルーム"、"ひとり暮らしの若者層"などのターゲットを構築しながら成功を収めている。

WDLCのこれまでの歩み

WDLC会長を務める日本マイクロソフト執行役常務 香山春明氏

都内で行われたプレス向けの発表会においては、WDLC会長を務める日本マイクロソフト執行役常務 香山春明氏からは「発足時参加47社が現在では117社に、4年間に5つのキャンペーンを展開しており、大きな成果を上げることができたと思っています。」とこれまでのWDLCの成果について言及した上で「世界でも唯一、日本においてこのようなパートナーシップを展開できる活動に注目、期待を寄せられている。」と現在のWDLCの重要性を述べた。続いて登壇したWDLC事務局長を務める日本マイクロソフトOEMマーケティング本部本部長、勝俣喜一朗氏からTVチューナー付きPCの出荷台数においては144万台を達成、購入意欲者526万人など「パソコンも地デジカ」キャンペーンの成果も報告された。

「パソコンも地デジカ」キャンペーンでは大きな成果

WDLC事務局長を務める日本マイクロソフトOEMマーケティング本部本部長 勝俣喜一朗氏

これらの成果を上げるWDLCが次に行うプロジェクトが「Digital Youth プロジェクト」になる。Digital Youthプロジェクトは、ICTを通じて国際競争力が持てる若者を育成するというテーマが掲げられている。具体的な項目としては、ITスキル、コミュニケーション(語学)力、創造力(クリエィテビティ/企画/実行)などが挙げられており、「日本とほかの国とを比較した場合に個々のクリエィティビティや技術力、アイデアなどがあってもそれらを形にしビジネスに繋げていくという点を補強していく」(勝俣氏)、ということが目標になる。

まずは社会人を控える大学生を中心に12月1日から「SUPER ROOKIES」キャンペーン(http://pr1.wdlc.jp)を展開。キャンペーンは社会に出て行く上必要なPCで実践してもらいたいシナリオを提案する。シナリオは社会に出て求められるPC利用を核としたものになるが、今の学生の志向を取り入れるべくWDLCは調査・ヒアリングを行っており、その中で現れるターゲット象として以下の4つのキーワードが示された。

  1. 「何かの方法で社会に役立ちたい」(社会貢献)
  2. 「見た目や能力で負けたくない」(スキルアップ)
  3. 「SNSで友達だけでなく社会とつながりたい」(つながり)
  4. 「仕事と個人の生活を両立させたい」(趣味・娯楽)

これらは、震災後に顕著に認められる4つのキーワードであり、シナリオにはこれらを取り入れながらキャンペーンは展開されていくことになる。

12月1日から行われる「SUPER ROOKIES」キャンペーン

キャンペーンに導入される4つのキーワード

紹介されたコンテンツ「経験フォルダ」は、社会で活躍する著名人やビジネスパーソンによる人生経験を電子化されたファイルで参照、共有できるというもので、実際に作成した企画書や原稿ファイルなどなど、社会に出て遭遇するリアルな仕事を閲覧する機会を得ることができるというものだ。「経験者」の参加予定イメージには、作家、クリエイターや各種メーカー勤務から、建築家、農業から大学関連なども掲げられている。また「ターゲット世代のリアル」を映像化するコンテンツ「等身大のヒーロー紹介」では、PCを利活用して活躍する学生や社会人の先輩たちの活躍ぶりを紹介する。学生起業家や社会貢献に活躍するボランティアの方などの映像も公開される予定だ。

「経験フォルダ」は著名人や先輩のデジタルデータを入手できる

実際にPCを利用して活躍する学生や社会人の先輩たちを映像で紹介するコンテンツも

経済産業省産業人材政策室 大野孝二氏

ゲストとして登壇した経済産業産省産業人材政策室、大野孝二氏からは「次世代産業を担う人材の育成は、人生のある一定の時期だけの育成でできるものではなく、小・中・高については産業界の協力も得て、キャリア教育、仕事の大切さ、などを理解しやすい環境の提供、大学生については社会人基礎力、前に出る力、考え抜く力、チームで働く力という社会で働くために必要な基礎的な力を提唱しているほか、グローバルで通用する人材の育成の支援をおこなっています。今回のプロジェクトから産業界に羽ばたいて活躍されることを心から期待してます。」と今回のプロジェクトに対する期待を述べた。







「復興支援ITボランティア」を務める慶應義塾大学大学院の澤畑学さん

続いて登壇した慶應義塾大学大学院の澤畑学さんからは「復興支援ITボランティア」の活動内容の発表があった。「復興支援ITボランティア」は、被災地域の生活再建、復興についてのIT情報の必要性から立ち上げられたボランティアで各IT企業が加盟する復興キャラバン隊などからPCとデータカード300セット、プリンタ100台などの提供をうけ、のべ被災地20カ所あまりでのべ100名近くの大学生がボランティア活動を行っている。

澤畑さんは、「避難所や仮設住宅所などからブログやSNSでの情報発信、被災地のネットワーク構築のサポートなどを行っています。今回の震災でばらばらになってしまった震災前のコミュニティの復活や仮設住宅など震災後の新たなコミュニティの情報のやりとり、転居を知らせるはがきやチラシ、名刺など印刷物の作成などを通じてお手伝いなどをさせてもらっています。」と復興支援ITボランティアの活動内容を紹介。

「ICT技術が、人と人とのつながりを生み出すものだと、強く実感しています。Wordではがきを使って以前の知り合いに送るですとかブログやSNSで国内外に情報を発信することなど、活動を通じて人と人のつながりが生まれてきています。自分自身はOffieやSNS、SKYPEなどは普段から当たり前のように利用していましたが、被災地を回っていてこれらを使ったことがない高齢者の方などがこれらを使うところを目の当たりにして、パソコンやICTのポテンシャルがいかに大きいかを感じました。」とPCやICT技術を活用した実際の活動についての発表があった。

「復興支援ITボランティア」の活動

震災前のコミュニティの復活や震災後の新たなコミュニティなどにSNSやブログを通じたネットワークの構築なども

WDLCでは、今回のキャンペーンとは別に中長期的な取り組みとして広く若年層を対象とした次世代の人材育成を目指す「WDLC塾(仮称)」の2012年春(予定)の開講も予定している。