MacBookシリーズやMac miniの現行モデルに採用されている高速インターフェイス技術「Thunderbolt」。USB2.0の最大20倍に相当する10Gbpsという高速データ転送が行えることもあり、次世代のインターフェイス技術として注目を集めてきた。しかし、世に出たばかりの技術ということもあって対応する周辺機器が少なく、その恩恵を受けられるシーンはこれまで非常に限定されていた。アップルがこの技術に対応した純正ディスプレイを出したことで、そうした状況も徐々に改善されていくことだろう。

Thunderbolt DisplayとMacBook Proを接続したところ。Thunderboltケーブル1本をつなげるだけで、すぐディスプレイが使えるようになるのは非常に便利

新しい「Apple Thunderbolt Display」のディスプレイ周りのスペックは、従来の27型の「Apple LED Cinema Display」とほぼ同じ。表示解像度は2,560×1,440ドットで、視野角は水平垂直方向とも178度となっている。画面の輝度やコントラスト比も従来から変更はない。

液晶パネルはIPS方式を採用しており、表示品位は非常に高い。階調も非常になめらかで、安いディスプレイだとべったりしがちな原色に近い赤の微妙なグラデーションも、きちんと濃淡が再現されている。グレア(光沢)パネルのため照明などの映り込みはかなりあるが、その分、色鮮やかで黒の締まった見栄えのする表示を実現している。

Thunderbolt Displayの27型液晶パネル。表示解像度は2,560×1,440ドットと高精細。IPS方式のため視野角が非常に広く、斜めから見ても色味の変化が少ないが、グレアパネルのため照明の映り込みはそれなりにある

Thunderbolt Displayの側面。iMacに似たデザインで、背面はゆるやかな曲面で構成されている

従来のLED Cinema Displayと大きく異なるのは、映像入力コネクタがMini DisplayPortからThunderboltに変更された点。もっともThunderboltはMini DisplayPortの上位互換にあたり、コネクタも同形状のため、ディスプレイとMacをつなぐケーブルの見た目はほとんど変わっていない。しかし、映像信号しかやりとりできないMini DisplayPortと異なり、Thunderboltはさまざまなデータの転送にも対応している。そのため、従来のようにディスプレイとMacをUSBケーブルで接続しなくても、ディスプレイ内蔵のUSBハブ機能を利用できる。しかもUSBハブだけでなく、FireWire 800とギガビット対応有線LAN、機器接続用のThunderboltポートを各1基ずつ搭載しており、より多彩な周辺機器を接続できるようになった。

Thunderbolt Displayの背面。電源ケーブルと、ThunderboltコネクタとMagSafe電源アダプタがひとつにまとまったケーブルの2本のみで、ケーブル周りの取り回しが楽なのが特徴

背面には、右からギガビット対応有線LAN、FireWire 800、Thunderbolt、USB 2.0×3が搭載されている

液晶ディスプレイ上部にはLED Cinema Displayと同様にWebカメラとマイクを内蔵する。ただし、カメラ自体は従来のiSightカメラからFaceTime HDカメラに変更されており、iPhoneなどの対応デバイスとの間で720pの高精細なビデオ会話を行うことができる。

液晶ディスプレイ上部にはFaceTime HDカメラが内蔵されており、iPhoneなどの対応デバイスとの間で720pの高精細なビデオ会話を行うことができる