Windows Explorerで行われる作業のおよそ50%を占めるファイルのコピー/ 移動/ 名前の変更/ 削除。シンプルだが、PCを使う上で重要なこれらの作業を正確かつ能率的に行えるように、Windows 8では基本的なファイル管理方法が大幅に改善される。

Microsoftは、コピー/移動/名前変更/削除を一括して「コピー作業 (Copy jobs)」と呼んでいる。同社がコピー作業の見直しに乗り出す理由は、今日のWindows Explorerが万能ではないからだ。簡単な作業には有効だが、ボリュームが大きな作業や、複数の作業の同時進行に適していないことがテレメトリーデータの結果で明らかになっている。コピー作業の50%は10秒以下で完了する簡単なものである。しかし、2分以上かかる作業も20%に達する。同じ名前のファイル/フォルダが存在する時にユーザーが戸惑い、また様々な理由で5.61%ものコピー作業が未完に終わっている。TeraCopyやFastCopy、Copy Handlerといったサードパーティ製のアドオンがソリューションになるものの、Windows 7 PCでこれらのツールの利用者は全体の0.45%にとどまる。

Windows 8では、以下の3点からコピー作業を改善する。

  • すべてのコピー作業を1カ所で管理

  • 不要なものを省き簡潔に

  • ユーザーによるコントロール

まず、複数のコピー作業が実行されていても、全ての作業の進行状況を1つのダイアログ画面で確認できるようにする。スループット・グラフで、データ転送の状態も把握できる詳細表示への切り換えも可能。ダイアログ画面から作業ごとに一時停止/再開/停止などをコントロールでき、コピー作業でPCの動きが鈍る場合は、全体を見ながら先に完了させるべき作業を決められる。

複数のコピー作業の進行状況を1つのダイアログ画面で確認可能。PCのパフォーマンスに影響する場合は作業を一時停止させて調整できる

データ転送速度や残りのデータ量なども表示される詳細画面

同じ名前のファイル/フォルダが存在する時のWindows 7のダイアログ画面は、情報量が豊かだが、それがユーザーの作業時間を長引かせる原因にもなっている。Windows 8では、名前が重複するファイルをサムネイル画像を中心に比較しながら保持するファイルを決められる。より詳細な情報が必要な場合は、サムネイル画像の上でポインタをホバリングさせるとファイルパスが表示され、ダブルクリックすると直接ファイルが開く。

同じ名前のファイルが存在した時の、Windows 7の確認画面。情報量が多く、把握するのに時間がかかる

Windows 8では、サムネイルで比較しながら保持するファイルを選択。両方にチェックマークを付けるとコピーされるファイルの方に番号が付与される

これらの改善に伴い、コピー作業において実行を再確認するダイアログ表示の多くが省かれるという。ユーザーは警告に邪魔されることなく、能率的に作業を進められる。