自分はどう思うか?を書く

――アナウンサーはどんなメモのとり方をしているのでしょうか

アナウンサーのメモは大きく分けて「ネタ帳」と「取材メモ」の二つになると思います。「ネタ帳」は日々のできごとや発見、自分の思いつきなどを書きとめておく備忘録です。私の場合は読書メモも兼ねていて、本の感想を書いたりおもしろい記事をはりつけたりしています。この中からいいアイデアを選んでラジオやテレビのトピックにします。

「取材メモ」はアナウンサーになくてはならないものです。私はスポーツアナウンサーだったので、野球中継の前に選手や監督に話を聞いてはメモをしていました。

ノートの左側に相手の発言や事実を書き、右側にはそれに対する質問やもっと聞きたいことを書くという方法です。つまり右側は「自分はどう思うか」を書くスペースにしているんです。

かつてフリーアナウンサーの古舘伊知郎さんがF1レーサーのアイルトン・セナを「音速の貴公子」と呼びましたが、私も自分なりの表現で伝えられるアナウンサーになりたいのでこういう書き方をしています。

セミナーに参加するときも同様で、左にセミナーの内容、右にTO DOを書くことにしています。

三橋さんが実際に使っているノート

私はセミナーで学んだことをすぐに実行しようと心がけているので、話を聞きながらその場でTo Doリストをつくっています。

――アナウンサーはアウトプットを前提にメモをとっているのですね

自分にアウトプットを課しているとも言えます。それはプライベートや休日でも変わりません。しかしアナウンサーはそれくらいの姿勢が必要だと思っています。

――なぜそこまでアウトプットを意識するのでしょうか

アナウンサーは一般の人に代わって著名人に話を聞き、その内容をわかりやすく伝えることが仕事です。私たちはその役割を果たすため、常に表現し、伝えることを考えて生活しているようなところがあります。取材はもちろん、お昼にラーメンを食べているときでさえ、「これをうまく伝えるにはどうすればいいだろうか」と考えているのがアナウンサーなのです。

特にラジオは音声のみですし、一つのトピックから次々と話を広げていくものなので、普段から表現力を鍛えていなければ対応できません。私もラジオのレギュラー番組を持っていたころは、念入りに準備していました。

アドリブに見える演技

――いわゆる「フリートーク」も準備したうえで話しているのですか?

たとえフリートークであっても行き当たりばったりではできません。プロは必ず準備をしているものです。

ラジオ番組はオープニングの5分間程度をフリートークにあてることが多いのですが、まずそれがおもしろくなければ聞いてもらえません。まさにアナウンサーの腕の見せ所です。

私はフリートークで話そうと考えていることを、最低5人には聞いてもらうようにしていました。それぞれ職業も年齢も違う人たちです。

彼らの反応を見ながら修正を加え、「これならいける」とわかったものだけを番組で放送すると決めます。

ラジオ出演の前日にはお風呂で3~4回リハーサルをし、当日の朝も車の中でぶつぶつ言いながら出勤したものです。

落語家やお笑い芸人も、事前に何度も試して反応が良かったネタしか舞台で使わないそうです。テレビやラジオではいかにもアドリブで言っているように見えますが、彼らはうまく演技しているんですね。それはアナウンサーも同じで、事前の準備がなによりも大切なのです。

アドレス帳に工夫を

――アイデア収集に携帯電話のメールも活用しているそうですね

最近はよく携帯メールを使っています。気になる単語やキーワードがあったら、すぐに携帯で自分のGmailアドレスに送信しています。これは頻繁に行なう作業なので、携帯のアドレス帳にちょっとした工夫をしています。

一般的にGmailを携帯のアドレス帳に登録する場合、Gmailの「じ」やアルファベットの「G」の場所にすると思いますが、私はGmailアドレスに「アイデアメモ」という名前をつけて「あ行」の一番上に来るようにしています。

あるいは読み仮名を「ああああ」にしてもいいと思います。そうすると名前は「Gmail」でも「あ行」の一番上に表示されるようになり、「じ」や「G」が出てくるまでスクロールする必要がないのでとても便利です。

また自分の携帯から送られたメールにはラベルがつくように設定しているので、パソコンで見るときもすぐに識別できます。ちなみに仕事のアイデアを送るだけでなく、買い物メモやTO DOを送ることもあります。

――プロの姿勢を見習って、一般のビジネスパーソンも日ごろからアイデアを用意しておくべきですね

商談やプレゼンはともかく、会話ならアドリブでなんとかなると思いがちですが、限られた時間の中でいい会話をするためには、やはりそれだけの準備が必要です。

また、本当はとても魅力があるのに、会話やスピーチが下手なために損をしている人がとても多いと感じています。私が独立した理由の一つには、そんな人たちの手助けをしたいという気持ちもあります。

まずは普段から意識を持って、気になる言葉やアイデアをメモすることから始めてみてはどうでしょうか。

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次回は、「スピーチに役立つマッピングメモ」についてうかがいます。

INTERVIEWER PROFILE : 早川洋平 / KIQTAS(キクタス)
中国新聞社記者、全国紙系編集プロダクションのライターを経て入社した企画会社で2008年、良書の著者へのインタビュー音声を無料で配信するポッドキャスト番組「人生を変える 一冊」をスタート。配信後2カ月でiTunes store podcastビジネスランキングで21日間連続1位を獲得、月間20万DLの人気番組に成長する。独立起業した現在は、インタビューやライティングに加え、ポッドキャストを軸にしたコンサルティング、コンテンツプロデュースなどを行っている。
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