読書はデジカメで"メモる"
――アナログツールとデジタルツール、「情報の記録」という点でどのように使い分けていますか?
選択基準としてはどちらが早いか、あるいはどちらが楽かだけです。ノートに書くよりもパソコンに入力するのが早い人なら、そうすればいいし、逆にデジタルが弱い人は、無理に使う必要はありません。私はノート術の本を書いているので、アナログツール推進派の代表のようにいわれることもありますが、デジタルツールも活用しています。
――読書の記録にもデジタルを活用していらっしゃるそうですね。
購入した本のおもしろいなと思ったページや、何かを書き込んだページを携帯電話で撮影して、それをそのまま読書メモにしています。私にとって、読書時にデジタルカメラか携帯電話は必須です。まず表紙を撮り、その後「このページを記録しよう」と思ったらそのまま撮影すればいいだけなので非常に楽です。手書きでやっていたら時間がかかってしまいますので。
著書の中では読書スクラップ術として、必要なページを破ってノートに貼る方法も紹介しましたが、雑誌はともかく、文庫本や単行本は心情的になかなか破れない人も少なくないでしょう。でもデジタルカメラで撮影すればページを破る必要もないですし、読まないでそのままになっている本も活用できます。
――ところで、書き終わったノートはどうされているのですか?
必ず表紙と中面をすべてスキャンしています。一見、手間がかかるように思われますが、30枚程度なら5分もかからない。取り込む際はPDFではなくJPEGファイルがおすすめです。お手軽な画像管理ソフトで開けるので、携帯電話・パソコン・iPhone・Webブラウザで簡単に見ることができるんです。
スキャンした一冊分のJPEGデータは、必ず一つのフォルダにまとめておきます。ポイントはノートの使い始めの日付をフォルダ名に入れておくこと。そうすればパソコン内で日付順に整列されるはずなので検索性も高まります。
この考え方は、ビジネスパーソンの悩みの種である名刺の管理にも応用できます。仮に名刺が1枚1gだとしても、2,000枚だと2kgになってしまいますよね。これはデジタル化したほうがいいと思ったんです。
具体的には、まずその人に会った日付を名刺にスタンプします。ずいぶんアナログなことを言うようですが、スタンプを押すだけなので数十秒あれば終わります。次にその名刺をスキャンします。その後、パソコンに転送すればOK。さらに、iPhoneを持っている人ならこのデータを転送しておけば、いつでも手元で見ることができ、検索も簡単です。
サイトやブログは「デジタル母艦ノート」に
――他にデジタルツールを記録に活用していることはありますか?
実は、私の「『結果を出す人』はノートに何を書いているのか公式サイト」はデジタルの母艦ノートになっています。著書を紹介してくれたブログの内容・URLを記載するようにしているので、それにまた私がコメントをつけて記録しておくんです。
同様に、ブログ「misaki2.net」も、私がデジタルサービスで便利だなと思った情報を集約する母艦ノートになっています。このサービスはいいなとか、これはチェックしておこうと思ったものはそこに全部ひっぱってくる。いわばデジタルのスクラップをブログでやっているわけです。
自分スタイルを作る
――最後に、メモ術を身につけたいと思っている読者へアドバイスをいただけますか?
とりあえず何か一つ選んで、それを1カ月間やってみることです。そのうえで苦痛に感じるものはやめる。その後は自分が取り入れられたものだけ続ければいいんです。本に書いてあることを全部やらなきゃと思うのではなく、たとえば「自分は付せんの活用術を取り入れてみよう」と決めて愚直に実践する。
すると、自分なりに「こうしたほうがいいのでは」と思う部分が出てくる……これがオリジナリティーです。
メモ術に限らず、仕事は全てオリジナルなもの。野球選手のバッティング方法一つとっても、みな自分のスタイルを確立していて、バラバラですよね。これは私たちも同じです。「これが正解」というものはありません。正解は自分でつくればいいのではないでしょうか。
(撮影 : 中村浩二)
INTERVIEWER PROFILE : 早川洋平 / KIQTAS(キクタス)
中国新聞社記者、全国紙系編集プロダクションのライターを経て入社した企画会社で2008年、良書の著者にインタビューするポッドキャスト「人生を変える一冊」をスタート。配信後2カ月でiTunes store podcastビジネスランキングで21日間連続1位を獲得、月間20万DLの人気番組に成長する。独立起業した現在は、インタビューやライティングに加え、ポッドキャストを軸にしたコンサルティング、コンテンツプロデュースなどを行っている。
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