鉄道模型再開のための新旧製品比較

鉄道模型を始めることと同等、もしくはそれ以上にパワーを要するのが"再チャレンジ"であろう。中でも気になるのは、昔集めた車両や線路を、新しいものと混ぜて使えるのだろうかという点ではないだろうか。

まずは車両だが、新旧の違いの目安として、昭和50年頃の価格表を見せていただいた。機関車の価格が現在の半額程度なのに対し、貨車、コンテナなどはほとんど価格に変化がない。「貨車の仕様は約30年間、さほど変わっていないですね」とのこと。

しかし、機関車(動力車)は値段相応に大きく進化している。「走らせるための性能がとてもよくなりました。僕たちが子どもの頃の車両は、指で突っつかないと走り出さなかったりもしましたが、今の車両はスムーズにスタートし、とてもよく走ります。その上、フルパワーを出さなくてもヘッドライトが点り、LEDのヘッドマークまで光ります。走らせるのは断然新しいものが楽しいですよ」。その反面、「子どもがお小遣いを貯めて買え、簡単に扱えるようなおもちゃではなくなってしまいました」。

古い線路はメーカーによっては、ポイントの動作が現在と違う場合がある

性能はともかくとして、規格の面から見れば、昔の車両でも現在の線路の上で走らせることはできる。要は車両の状態である。10~15年以上前の車両で、動かなくなっているものは修理が難しい。「宝物のように大切にしてきたはずでも、扱っていたのは子ども時代です。多少は扱いが乱暴だったかもしれません。動かなくなっていてもガッカリせずに、思い出の品は思い出として大切にし、最新の走りを楽しむのはいかがでしょうか」。どうやら古いNゲージ車両と、現在のNゲージ車両とは分けて考えることも必要なようだ。

線路も状態次第といえるが、表面が錆びているようなら新調するのが賢明だろう。そして、ジオラマを作るための草や木、塗料などの材料も進化、充実している。「新しい材料で再挑戦してみれば、昔よりよい情景ができる可能性がありますよ」。確かに、ミニチュアの木や人間などは、見ているだけでも楽しいほどの種類がある。

製品化される車両の種類が増えたのも昨今の特徴。自作しなくても、好きな車両が手に入る

ストラクチャ(建物)、樹木、線路まわりの小物などの充実ぶりはめざましいものがある

買い物のコツ

最後に、模型店で買い物をするときのアドバイスを。「店にはお子さん連れで来ない方がいいです。お子さんはいろいろなものに興味を示しますから、それを制するのに必死で、自分の用事が全然進みません」。また、模型自体が精密機械で、対象年齢も上がっている。「パッケージに表示された対象年齢を目安に、お子さんの成長を待って始めるとよいと思います」。さらに、車両や情景を作っていてうまく行かない時は、「失敗したものを持ってきていただけると相談に乗りやすいです」と心強いお言葉。

いずれにしても、"自分の条件に合わせて"というのが鉄道模型を楽しむポイントである。多くの選択肢の中から自分だけの世界をチョイスし、楽しんでみるのはどうだろうか。

鈴木さんの作品(5インチ)

他のジャンルの模型も得意で、頼りになる鈴木さん。自作派なら、こんなお店を味方にしたいものだ