「普段は据え置きでの利用が多いけど、いざという時には持ち運びたい」「モバイルでも一定以上のパフォーマンスが欲しい」といったニーズは意外に多いもの。確かに画面が小さいコンパクトモバイルでは普段の利用時に不便だし、かといって2.5kgを超えるような大画面ノートPCでは移動するのも一苦労だ。そんなユーザーの悩みを解決してくれるのが、フレキシビリティの高さで人気を博している富士通の大画面モバイル「MG」シリーズである。

今回の2009年夏モデルでは、春モデル「MG/C75N」と比べて基本スペックの拡充が行われた。まず、CPUは従来のIntel Core 2 Duo P8400(2.26GHz)/P9500(2.53GHz)から、より高性能なIntel Core 2 Duo P8700(2.53GHz)/P9600(2.66GHz)へと強化。ストレージについては160GB/250GB/320GBのHDDおよび128GBのSSDから、160GB/320GB/500GBのHDDおよび128GBのSSDと、選択できるHDDの容量がアップしている。中には「CPUとストレージしか変わらないの?」と思う方もいるだろうが、これは逆に大幅な改善が必要ないほど現在のMGシリーズが完成形に近い証拠だといえる。また、CPUの処理能力が上がっても駆動時間は据え置き、というのもうれしい部分だ。4GBメモリの搭載により、Windows エクスペリエンス インデックスの「メモリ」項目では最高値の5.9をマークしている。

■Windows エクスペリエンス インデックスの基本スコア
コンポーネント 評価についての詳細 サブスコア 基本スコア
プロセッサ 1秒あたりの計算 5.4 3.8
(一番低いサブスコア)
メモリ(RAM) 1秒あたりのメモリ操作 5.9
グラフィックス Windows Aeroのデスクトップパフォーマンス 4.1
ゲーム用グラフィックス 3D ビジネスおよびゲームグラフィックス パフォーマンス 3.8
プライマリ HDD ディスクのデータ転送速度 5.4

伝統のモバイル・マルチベイは健在

それではここから、改めて完成されたMGシリーズの特徴を見ていこう。まず、フレキシビリティの高さを象徴するポイントとして最初に触れておきたいのが、2001年のシリーズ登場時から脈々と受け継がれている「モバイル・マルチベイ」の存在だ。これは標準添付のスーパーマルチドライブユニットおよびモバイル・マルチベイ用カバー、そしてオプションの増設用内蔵バッテリユニットを自由に交換できるというもの。例えばCPUにIntel Core 2 Duo P8700を選択した場合、内蔵バッテリパックだけの駆動時間は約8.2時間だが、内蔵バッテリパックと増設用内蔵バッテリユニットを併用することで約11.5時間駆動が可能になる。普段は利便性を重視したスーパーマルチドライブユニットを装着しておき、機動性重視の外出時は軽量なモバイル・マルチベイ用カバー、そして長時間のバッテリ駆動が予想される際は増設用内蔵バッテリユニットと、用途に応じてセッティングが変えられるのはうれしい限りだ。

もはやMGシリーズの伝統ともいえるモバイル・マルチベイ。かつては「LOOX T」シリーズなどにも採用されていたが、現在残っているのはMGシリーズのみだ。2005~2006年にかけて存在したテレビチューナー・ユニットも懐かしい

モバイル・マルチベイにオプションの増設用内蔵バッテリユニットを装着した場合でも、個別に充電状態を表示してくれるインジケーター