右側がゲームに最適な動画性能を持つ「MDT243WG」、左側がチューナーを内蔵した「WDT221WTF(BK)」

三菱電機は22日、マルチメディア液晶ディスプレイ「VISEO」の新機種として、21.5型フルHDパネルを持ち地上・BS・110度CSデジタルチューナーを内蔵した「MDT221WTF(BK)」、24.1型WUXGA(1,920×1,200)パネルを搭載し動画性能を向上させた「MDT243WG」を発表した。店頭想定価格は「MDT221WTF(BK)」が80,000円前後、「MDT243WG」が120,000円前後。11月7日発売予定。

発表会ではまず、三菱電機 役員理事 リビング・デジタルメディア事業本部 副事業本部長 梅村博之氏が事業方針を説明した。

リビング・デジタルメディア事業本部の2008年度基本方針は「真に強い事業構造構築に向けた選択と集中・戦略投資拡大」。この中の“真に強い事業構造の構築"のために、空調冷熱事業、電材住設事業、家電事業、デジタルメディア事業を柱に、「省エネ」「環境」を基本としたライフスタイルを提案するオンリーワン商品の開発を進めるとのこと。今回の液晶ディスプレイは、デジタルメディア事業内のディスプレイ事業、新市場を開拓するために投入するとした。

事業方針を説明する三菱電機 役員理事 リビング・デジタルメディア事業本部 副事業本部長の梅村博之氏

真に強い事業構造の構築するために開発を進めるとした

続いて、役員理事 デジタルメディア事業部 事業部長 中島均氏がデジタルメディア事業部の戦略を説明した。

ディスプレイ単体の需要は業界全体で約300万台。2006年度からほぼ横ばい(調査会社の資料を踏まえた三菱電機での推測)で推移している。この中で三菱電機のシェアは約20%を獲得している。16:9のワイド画面の液晶は、2008年度が約40%、2009年度は約65%と4:3の液晶を抜く勢いとなっている。ワイド画面の液晶だけを見ると、現在19インチが約30%、20インチが約20%だが、それ以上のサイズが約50%と中・大型液晶の比率が高まってきた。

デジタルメディア事業部の戦略を三菱電機 役員理事 デジタルメディア事業部 事業部長 中島均氏が説明

液晶単体全体の市場動向。三菱電機が約20%のシェアを持つ

また、個人ユースでの液晶の利用状況を見ると、いままでPCとテレビで別々のディスプレイを使い分けていたが、両方のニーズを1台で実現できるディスプレイに対するニーズが高まっている。さらに、ブロードバンドサービスの全国世帯普及率が56%を突破(平成20年6月末 総務省発表)、PCでは文字・静止画だけでなく動画も表示できる性能が、テレビ・ゲームでも高解像度の動画を表示できる性能が求められている。つまり、20インチ以上のあらゆる表示に対応できるディスプレイが必要とされてきた。

さらに、店頭販売の状況では2008年度は約25%のディスプレイがHDMI端子を搭載。2009年度はマルチメディア需要が加速し、45%まで拡大すると予測(調査会社の資料を踏まえ三菱電機が推測)。このことから、PCディスプレイの動画対応強化により、多用なニーズに応えるディスプレイを開発する必要性が出てきた。これに対応するように新製品を開発したのだ。三菱電機では、新製品などマルチメディア液晶ディスプレイを続々と投入することで、マルチメディア市場でシェア40%を目指すとした。

引き続き、三菱電機 デジタルメディア事業部 モニター事業センター 長峯卓氏が、新商品の投入について説明した。

マルチメディア液晶ディスプレイでは、すでにコストパフォーマンスに優れるモデルやライトユーザーに向けたモデルを提供済み。今回は、さらに快適にマルチメディアを楽しむための地デジ対応モデル「MDT221WTF(BK)」、ユーザーの要求に応える動画性能を持つゲーム向けモデル「MDT243WG」を投入することとなった。08年下期はニーズの多様化を踏まえた新製品を提供することで、PC向けディスプレイのラインアップの拡充を果たす。

新製品を説明する三菱電機 デジタルメディア事業部 モニター事業センター 長峯卓氏

「MDT221WTF(BK)」のポイントは、1)フルHD対応液晶パネル搭載、2)液晶テレビと同機能を実現、3)ながら視聴が可能な3点

「MDT221WTF(BK)」は“ながら視聴"を重視。フルHDの液晶パネルを持ち、地上・BS・CSデジタルやデータ放送に対応するなど液晶テレビと同機能を実現しながら、すでに持っているPCにつなぐだけでテレビとPCを同時に表示できる。

高画質技術として、「ダイナミックコントラスト」「CRO(Contrast Ratio Optimizer)」などを採用。ダイナミックコントラストでは、映像ソースに応じてコントラストを自動調整することで階調再現性を向上させるとともに、細部のディテールまで映し出しメリハリのある映像を再現。CROでは、映像ソースの輝度レベルをきめ細かく分析し、バックライトをリアルタイムに制御することで引き締まった黒を再現。奥行き感を豊かにしている。

音響では、「DIATONEリニアフェイズ」「おすすめ音量」を採用。DIATONEリニアフェイズは、スピーカーから出てくる音の周波数ごとの強さや伝達時間などを解析したデータから音の歪を補正。おススメ音量では、視聴中に突然変わる音量を制御。バランスを崩さずに最適なダイナミックレンジに変換することで、小さな音は大きく、大きな音は抑えるように自動調整する。

入力端子はD-SUB、DVIといったPC用のほか、AV機器に対応したVideo、S-Video、ハイビジョン対応のD5、HDMIを装備。テレビと同等の操作性を実現するために、起動時にすぐに表示できる「TV起動モード」を持つほか、EPG(電子番組表)やデータ放送にも対応した。PCとテレビの2画面表示機能では、画面切り替えボタンを押すことで、2画面を並べて表示したり、PoP画面に切り替えたりできる。

「MDT221WTF(BK)」のデモ。PCの画面を表示しながら右下にテレビ画面を入れ込んでいる

ゲームに最適な「MDT243WG」では、最新の動画技術「MP ENGINE」を搭載。液晶画素の中間階調で応答速度を向上させる「オーバードライブ技術」のほか、画像の一部に黒画像を挿入する「黒挿入技術」、黒画像挿入と同期してバックライトの一部を消灯する「バックライトスキャニング技術」を組み合わせることで、動画のゆれやぼけを抑えた。さらに、新型バックライトの採用とダイナミックドライブコントロール技術により、輝度が従来比約20%アップしている。

「MDT243WG」ではフレームの一部を黒くすることで、画質を向上させた

「MDT243WG」の画面を撮影したところ。中央に黒い影があるが、このような感じで画面の一部を黒くしている

この「MDT243WG」ではべゼルがつや消しになっている「MDT243WG-SG」も限定3,000台で同時発売。使用環境にあわせて選べるようになっている。

なお、三菱電機は2009年度以降、超解像技術、階調拡張技術に続き、倍速スキャン技術を投入した新製品を開発していく。すでに研究所レベルでは実現しているが、いつ、どのような形で提供できるかは未定とした。