NPD Groupの音楽市場調査MusicWatchによると、2008年上半期の米国における音楽販売でAppleのiTunes Storeが小売り1位だった。

MusicWatchは米国の13歳以上を対象にした消費者調査で、CDおよびデジタル音楽ダウンロードの購入動向を調べている。08年上半期の米音楽小売りトップ5は以下の通り。なお集計された購入数には、携帯電話向け着信音やサブスクリプション形式の音楽売上げは含まれていない。

1 iTunes Store iTunes Store
2 Wal-Mart Walmart、Walmart.com、Walmart Music Downloads
3 Best Buy Best Buy、Bestbuy.com、Best Buy Digital Music Store
4 Amazon Amazon.com、Amazon MP3
3 Target Target、Target.com

Appleは2007年9月にiPodの新製品群を投入、昨年のホリデーシーズンも順調に売上げを伸ばし、2008年1月にiTunes Storeが米音楽小売り1位を獲得、その位置をキープし続けた。トップ5の中で同ストアは唯一CDを取り扱っていないデジタルダウンロード販売の専門店だが、「CD販売が減少するにつれて、Appleが音楽小売り市場におけるリードを広げると予測している」とNPD Groupのエンターテインメント担当アナリストであるRuss Crupnick氏。今年上半期を通してiTunes Storeがトップの座を確立したのは、消費者のCDからデジタルダウンロードへのシフトを現していると見る。

2位以下ではAmazonが前年同期の5位から4位に順位を上げたが、これも昨年にスタートさせたデジタル音楽ストアAmazon MP3の成功がCD販売の減少分を補ったためと分析する。またCD販売についても、実店舗に比べてオンラインストアの減少幅が少なく、AmazonはCD販売の中で優位な地位を保っている。「デジタルダウンロードストアの立ち上げ成功は、Amazonの順位を今後押し上げる要因になるだろう。一方AmazonのCD購入者には高齢化が見られ、彼らは現在の一般的な音楽購入者のようにCDを見捨てたりはしない」とCrupnick氏。Amazon MP3で販売されているDRM(デジタル著作権管理)フリーのデジタル音楽は、iPodを含む幅広いデジタル音楽プレーヤーで再生できる。加えてAmazon.comでは、同じオンラインストア内でCD販売とデジタルダウンロード販売が、それぞれのデメリットを補完しあっている。

米音楽小売りは今後、iPod人気を追い風にしたAppleのiTunes Storeと、バランスの良さを強みとするAmazonの2強の争いに向かう可能性が高い。