EMERGING TECHNOLOGIES展示セクションでは大学だけではなく、一般企業の最先端技術も数多く展示される。後編の今回は、このあたりを多めに紹介していきたいと思う。

EMERGING TECHNOLOGIESブース

OLPCブース~1台140ドルのノートPCを子供1人1人に!

EMERGING TECHNOLOGIESブースで常に黒山の人だかりが出来ていたのはOLPCブース。

OLPCは「ONE LAPTOP PER CHILD」の略で「ノートPCを子供に1台ずつ」の意が込められた非営利法人だ。

OLPCは全世界の子供達にITへ触れる機会を均等に設ける…ということをコンセプトに活動しており、具体的にはアフリカやアジアの発展途上国の子供達に安価にノートPCを提供することを行っている。

中古のPCのリサイクルには思ったよりコストがかかってしまう点と、発展途上国では家庭に電気が来ていないところもあることにも配慮しなければならず、OLPCではこのプロジェクト専用の超安価なノートPCを設計する方針を採択した。なお、学校や図書館で共有コンピュータを使えばいいじゃないか、という案もあり検討されたが、子供達の学習教材として考えた場合や、コンピュータを活用したネットワークの概念を学ぶにはやはり一人一台が望ましいだろうという判断があったのだそうだ。

今回展示されたのは、このOLPCプロジェクトのために開発されたノートPC「XO LAPTOP」。

XO LAPTOPは単なるトイ・パソコンではなく、発展途上国の子供達のために開発された低コスト実用パソコン

まだ試作品であるため、いくつかのバリエーションがあるようだが、今回展示されたのはAMD Geode LX700の500MHz駆動版だとのこと。

メインメモリはDDR333 SDRAM 256MB。ハードディスクはなく、その代わりフラッシュROMを1GB搭載している。

液晶ディスプレイは7.5インチの1024×768ドット解像度のデュアルモード液晶。デュアルモードというのはバックライトを使ったときにはカラー液晶として見え、バックライトを切ったときには外光反射型モノクロ液晶として機能できる液晶のこと。屋外での使用にも配慮してこのようなパネルの選択をしたという。

バックライト表示時はカラー表示となる。なかなか綺麗だ

無線LANはIEEE802.11b/g対応を搭載。アンテナは液晶パネル両端に装着されてダイバーシティ機能に対応する。

充電式のバッテリーも搭載しており、バックライトを切り、プロセッサも省電力モードで動作すれば約3日間のバッテリー駆動が可能だという。

OSはRed Hat Linuxを採用。アプリケーションはプリセットされたものを活用する。

アプリケーションはワープロ、計算器、音楽学習ソフト、Webブラウザのような実用系ソフトの他、ビデオチャット、メディアプレイヤー、お絵描きツール、各種ミニゲームといった趣味志向のソフトまでが含まれている。

入力はキーボードとタッチパッドになるが、キーボードは一枚の大きなゴム板にキーの凹凸が付いたもので、独立キーにはなっていない。

液晶パネルはクルリと回転しタブレットPCのようなスタイルで持つこともできるがタッチパネルには対応していない。液晶パネルの左右には十字コントローラが付いているので、この形態の時にはこれらを活用しての操作になる。

価格は一台あたりUS$140前後だとのこと。とはいっても、これは個人対象に売っているものではなく、政府が大量に買い入れた場合の価格。

トイ・パソコンとして評価しても、PCの本質機能はかなりしっかりしており、実用ソフト、ホビーソフトの充実ぶりにも感心させられる。拡張性はほとんど無いが、それでもUSBポートやSDメモリーカードスロットは実装されているのにも驚かされる。スピーカー、音声マイク、ビルトインカメラといったメディア機能も揃っており、ビデオチャットも楽しめるのだから凄い。もしかしたら先進国でも教育用コンピュータとして興味を示すところが出てくるかもしれない。

キーボードは一枚ゴムに凹凸が付けられた一体成形タイプ。コスト的に安いだけでなく防水性に優れる

非常によくできているため注目度が高く、人気の高い展示となっていた

液晶を開展させて十字キーで操作することも可能。大きさは閉じたときでW242mm×H228mm×D30mmでいわゆるB5ファイルノートクラス