おすすめツールは? 今さら聞けないオンライン飲み会の楽しみ方
外出自粛要請により、急速に普及したオンライン飲み会。その楽しみ方のコツを、オンライン飲み会専用LINEグループを主催するコラムニストのマドカ・ジャスミンさんが解説。ツール選びのポイントや、トークテーマを紹介します。
新型コロナウイルス感染症の流行による外出自粛要請が出てから、一カ月以上の時が経った。バーやカラオケ、飲み屋といった遊び場へ行けない、友人たちともなかなか会えない、新しい出会いの場に赴けないといったフラストレーションに苛まれる一方、“そのために必要なものは全てそろっている”と言わんばかりに新しいカルチャーがもう生まれている。
それこそが、オンライン飲み会。
新しいカルチャーと紹介はしたものの、ぶっちゃけオンライン上での飲み会自体は私の記憶の限りでは10年以上前から存在する。音声通話やビデオ通話ではなく、テキストチャットを用いたものであれば、ざっくり20年ぐらい前から行われているのだ。
なので、長年のインターネットヘビーユーザーにしてみれば、さほど目新しさはない。ただ、ここ10年でスマートフォンが普及し、それに伴いコミュニケーションサービスも劇的な進化を遂げた。その点において、昔よりもオンライン飲み会へのハードル自体は下がったと断言できる(Wi-Fiじゃなくて、無線LAN呼びだったあの時代が懐かしい)。
オンライン飲み会、やったことある?
カルチャーのリバイバルがごとく、世間に広く認知され始めたオンライン飲み会。
最近では、地上波の情報番組にも取り上げられるなど、さらに認知度と注目度は上がっていくと予想できる。しかし、個人的には、ブームが起きているのはインターネットリテラシーが高い層のみの話だと感じざるを得ない。
私自身も4月1日からオンライン飲み会専用LINEグループ(主にZoomを利用)を主催しているが、現在所属している計30人のメンバーもやはりインターネットリテラシーが高い人たちばかり。オフはおろか、ビジネスツールとしてSNSを用いていることもザラ。
一見、「当たり前」に感じることですら、大多数の人間からすれば特異なのである。そして、その延長線上にオンライン飲み会があるという認識だ。
この記事に辿り着いたあなたは、すでにインターネットリテラシーが高い、もしくは高くありたいと思っている人だろう。コロナ時代の今、家で出来ることを模索するのは賢い。
おすすめのツールは?
スマートフォンの普及と比例するかのように、この10年間でありとあらゆるコミュニケーションサービスが生まれては消え、また生まれて、を繰り返してきた。
過去のオンライン飲み会で用いるサービスはSkype一強だったが、今ではさまざまなサービスをユーザーが使い分けることが主流となっている。
その中でも、昨今のオンライン飲み会で多くの人が利用している二大サービス、ZoomとLINEに注目。それぞれにメリットとデメリットがあるので、自分や周りのニーズに合致しているサービスを用いてみよう。
Zoom
URL:https://zoom.us/jp-jp/meetings.html
メリット
PC版とスマートフォン版共にバーチャル背景を設定できるので、部屋を映さずに済み、さらにはその背景自体がネタとなる。
SNSで相互アカウントでなくても、URLをシェアするだけで参加可能なので、ツール上で「友だち」のようにアカウント同士がつながる必要はない。ゆえに飛び込み参加も容易い。また参加の段取りや入退室がラクという点も◎。
デメリット
3人以上のミーティングを40分以上行う場合、ホスト(ミーティングを作る人)が有料プランに登録している必要がある。アップデートは迅速だが、セキュリティ問題が取り沙汰されている。
「Zoom飲み」というワードが流行っているが、Zoomを使う特化した理由は現段階ではない。
LINE
メリット
サービス自体が生活に根付いているので、心理的ハードルがないに等しい。
スマートフォン版であればフィルター機能が充実しているので、すっぴんで過ごしている女性も顔出しをしやすい。元々友人関係であれば比較的誘いやすく、地元の友達を始めとした既に親密な人たちとのオンライン飲み会に最適。
デメリット
PC版のフィルター機能があまり充実していない。
加えてLINEで友達追加をしていなきゃいけなかったり、共通のグループに参加していなきゃいけなかったりするなどの必須条件があるので、新規の出会いの場には向いていない。初対面の人にも自分のLINEアカウントを知られることに抵抗感を抱く人もいる。
その他ツール
その他、オンライン飲み会で使えるサービスはこちら。これを機にチェックしてみるのもいいかもしれない。
Skype
Googleハングアウト
URL:https://chrome.google.com/webstore/detail/google-hangouts/nckgahadagoaajjgafhacjanaoiihapd
Microsoft Teams
URL:https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/microsoft-teams/group-chat-software
BlueJeans
URL:https://www.vtv.co.jp/cloud/bluejeans/bluejeans.html
オンライン飲み会の楽しみ方
ここまで読んで、「でも、いまいち楽しみ方を想像できない」と疑問を抱く人もいるに違いない。
私のような10代からリアル<インターネットが居場所だった陰キャラではなく、もはや「え? リアルって何?」みたいなお日様の下で生きてきた人たちにはぴんと来ない部分もあると想像が容易い。
ここでは、オンライン飲み会の楽しみ方をまとめていこう。
(1)事前にトークテーマを設定
対面での飲み会と違い、大人数の参加者の中で話題を細分化することがオンライン飲み会では難しい。逆に考えれば、『アメトーーク!』のように最初からテーマや企画を決めていると、初対面のメンバーが多い場面でも参加がしやすくなる。
私が主催するZoom飲み会で最近大盛り上がりしたのは、ずばり「いらすとや大喜利」。
いらすとやのイラストをメンバーの一人が選んできて、それが何を表すイラストなのかを当てるというものだ。厳密に言えばクイズだが、正解に辿り着くまでの大喜利を楽しんでいる。(まじでくだらなすぎて面白い)。
(2)友達の友達と気軽につながれる
対面でフランクに紹介するとなっても、1次会に2時間を要するとなれば、紹介をする方もされる方も少なからず身構えてしまいがち。
オンライン飲み会はその身構えをする必要が一切なく、思いつきで誘うことが可能だ。
場所の制約や移動がなく、対面で飲み会を開く時よりも時間の融通が利く。仮に自分が参加しているオンライン飲み会に別の友達を誘ったとして、その友達が「この飲み会は合わないな」と思えば、すぐに退出すればいい。
コツさえつかめば、外出をしなくとも交友関係を今まで以上に広げられるかも……?
(3)楽しい気分のまま寝落ち
いくら飲み会が楽しくとも、電車やタクシーの中で悪い方向に酔いが醒めてくれば、途端に楽しかった気持ちは減っていってしまう。私もよくある。
ひどいと急な吐き気で気持ちがおじゃんになるなんてことも。それでいえば、オンライン飲み会最大の利点は寝落ちできることなのではないかと率直に感じてならない。
お風呂上がりのお酒! 酔った! 潰れそう! おやすみなさい! ……最高すぎか! 外へ飲みに行くとしても、帰宅してから入浴することが一番面倒と思い、そのせいで出不精になっていた私の時代がやってきたと言っても過言ではない。
ちなみにオンライン飲み会の参加者には動画を映さず、音声通話のみで入浴しながら参加する人もいる。こういう自由なゆるさこそが大正義。
(4)疎遠になっていた人たちとの再会
オンライン飲み会は今目の前にある人間関係だけではなく、疎遠となっていた過去の人間関係にも光を当ててくれるらしい。友達に聞けば、何人かが高校や大学の同期とオンライン飲み会を通じ、旧友との再会を楽しんでいるそう。
また、100人規模のオンライン同窓会に参加した人もいた。テクノロジーの進歩は人との距離を縮めすぎたという意見もあるけれど、こういう機会で過去に縁があった人とまた顔を合わせられるのだから、テクノロジーにまた一つ感謝する面を知れたのだと気付く。
しかし、私はまだ一度も旧友とオンライン飲み会をしていないという残酷な現実も叩きつけられた。高校や中学同期のみなさん……これを機にオンラインで飲みましょう……。
(5)一晩で複数ミーティングをハシゴ
飲み会が大好きな人たちは、オフラインだろうがオンラインだろうが関係ない。“飲み会”なら飛んでくるし、むしろハシゴさえもする。
基本、主催オンライン飲み会に常駐しているので、私自身オンライン飲み会のハシゴは未経験だが、多い人だと一晩で6つもハシゴするとのこと。
そして、家で潰れて寝落ちしているとのこと。していることが渋谷や六本木と大差ないというツッコミはこの際してはならない。なぜなら、その人たちはただまっすぐに己の信念を貫いている。それだけなのだ。
たかが飲み会、されど飲み会
SNSを眺めていると、「オンライン飲み会なんてただ学習意欲がない暇人が群れているだけ」「酒なんて飲まず成長につながることをしなよ」といった(かまってちゃん天邪鬼的な)意見も散見しているけれど、参加している人たちが満足しているならそれで良くないか? が個人的な感想だ。
そもそも、私たちはこういう状況になって、自分たちが何をどう大切にしていきたいかについて否が応でも向き合わなければいけなくなった。
そういった状態では、孤独や寂しさ、虚無感が付随してくることも珍しくない。それで人は死ぬからな。
であれば、今は走れなくとも、考えられなくとも、笑える機会に笑うほうが健全な心を保てるだろう。足を引きずっているのなら、肩に手を回そう。そうしたら、ちょっとは前進できないか。
心がどこかへ行ってしまいそうになったとしても、テクノロジーが人と人とをつないでくれる。そういった意味でオンライン飲み会は機会じゃなく、れっきとした新たな居場所なのだと私は考えるのだ。
(マドカ・ジャスミン)
※画像はイメージです
※この記事は2020年05月08日に公開されたものです