デリカシーがない人の特徴とは? 300人に調査!
デリカシーの意味とは? デリカシーがない人の特徴や対処法は? 催眠心理療法士の浅田悠介さんが解説。また、併せて「デリカシーがない人」に関する300人への調査結果も紹介します。
「ちょっとデリカシーがないよね」。
こんな言葉を言われたことありません?
ドキッとしますよね。たぶん良くないニュアンスな感じがするから。半ギレ状態で言われたことすらあるかもしれません。落ち着きましょう。
今回のテーマは「デリカシーのない人」です。
そもそもの意味を学びながら、その解決法を探ってみようと思います。デリカシーはあった方がいいと思うんです。そのコツを紹介しますね。
デリカシーの意味とは?
「デリカシー」という言葉を辞書で引くと、以下のように記載されています。
デリカシー【delicacy】
感情、心配りなどの繊細さ。微妙さ。「―に欠ける振る舞い」「―のない人」
(『デジタル大辞泉』小学館)
シンプルにいえば「配慮・気遣い・繊細さ」になります。
いわば他人に対する態度のことですね。さらに噛み砕くと「相手の心や立場を思いやる気持ち」という意味になるでしょう。
デリカシーがない人の特徴5つ
今回、マイナビウーマンではデリカシーがない人について20~39歳の男女300人にアンケート調査(※)を実施しました。
そこで寄せられた「デリカシーがない人の特徴」について、コメントと共に紹介します。
(1)他人を傷つける発言をする
これが大きな特徴かもしれません。
言葉で、さらりと他人を傷つける発言をします。わざとではありません。しかし他人の心の弱点に触れてしまうわけですね。
飲み会で「昔いじめられてたんだよね?」と声を大にしたり、友達の描いた絵を見て「なんか下手だね」と言ったりなど。
そうして傷つけられた人間が「デリカシーないよね」と言うのです。
- 「同窓会で久しぶりに会った異性に対して『太った?』と体型のことを言ったり、二の腕をつかんだりしていた」(30歳/女性/IT関連技術職)
- 「コンプレックスに感じていることを知った上で指摘してくる人は、本当にデリカシーがないと思う」(33歳/女性/その他技術職)
- 「悪気はないと思うけど、平気で女性に大変失礼なことを連発していた」(39歳/男性/販売・サービス関連)
(2)声のボリュームや物音が大きい
これも面白い特徴です。
デリカシーのなさはボリュームにも表れます。声の大きさや、コップを置いたり、ドアを閉めたりするときの物音など。
まさに「周りを気遣うことができているか?」というわけです。
改めて、他人にも耳があって、ものを感じていて、何かを考えている、ということに思いを馳せるのが大事かもしれません。
- 「共有スペースで大声を出したりタバコを吸ったり、とにかく自分のことしか考えていないと思われる人を見た」(35歳/男性/公共サービス関連)
- 「父親が、映画館のような静寂を保たないといけない場所で独り言を言ったり、音を立ててお菓子を食べたりする」(34歳/男性/専門職関)
(3)会話のTPOをわきまえない
この「デリカシーないよね」は主に会話のときに表れます。
ちょいとズレているのです。初対面で馴れ馴れしい口をきいたり、つらい過去をほじくりかえしたり、異性にセクシュアルな話題をぶちこんだりなど。
あまり使いたくない言葉ですが「空気を読めない」ということかもしれません。とはいえ会話の癖を直すだけで、十分、挽回可能です。
- 「セクハラにあたるようなことを、女性である私に話してくる(さも私もその話題で楽しめるかのように)」(30歳/女性/事務・企画・経営関連)
- 「場所などをわきまえて話せない人は、デリカシーがないなと感じます。『今ここでその話する⁉』ってなりますね」(33歳/女性/事務・企画・経営関連)
- 「急ぎの業務に当たっている時、大声で私語を始めた」(37歳/男性/公共サービス関連)
(4)マナー違反をしがち
このように特徴を表すこともできます。
上に挙げたように会話で失礼な振る舞いをしたり、レストランのテーブルマナーが(あまりにも)乱れていたり──といった具合です。
そもそも公共マナーは「他人の心を害さない」ようにできています。みんなで気持ちよくいるためのルールだから。
つまりデリカシーのない行為は、そのままマナー違反にもなりえるのですね。
- 「会社の決まりで車内禁煙なのに、隠れて吸っている人がいる」(39歳/男性/フリーター)
- 「駐輪場や電車などのルールを守らない」(37歳/女性/事務・企画・経営関連)
- 「図書館でとても大きな声でしゃべり、うるさい人がいた」(37歳/男性/技能工・運輸・設備関連)
(5)自分には正直
すごく重要です。
デリカシーがないとは「自分に正直」ということなのです。
全てにおいて、好きに発言して好きに行動する──という行動原理なのです。
しかし社会は自分だけで成り立っているわけでありません。ちょっとずつ譲り合うのが大人の生き方であります。そのため身勝手に映るのですね。
自分に正直過ぎるのは考えものかもしれません。
- 「何でも自分勝手です。信じられないほど」(27歳/男性/学生)
- 「自己中心的で周りの迷惑になる」(31歳/男性/IT関連技術職)
デリカシーがない人は男性に多い?
今回のアンケートでは、「デリカシーがない人は男性と女性どちらに多いと思いますか?」という質問もしました。
その結果、約4割の人が「性別は関係ない」と答えたものの、それを上回る半数の人が「男性」と回答しました。
※有効回答数300件
では、なぜこのような結果になったのでしょうか。
それは「男性の方が周りを気にせず生きていける社会だから」という理由が大きいでしょう。良くも悪くも男性は注意される機会が少ないのですね。現状そうなってしまっているのです。
先天的に、男女の性差でデリカシーの有無は決まりません。
しかし後天的に、女性の方が気を使うことを求められる場面が現代社会ではまだ多く、気を使う術を身に着けていくことが多いのです。「何かと性格を見つめ直す機会が多いから」というわけです。
彼はなぜデリカシーのない発言をするの? 心理カウンセラーの小日向るり子さんが分析・解説します。
▶次のページでは、デリカシーに欠ける人の心理、デリカシーがない人への対処法を解説します。
デリカシーに欠ける人の心理
では、こうしたデリカシーのない言動を取る人は、何を考えているのでしょうか。心理を覗き見していきます。
(1)鈍感
端的に言えば、“考えなし”であることがほとんどです。
相手を傷つけてやろうとか、マウントを取ってやろうとか、そんなつもりはないのです。だからこそ、厄介でもあります。
デリカシーのない人には、その自覚がありません。だから、平気で何でも口にできるわけです。
鈍感な心理状態のため、逆に自分が何を言われも平気。相手にデリカシーのない言動を取られても気づきません。
(2)言えば盛り上がると思っている
デリカシーのなさに自覚があるパターンはこれでしょう。未だに、デリカシーのない発言が場を盛り上げると思っている化石のような人もいます。
誰かをおちょくって、それで周りが失笑していることを「面白い」と勘違いしているのです。――実際の現場は全く面白くないのに、です。
(3)距離を縮めたい
少し砕けた会話や、ふざけた言い合いで、人と人との距離は縮まることがあります。
デリカシーとは縁慮のない状態。遠慮を取っ払えば、相手の懐に入れると思っているのです。
確かに、親しい間柄では遠慮をなくすことによって、仲が一層深まることもあるでしょう。ただし、そもそも“親しい”という前提のエクスキューズがあります。
親しくも何ともないのに、無縁慮な言葉をかけられては、誰だってイラついたり傷ついたりするもの。その事実に、デリカシーがない人は気づいていないのかもしれません。
デリカシーがない人への対処法
では、デリカシーがない人に出会った場合、自分を守るためにどんな付き合い方をしていくといいのでしょうか。アンケートへ寄せられたコメントと共に紹介します。
(1)こちらも図々しくなる
先述の通り、デリカシーのない人は、そもそもそれに気づいていません。そして、相手のデリカシーのなさにも中々気づきません。
従って、遠慮は不要。こちらも図々しくなってしまいましょう。つまり、対等なコミュニケーションを図るのです。
相手を変えることは難しいもの。なので、「私も言っているし、まあいっか」と割り切れるよう、こちらのスタンスを変えてみるのも手です。
- 「相手との関係性を切って良い場合は、『これが最後』と思って相手を上回るくらい言い返して良いと思う。関係を継続する場合はスルーに限る」(36歳/男性/販売・サービス関連)
- 「デリカシーがない人は鈍感なので、面と向かって嫌味や悪口を言っても自分の事だと気づかない」(31歳/女性/求職中・無職)
(2)スルースキル発動
気にしないことです。おおよその場合、相手には深い意味がないからです。つい口から出てしまう性格なのです(それで傷つけられるのも嫌ですが……)。
相手に対する期待を捨てましょう。「仕方のない人」と割り切って、デリカシーのない発言はスルーです。嫌な発言に対しては、あえて“聞く耳を持たない”のも、賢い生き方です。
- 「関係は悪化させたくなかったので、左から右に聞き流してた」(29歳/男性/販売・サービス関連)
- 「適当に『ああ、そうなんだ』と興味なさそうにして話を終える」(33歳/男性/技能工・運輸・設備関連)
- 「とりあえず、反応なしで本人をしゃべらせておく」(30歳/男性/公共サービス関連)
(3)「ありがとう、大丈夫」とお礼を伝える
デリカシーのないアドバイスをもらったら、「ありがとう、大丈夫」と一言お礼を言って、ばっさり空気を切りましょう。
お礼を言うことで嫌な空気を作らず、かと言って話がこれ以上続かないよう、「大丈夫(=結構です)」と笑顔でお断りしましょう。
- 「冗談っぽく笑って返すこともありますが、『もうこれ以上会話を続けたくない』と思って会話を終わらせることのほうが多いです」(33歳/女性/事務・企画・経営関連)
(4)冗談風に突っ込む
相手はそもそもデリカシーのない人です。従って、多少強気に出ても問題ありません。それによって、不穏な空気になることはあまりないでしょう。
冗談っぽく、「今の発言、デリカシーないですよ~」とツッコミましょう。気づく人はこれで気づくし、それでもやめない人は一生気づきません。
後者の人は、もうこの際永久に放っておきましょう。
- 「年齢をしつこく聞かれた時、『はぐらかしてるのに食いつきすぎじゃない⁉』と冗談めいて突っ込みました」(39歳/女性/専門サービス関連)
- 「相手の出方次第で、冗談っぽく言ったりにらんで黙らせたりする」(35歳/男性/公共サービス関連)
▶次のページでは、「デリカシーがない」と言われないようにするにはどうすれば良いか紹介します。
「デリカシーがない」と言われないようにするには
では、自分が逆に「デリカシーがないよね」と言われないようにするには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
(1)落ち着く
とにかく落ち着きましょう。
実はデリカシーのない人は緊張しいなのです。人前に出るとアガってしまって、つい口がすべってしまうのですね。他人を前にしても、冷静でいる癖を付けましょう。
そのコツは息を吐くことです。
ゆっくり吐きましょう。息を吐くと、あとは自然と吸い込めますから。
息を静めることで体をゆったりさせるのです。8~10秒くらいかけて吐ききるイメージです。試してみてください。落ち着けるはずですよ。
- 「相手に立場になって感情的にならずに話をすることを心掛ける」(25歳/女性/専業主婦)
- 「言う前にひと呼吸おく」(39歳/男性/フリーター)
(2)声のボリュームを調整する
その場に適した声の大きさを意識する、ということもできます。
声のボリュームを調整するとは、周りや相手の心情を気に掛けることです。その訓練になるのですね。周りに思いを馳せないとできないことですから。
ぜひ「この場にふさわしい声の大きさはどれくらいかな?」と考えるようにしましょう。会話にも大人のムードが漂うはずですよ。
- 「できるだけ声のボリュームを抑える」(26歳/男性/建築・土木関連技術職)
- 「お店では大声で話さないようにしている」(36歳/女性/専門サービス関連)
(3)話を持ち出すとどうなるかを考えてみる
いったん頭の中でシミュレーションをしましょう。
思い付くままに発言するのを控えるのです。立ち止まって「これはTPOにかなっているのかな?」「相手を傷つけないかな?」と考えましょう。
そうした時間を作ることで余裕が生まれます。自分と、相手と、周りの環境を俯瞰的に眺める癖を付けるのです。
- 「性的な話題や相手が良く思わないであろう話題は振らないように気をつけている」(30歳/女性/務・企画・経営関連)
- 「センシティブな話題は1対1で行うなど、TPOを意識した配慮を徹底する」(35歳/男性/公共サービス関連)
(4)気遣いの上手な人を真似る
芸は模倣なり(芸ではありませんが)という言葉もあります。
とにかく真似るのです。周りの気配り上手を見つけましょう。観察するのです。発言や振る舞いに至るまでコピーするのです。
コツとしては几帳面に一語一句を真似するのでなく、何となくの雰囲気を感じ取るイメージです。ぼやっと真似るのですね。
細かいポイントを押さえるよりも早いかもしれません。
- 「飲み会でずっと聞き手に回っていたら、飲み会に誘われることが増えた」(33歳/女性/フリーター)
- 「特に初対面の人には、丁寧に対応する」(30歳/男性/公共サービス関連)
(5)マナーを守る
ここも押さえておきましょう。
その場に合わせたマナーを学んで気を付けるのです。
空気を読むのは難しいですが、それと比べるとマナーを守るのは簡単です。
目に見える形でルールがあるからです。相手の顔色ではなく、とにかく場のルールを守るというわけですね。
ビジネス、恋愛、社交の場など、場所ごとのマナーを調べてみましょう。
- 「最低限のマナーを考えて、相手を傷つけないよう心掛けて会話している」(32歳/男性/事務・企画・経営関連)
- 「常にマナーは気にしてる。そうすると、大声で話すことがなくなるし、自然と相手の気持ちを考えられるから」(24歳/男性/事務・企画・経営関連)
デリカシーを気にしすぎる必要はございません
最後に一つだけ言わせてください。
今回このコラムで、デリカシー、デリカシー、デリカシー、と口を酸っぱくしてお伝えしました。すいません。それこそデリカシーのない行為だったかもしれません。
とはいえ、もちろん、空気を読み過ぎる必要はありません。これは自分を押さえこんで、周りの感情や立場を優先させなくてはいけない──という話ではないのです。
たぶん、私たちの世界は、自分の好きなことだけを言って、動いて、生きるには狭すぎるのです。
だからこそ、ちょっとずつ譲り合う気持ちが大切なのですね。満員電車の中で少しだけ身体を縮めるみたいに。
貴女の元に幸せが舞い降りるように祈っております。
(浅田悠介@令和の魔法使い)
※画像はイメージです
※マイナビウーマン調べ
調査日:2023/2/21
調査対象:20~39歳の男女
調査人数:300人
※この記事は2020年04月15日に公開されたものです