太陽光発電やめた後の土地はどうなる?FIT終了後や赤字の際の活用方法を解説

太陽光発電が次世代の再生可能エネルギーとして振興され、空き地にソーラーパネルがずらりと並べられる様子が珍しいものでなくなってから久しいものです。しかし、赤字などさまざまな事情により太陽光発電をやめたい、やめざるを得ないという人も増加しています。

そうしたときに疑問となるのが「やめた後の土地はどうなるのだろう?」という点です。この記事では、太陽光発電をやめる理由や土地、機材の処理、その後の運用について紹介していきます。太陽光発電投資を行っているが、このまま続けていくことに不安を感じている人はぜひご覧ください。

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目次

太陽光発電投資をやめた理由

太陽光発電投資をやめた理由

太陽光発電の投資をやめたという人々の間でよく聞かれるのが、以下のような理由です。

  • 近隣住民との間にトラブルが起きた
  • メンテナンス費用の負担が大きい
  • 自然災害で破損してしまった
  • FITが終了して売電価格が下がった

投資をやめるくらいなので、いずれも軽い問題ではありません。これらは太陽光発電を行う上でのリスクでもあるため、太陽光発電への投資を続けていくとしても把握しておくとよいでしょう。

近隣住民との間にトラブルが起きた

太陽光発電が近隣住民とのトラブルを招くことは珍しくなく、それを理由に太陽光発電から手を引く人も少なくありません。トラブルの内容としてしばしば散見されるのが、以下のような内容です。

  • 景観への害
  • メンテナンス不足による雑草や泥水などの害
  • 太陽光の反射による害
  • 電磁波悪影響説

景観への害

景観への害はもっともメジャーなトラブルだといわれています。自然に優しいとされる太陽光発電ですが、発電所のソーラーパネルは自然に対する異物と見なされることがあるのです。

地方の用途が少ない空き地に太陽光発電所が設置されることも多いのですが、豊かな自然や農地の風景が害されると見なされて、苦情を招くことがあります。

メンテナンス不足による雑草や泥水などの害

土地のメンテナンス不足により発生した雑草や泥水などが、近隣地に害を与えて苦情となることもあります。ただし土地を適切に整備していくことで害を緩和することができます。トラブルそのものよりも、定期的な手入れや近隣地への配慮が負担となり、投資をやめるに至ったケースといえるでしょう。

太陽光の反射による害

太陽光発電所のソーラーパネルは、太陽光を受けて発電するという仕組み上、かなり日当たりのよい場所に設置されます。そしてそのパネルによる太陽光の反射による光害も少なくありません。パネルから反射された光は非常に熱く眩しいため、反射先にある家の温度を跳ね上げたり、光によってカーテンなしでは生活できなくなったりしてしまいます。

致命的なものとして、反射光により熱中症や眼科の病気になったり、自動車の運転に支障が出たりするトラブルなども存在しています。実際に姫路のメガソーラー施設が熱中症を招いたとして、損害賠償を求めて裁判になったケースもあり、発電所のオーナーにとっては撤退を考えるほど深刻な悩みといえるでしょう。

電磁波悪影響説

「太陽光発電所が発する電磁波が害になっている」という苦情も存在しています。結論から言うと、太陽光発電に使用されるソーラーパネルは、人体に対して特に有害な電磁波(高周波の電磁波)を発していません。

しかし科学的に妥当で安全であるという事実が、近隣住民の安心につながるとは限りません。解決しようのない害の苦情を言われてしまえば、オーナーが投資を諦めてしまうことにもなりかねないのです。

メンテナンス費用の負担が大きい

太陽光発電に使用するソーラーパネルは精密機械です。メンテナンスを行わずに、土地には雑草が生い茂り機材は放置したままという状況では、最悪の場合、ソーラーパネルが発火したり発電や売電ができない状況に陥ったりすることがあります。もちろん修理費用も非常に高額です。

そうならないためには日頃からメンテナンスを行う必要がありますが、メンテナンス費用も相応の出費となってしまいます。設備維持のためのコストは年に数十万円といわれており、詳細なメンテナンスの相場は以下の通りです。

メンテナンス内容費用の目安
雑草処理1回50,000円、最大年4回
ソーラーパネル清掃1回10万円
ソーラーパネル検査・目視検査1回10万~20万円
発電量のチェック遠隔監視機器購入費:(初回のみ)10万~50万円

通信費:毎月1,000~3,000円

駆けつけ対応1回10,000円
除雪1回10万円

これらの負担は決して軽いものではないため、収入と支出が見合わずに投資をやめるに至ったという人も存在しています。

自然災害で破損してしまった

太陽光発電所は屋外に置かなければならないため、常に自然災害のリスクにさらされています。

土砂崩れや地震による落下物でパネルが破損したり、豪雨や台風によってパネルそのものが吹き飛ばされたり、飛来物によって破壊されたりすることもあります。

リスクにさらされているのはパネルだけでなく、パワーコンディショナについても同様です。パワーコンディショナは落雷や雹、大雪で破損する事例があります。

火災保険や動産総合保険で損害を補うことはできますが、機材の破損によって撤退を選ぶ人も珍しくありません。

FITが終了して売電価格が下がった

FIT制度による固定買取価格は年々減少しているため、売電により得られる利益が減少している傾向にあります。また、FITそのものの終了によって安定した売電を行えなくなったために、事業からの撤退のタイミングとする人も数多く見受けられます。

そもそも太陽光発電のランニングコストは高いため、収入に対して支出が上回ることもあるでしょう。そうなれば経営が立ち行かなくなるため、太陽光発電をやめざるを得ません。

参考文献:経済産業省「固定価格買取制度(FIT制度)とは」

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太陽光発電をやめた後の土地や設備はどうなる?

太陽光発電をやめた後の土地や設備はどうなる?

太陽光発電をやめるにあたり気になる点は、それまで経営を行っていた太陽光発電所をこれからどうするかということです。

土地と設備の持ち主が自分かどうかで、対処法やできること・できないことが異なるため、それぞれのケースごとに見ていきましょう。

土地と設備を借りていた場合

土地と設備の両方を借りて太陽光発電投資を行っていた場合は、20年の買取期間が終了後に土地と発電設備の全てが業者のものになります。やめた後は何もする必要がないため心配することはありませんが、同時に何にも関与することはできません。

設備を借りていた場合

土地のみが自分のものの場合には、設備は業者が回収することになります。しかし、もしも業者が潰れてしまっていた場合は、撤去の責任を被ってしまう可能性があります。

土地を借りていた場合

設備が自弁で土地のみを借りていた場合は、地主と太陽光発電をやめる旨の話し合いを行い、太陽光発電設備を自分で撤去することになります。

また契約内容にもよりますが、原則として土地は地主に返還する必要があります。太陽光発電に関する設備の処理は自分で行わなければなりませんが、空いた土地を活用する権利は発生しません。

土地と設備の所有者が自分の場合

土地と設備を自分で所有している場合は、これまで通りに自分の所有物として扱われます。

太陽光発電の設備を処分するかどうかも、土地のこれからの運用も全てが自分次第です。

設備ごとに土地を販売したり、設備を処分して別の用途に使用したりするなど、さまざまな活用方法があります。自由度は高いものの、処理の負担も大きいといえるでしょう。

太陽光発電をやめた後の土地活用法

太陽光発電をやめた後の土地活用法

太陽光発電の経営をやめた後は、土地と設備の今後をどうするかを決めなくてはなりません。ずっと放置しておいても利益は発生しませんし、トラブルの元として残り続けてしまいます。活用法としては以下のようなものが挙げられます。

  • 太陽光発電用地として売却・貸し出す
  • 中古の発電所として売却する
  • 太陽光発電の売電を続ける
  • 自家消費で別事業を展開する
  • 太陽光発電設備を撤去する

それぞれのメリットやデメリットについて、順に見ていきましょう。

太陽光発電用地として売却・貸し出す

土地のみ、あるいは土地と設備を、そのまま太陽光発電用地として市場に出すことができます。太陽光発電は安定性の高い事業なので高値での売却が期待でき、土地そのものは売却したくないという場合でも賃借は可能です。さらに固定資産税を賃料で賄うことができるなど利点も多く、買い手としても売電と発電の実績があることはメリットといえます。

ただし用地として土地だけを売却する場合は、設備の撤去費用は自分で負担しなければなりません。「土地は欲しいが、設備は新しいものに変えたい」といったニーズが見受けられる場合は、撤去費用に見合った利益が得られるかどうかを考えてから、売却か貸し出しを行うようにしましょう。

中古の発電所として売却する

土地と設備をそのまま中古発電所として売却する方法もあります。中古というと、一見需要が少ないように感じられるかもしれません。

しかし、そのような印象に反して人気が高いため、市場でも他の不動産物件と同じように活発に売買されています。具体的に中古発電所は以下の理由から非常に人気です。

  • 売電実績があるため、融資の事業計画が立てるのが簡単
  • 発電の実績があるため、融資を付けるのが簡単
  • 売電の単価が高い発電所を所有することができる
  • 初期の施工や機器の不良に遭いにくい

発電所の維持費に加え、固定資産税や苦情対応などのコスト負担も0にできることは大きなメリットといえるでしょう。

一方で、土地と設備はこれからも現役の発電所として活動し続けることになるため、得られるはずの利益を手放すことになるのも事実です。しかし「今後も太陽光発電を続けて利益を得たい」という意思がなければ、売却は良い選択肢であるといえるでしょう。

太陽光発電の売電を続ける

太陽光発電をやめずに、そのまま太陽光発電を続けることも悪くないでしょう。買取価格はFIT終了前よりも大幅に低くなりますが、収入を得ることは可能です。

もちろん、ランニングコストと収入が見合ったものかどうかを考えた上で、選ぶべき選択肢です。

自家消費で別事業を展開する

太陽光発電設備を撤去せずに、資産として維持して発電を続け、産まれた電力を別の事業に使用するという選択肢もあります。実際に、企業によっては以下のような事業が考えられています。

  • 植物工場で野菜を育て販売する
  • 仮想通貨のマイニングに電気を利用
  • 電力をデーターセンター運営に利用

電気の別事業への転用の目途が立つようであれば、資産として持ち続けるのも良い選択肢でしょう。

太陽光発電設備を撤去する

太陽光発電に関する設備の一切を撤去し、通常の土地として運用することも選択肢のひとつです。関連設備を排除した後の土地はまっさらな状態で、駐車場や住宅地として活用したり更地として売却したりすることが可能です。ただし太陽光発電所を建設するような立地で成立する投資方法は限られます。

そのため撤去費用と見合った利益が得られるかどうかや、長期的に太陽光発電を経営した場合の利益や赤字に見合っているかを考えて決断するようにしましょう。

具体的な設備の撤去費は後述の「撤去費用の相場」でご紹介します。

太陽光発電設備を処分するには?

太陽光発電設備を処分するには?

太陽光発電に使用する設備には一定以上の金額が必要ですが、処分する際も業者への依頼が欠かせず、そのための費用も発生します。太陽光発電設備の処分にあたっては、以下の3つの点に注意しておきましょう。

  • 中間処理業者に依頼する
  • 撤去費用の相場
  • 撤去費用の積み立ては義務化される予定

中間処理業者に依頼する

太陽光発電設備であるソーラーパネルは、ガラスや架台部分を除いてリサイクルの行えない有害な物質が使用されています。自然に優しい太陽光発電も不法投棄されてしまえば、土地に深刻な汚染を及ぼすことになりかねません。そのため基本的には産業廃棄物として処分することになり、中間処理業者に依頼する必要があります。

撤去費用の相場

太陽光発電システムの撤去にかかる費用は以下の通りです。

  • ソーラーパネル1枚あたり約1,000円
  • 発電量10kwあたり約50万円、20kwで約100万円

ソーラーパネル自体と設備に上記の撤去費用がかかりますが、ソーラーパネルの数が多いほど負担は増加する点には注意しておきましょう。

撤去費用の積み立ては義務化される予定

太陽光発電をやめることは容易ではないため、長らくソーラーパネルの不法投棄や発電所の放置などが懸念されていました。

こうした問題を背景に出現した新たなFIT法改正法案では、撤去費用の積立金を売電金額から源泉徴収で回収することが想定されています。FIT認定を受けた10kW以上の全ての太陽光発電事業者が対象です。

なお積み立てはFIT買取期間20年のうちの後半10年間から始まるため、対象者の方は注意しておきましょう。この法案は2022年7月から施行されました。

今後リサイクルできる可能性もある

ソーラーパネル-リサイクル-専門家-解説

ソーラーパネルは、その特殊な構造からリサイクルすることが難しいとされてきました。しかし、近年の技術の進歩によって、ソーラーパネルのリサイクルが実現する可能性が高まっています。

2030年頃にはリサイクルが可能となり、ソーラーパネルの処分価格も下がっていくこともあり得るでしょう。

マイナビ編集部

ソーラーパネルは、パネルを買い取ってくれる可能性もあります。処分の際は、PVリサイクルというHPをぜひチェックしてみてください。

FITによる太陽光発電をやめた後の売電先

FITによる太陽光発電をやめた後の売電先

もしFIT期間終了後も売電する場合は、なるべく高い単価で買い取ってくれる電力会社を探すことが重要です。そこで1kWあたりが高いとされる売電先を厳選して紹介していきます。

FIT終了後の売電はとても不安定で、確実に買い取ってくれる企業を探すのも一苦労です。ここぞと思った企業を見つけて売電の不安を解消すれば、太陽光発電を安心して続けられるでしょう。

Looopでんき

Looopでんき

電力自由化によって新電力に進出した株式会社looopの「looopでんき」が行っている電気買取サービスでは、固定買取期間を過ぎても、10年間は1kWあたり6円で電気を買い取ってくれるとされています。

Looopでんきの他のサービスと契約することで、電気の買い取り額を6~7円で買い取る仕組みもあるため、興味のある方は問い合わせてみましょう。

スマートテック

スマートテック

スマートテック新電力企業のスマートテックが行っているスマートFITでは、1kWあたり11.5円で電気を買い取ってくれるとしています。またソーラーパネルの経年劣化が心配な場合も、発電量見守り機能での診断が行われ、オプションで点検も受けることも可能です。

さらにスマートFITは契約金と解約金がどちらも0円で、他サービスの追加契約の必要もないため、今後発電所の運用を変更する場合も軽いフットワークを保つことができます。

まとめ

太陽光発電を続けるにしてもやめるにしても、今後に大きな影響の出る決断になります。経済的にはFIT終了やメンテナンスが、運営的には近隣とのトラブルや破損など、太陽光発電所の経営には大きな負担がかかります。重要なことは、今後の人生設計にとってどのような選択肢がふさわしいかどうかです。

単に経営をやめるとしても、太陽光発電所のある土地の使い方は多様性に富んでいます。続ける場合も「FIT終了」という太陽光発電のトレンドを追うことで、自分に適したサービスを利用することができるでしょう。太陽光発電の事業に一区切りつける際は、その後の運用までじっくり考えてから決断しましょう。

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※「マイナビニュース太陽光発電」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
東京都環境局
こどもエコすまい支援事業
葛飾区公式ホームページ
経済産業省

監修者情報

本記事の監修者 株式会社EX-World 代表取締役     髙島 岳彦

太陽光や蓄電池等の専門家。2017年より某外資系パネルメーカーに所属し年間1000件以上の太陽光を販売しトップセールスを記録。これまでの知見を活かしたYouTubeが業界NO,1の再生数を誇り、2021年に開業。現在は一般の方向けに自社で販売〜工事を請け負う。Youtubeチャンネル


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この記事を書いた人

マイナビニュース太陽光発電編集部は、太陽光発電の設置、補助金、運用における流れに関する様々な情報をわかりやすくお届けします。

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