BCPとは、災害やシステム障害などの緊急時における事業継続案をまとめた計画書です。
企業が多くのデータを保有する時代になったからこそ、データの保守やバックアップをしておく必要があります。本記事では、BCP対策ツールの種類やおすすめの製品を紹介します。
BCP対策ツールとは
BCPとは、”Business Continuity Planning"の頭文字を取った略語であり、「事業持続計画」を意味します。企業が災害やシステム障害などの予期せぬ被害に遭遇した際、どのように事業を継続するのかをまとめた計画書です。
BCP対策の方法は、主に2つあります。
1つめが、危機的状況に置かれた際の計画を立てること。もう1つが緊急時に使えるツールを導入することです。
つまり、BCP対策ツールとは不測の事態に備えるツールのことを指します。
BCP対策に使える3つのツール

BCP対策に使えるツールは下記の3つです。
1 データの保守/バックアップツール
重要なBCP対策のひとつが、データの保守とバックアップです。かつては会社内のサーバーでデータの保守を行うのが一般的でした。
しかし、多くの自然災害が発生していることで、状況は変わってきています。たとえば、災害で自社サーバーが機能不全になってしまうと、重要データを失うことになります。
そういった背景もあり、現在はクラウド型サーバーの活用や災害に強い地域でのサーバー運用などが普及しています。
データ保守では、リスク分散が重要です。オンプレミス型のサーバーが停止しても、クラウド型があればデータは守られます。同様に、クラウドサーバーがサイバー攻撃を受けても、オンプレミス型があれば大丈夫です。
データは一か所にまとめるのではなく、クラウド型とオンプレミス型の両方のサーバーを活用するといいでしょう。
2 グループウェア
グループウェアとは、業務に関する情報やプロジェクトを一元管理し、企業内のコミュニケーションの活性化や業務効率化を推進するためのツールです。
グループウェアの中には、災害時に社員の安否確認ができる機能があります。
また、クラウド型グループウェアならインターネット環境さえあれば活用できるので、自宅から業務を進めることが可能です。
3 ビジネスチャットツール
ビジネスチャットツールとは、社内コミュニケーションの円滑化を目的にしたツールです。
災害時などは、メールサーバーに負担がかかり、メールでの安否確認できない可能性があります。また、電話回線の混雑も予想されるので、メールと電話以外のコミュニケーション手段を用意しておく必要があります。
ビジネスチャットツールは、インターネット接続があれば利用できるため、緊急時にも従業員と連絡をとれます。
BCP対策とDR対策の違い
BCP対策を検討しているのなら、DR対策についても理解しておきましょう。
DRとは、”Disaster Recovery”の略語であり、「災害復旧」を意味します。DR対策は、災害などの緊急時にシステムやデータの復旧をするツールやシステムの準備をすることです。
BCP対策とDR対策の違いですが、BCP対策は万が一の際に起こり得るあらゆるリスクから事業を守ること、DR対策はデータやシステムの迅速な復旧を行うことを指します。
BCP対策を行えたとしても、データ復旧が遅れてしまえば、事業継続に影響が出ます。現代は企業のIT化が進んでいることも考慮すると、DR対策も行うべきでしょう。
おすすめのBCP対策ツール8選
BCP対策について解説したところで、ここからはおすすめのBCP対策ツール8選を紹介します。
『エマージェンシーコール』
インフォコム株式会社

- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:クラウド
- 参考価格:初期費用200,000円、月額費用40,000円~
『エマージェンシーコール』は、4,600社・500万人以上が利用している災害時に職員の安否を確認するためのシステムです。
メールのほかに電話音声やスマートフォンのアプリなど様々な通信手段に対応するほか、システムを支えるデータセンターは常時国内の二拠点で稼働し、万一通信規制が発生した場合にも高い回答率を得られるシステムとして高い評価を得ています。
メッセージアプリ「LINE」との連携など、”繋がる”にこだわった機能を有しています。
『ANPIC(アンピック)』
株式会社アバンセシステム

- 対象従業員規模:最大3万名まで
- 提供形態:クラウド
- 参考価格:初期費用25,000円(税抜)~、月額費用5,130円(税抜)~
『ANPIC(アンピック)』はLINEで通知を受け取ることが可能なため使いやすく、産学連携により国立大学(静岡大学)と共同開発したシステムであるため安価に導入できるツールです。基本の運用費で手動メール送信・アンケート送信なども利用できます。また、有料オプションを利用すると既存の人事システムや学務システムとANPICをデータ連携させることもできます。
直感的に使えるデザインで誰でも簡単操作が可能。中小企業から大企業・大学など、業界規模問わず多数の実績もあります。無料説明会、無料登録代行など手厚いサポートもあるので安心して導入できるでしょう。
『FIT-Cloudバックアップサービス』
北電情報システムサービス株式会社
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:パッケージソフト / クラウド
- 参考価格:別途お問い合わせ
『FIT-Cloudバックアップサービス』は、クラウド型のバックアップサービス。 専用線は不要なため、手ごろな価格で、インターネット接続さえあれば利用できます。
他社クラウドを含む、あらゆる場所にデータの復元は可能です。 データセンターは、自然災害が少ない富山県にあるので、安心して導入できます。
『R-Cloud バックアップサービス』
株式会社両備システムズ
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:サービス
- 参考価格:4TBのNASストレージ×2台構成+利用期間5年の場合の月額料金:46,000円~ ※別途構築費用が必要
『R-Cloud バックアップサービス』は、 バックアップとしてのNASストレージを作成し、堅牢なデータセンターにバックアップするサービスです。
データセンターが位置するのは、災害リスクが少なく、交通の便が良い岡山県。 災害などで自社機器の被災や通信不通などが生じた際、岡山県から迅速にバックアップ用NASを配送してくれます。
NASストレージの選定や利用年数、通信回線などは自由に選べるため、ニーズに合ったBCP対策ができる はずです。
『AvePoint Cloud Backup』
AvePoint Japan 株式会社
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:クラウド / SaaS
- 参考価格:別途お問い合わせ
『AvePoint Cloud Backup』は、 Microsoft365対応のクラウド型バックアップサービスであり、全世界700万人以上に使用されています。
特徴は全自動のデータバックアップです。 自社に最適なタイミングで、1日に最大4回自動でデータバックアップが行われる ため、手間がかかりません。また、SaaSプラットフォームなので、インストールや更新対応も不要です。
業務でMicrosoft365を活用している企業は、今製品を導入することで、緊急時でも業務が完全停止するのを防げるでしょう。
『QTnet データセンター』
株式会社QTnet
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:サービス / その他
- 参考価格:別途お問い合わせ
『QTnet データセンター』は、 九電グループが提供するデータ管理サービス。 福岡にある最新鋭のデータセンター内に、専用スペースを作成し、サーバー機器などの情報システムを預けられます
データセンターは、建物免振構造や二重の通信回線、非常用発電機の設置などの災害に備えた機能を豊富に備えています。 災害の発生時でも、サーバーが正常稼働できるようになっているのです。
サーバーなどの運用代行やネットワークサービスなどのオプション が用意されており、自社ニーズに合ったサービス選びが可能です。
『BCPリモートバックアップサービス』
株式会社石川コンピュータ・センター
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:クラウド / サービス
- 参考価格:別途お問い合わせ
『BCPリモートバックアップサービス』は、 重要データをセキュリティの高いデータセンターへ保管することができるクラウド型バックアップサービスです。
インターネットやVPNを活用したセキュアなネットワークなどに対応しているため、 大容量で機密性の高いデータも安全にパックアップできます。
サービスは小容量データから利用できるので、中小企業でも気軽にBCP対策を行えるでしょう。
『データセンターバックアップ』
株式会社シーイーシー
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:サービス / SaaS
- 参考価格:初期費用なし、データセンター:月額料金30,000円/1TB~、BizVision PLUS月額料金20,000円/1TB~、その他拠点:月額料金70,000円/1TB~
『データセンターバックアップ』は、 VPNや専用線を経由してデータセンターにデータをバックアップするサービスです。
バックアップデータはファイル単位で管理され、専用アプリケーションを使い、好きな時に復元できます。
2回目以降のデータバックアップは、重複排除を行い転送容量を抑えるため、高速バックアップが可能です。
データ容量に応じた課金制のため、低コストでBCP対策を行いたい企業に最適でしょう。
BCP対策ツールを導入して、適切なリスク管理を行おう
企業のIT化が進むにつれ、データの持つ価値が高まっています。
緊急事態が起きたときに、データを失わず、迅速な業務再開を進めるためにも、今のうちからBCP対策を始めておきましょう。