クラウド型シンクライアントDaaSの特徴と導入時の注意点4つを解説

シンクライアント

テレワークの普及により、クラウド型のシンクライアントに注目が集まっています。クラウド上にVDIを展開するDaaSは、クラウド型シンクライアントの一種です。この記事では、クラウド型シンクライアントDaaSの特徴と導入時の注意点について解説します。

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シンクライアントとクラウド型・オンプレミス型

シンクライアントとは、メモリやハードディスクのない、最小構成のクライアント端末のことを指します。

シンクライアントの実現方式の一種に画面転送型があり、VDI(Virtual Desktop Infrastructureの略:仮想デスクトップ)もその1つです。

VDIは、サーバー上に仮想デスクトップ環境を構築し、シンクライアントには画面イメージのみを転送します。

1、クラウド型のシンクライアントの主流はDaaS

従来、VDIは自社サーバー上に構築するオンプレミス型でした。しかしクラウドサービスが普及してきた現在においては、VDIをクラウド上に構築してサービスとして提供するDaaSが増えています。

2、オンプレミス型のシンクライアントとの違い

クラウド型シンクライアント(DaaS)とオンプレミス型のシンクライアント(VDI)の大きな違いは、VDIを構築する環境がどこかという点です。クラウド型はクラウド上にVDI環境を構築して使用します。オンプレミス型の場合は、自社ネットワーク内で管理しているサーバー上にVDI環境を構築します。

3、クラウド型のシンクライアントの提供形態

クラウド型のシンクライアント(DaaS)の提供形態は、プライベートクラウドDaaS・ハイブリッドクラウドDaaS・パブリッククラウドDaaSの3つに分かれます。それぞれの特徴について簡単にまとめました。

DaaSの種類 特徴 メリット
プライベート 自社ネットワーク内に構築 自由にカスタマイズできる
自社のセキュリティ施策が取れる
ハイブリッド クラウド上の自社専用DaaS環境 自社のセキュリティ施策やカスタマイズがある程度可能
パブリック クラウド上で複数企業が共有 短期間・低価格で導入可能
運用はサービス提供者に任せられる

コスト面ではパブリッククラウドDaaSにメリットが多くあります。一方、プライベートクラウドDaaSやハイブリッドクラウドDaaSを導入するメリットは、カスタマイズ性の高さや自社のセキュリティ施策をそのまま適用できる点です。

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シンクライアント(VDI)の導入効果

そもそも、VDI型のシンクライアントを導入する効果には何があるのでしょうか。導入効果について整理します。

1、情報漏洩対策

通常の機能を持つパソコンをクライアント端末として使用すると、社内データや個人情報・顧客情報など社外秘のデータが端末内に残る可能性があります。結果として、パソコンの盗難やコンピューターウイルス・ファイル共有ソフトなどによって情報漏洩が起こるリスクがあります。

VDIを利用すると、データは自社サーバーあるいはクラウド側にあるため、クライアント端末には残りません。シンクライアント端末を紛失しても、情報漏洩の心配もありません。

2、クライアント端末のハード調達コスト削減

VDIでは、シンクライアント端末あるいは既存のパソコンを利用できるため、高価なノートパソコンをクライアント端末として購入する必要がありません。さらに、クラウド型のDaaSを利用すれば、社員の自宅PCやモバイル端末をシンクライアント端末にすることもできます。

クライアント端末のハードウェア調達コストを削減できる点も、VDI導入のメリットです。

3、クライアント端末の運用一元化

クライアント端末としてノートパソコンを社員が管理する場合、セキュリティパッチの更新は社員任せの面がありました。しかし、VDIを運用する場合、クライアント環境のメンテナンスは情報システム部門で一括管理できるようになります。クライアント端末の運用を一元化することで、より高いセキュリティを維持できます。

4、クライアント端末の環境構築コスト削減

クライアント端末の環境構築コストも、情報システム部門で一括して行える分コスト削減が可能です。ノートパソコンなどのようにキッティング作業も発生せず、ハードの故障対応なども不要となります。

5、テレワークなど勤務場所に幅が出る

働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークの導入が推進されています。VDIによるシンクライアントを利用できる環境が整えば、テレワークの環境整備が可能です。

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クラウド型・オンプレミス型のシンクライアントを比較

VDIタイプのシンクライアントには、クラウド型(DaaS)とオンプレミス型があり、それぞれ特徴があります。そこで、クラウド型・オンプレミス型のシンクライアントを、コストや運用の負担などいくつかの項目で比較しました。

比較項目 クラウド型 オンプレミス型
コスト 低コスト 高コスト
運用の負担 軽い 重い
セキュリティ 別途料金やハイブリッド・プライベートタイプで自社のセキュリティポリシーに対応できる 自社のセキュリティポリシー通りに運用できる
カスタマイズ性 パブリックは低い
プライベートやハイブリッドなら対応可能
高い
事業継続性 自社とは切り離した場所で運用するため比較的高い 別途BCP対策を行わなければならない

クラウド型とオンプレミス型を比較しつつ、それぞれの特徴について解説します。

1、コスト・運用・事業継続性ではクラウド型が優位

クラウド型シンクライアント(DaaS)は、コスト・運用・事業継続性の面で優位です。パブリッククラウドDaaSは、特に低コストかつ導入までの期間も短期間で済みます。運用面でも、パブリッククラウドDaaSやハイブリッドクラウドDaaSはサービス提供者がメンテナンスを受け持つため、自社リソースを節約できます。

オンプレミス型は自社でサーバーを構築するため、どうしても導入コスト・運用コストが高くなりがちです。DaaSの中でもプライベートクラウドDaaSは、オンプレミス型に近いコストや運用の負担がかかります。

事業継続性に関しても、クラウド上にサービスを展開しているパブリッククラウドDaaSやハイブリッドクラウドDaaSは比較的有利と言えます。一方、オンプレミス型やプライベートクラウドDaaSは、自社に災害が発生した場合にシステムが停止する危険性があるため、別途BCP対策が必要です。

2、セキュリティやカスタマイズ性ではオンプレミス型が優位

自社のセキュリティポリシーを適用したい場合や、環境を自社の状況に合わせてカスタマイズしたい場合は、オンプレミス型が優位です。自社内にサーバーを構築するため、自由にカスタマイズできます。

自社内にクラウドを構築するプライベートクラウドDaaSも、オンプレミス型とかなり近い自由度があります。ハイブリッドクラウドDaaSも、クラウド上に自社専用の環境を構築するため、ある程度自由に構築できますが、オンプレミス型やプライベートクラウドDaaSに比べると自由度は低めです。

3、クラウド型でも提供形態を選べばデメリットをカバー

クラウド型シンクライアント(DaaS)を選択する場合でも、状況によってプライベートクラウドDaaSやハイブリッドクラウドDaaSを選択することで弱点をカバーできます。

ただし、パブリッククラウドDaaSを選択したときに得られるメリット(割安なコスト、事業継続性の高さ)などはトレードオフになるため、どの提供形態を選ぶかは慎重に検討したい点です。

クラウド型シンクライアントを導入する際の注意点4つ

クラウド型シンクライアントを導入する際には、事前の準備や製品の比較など、注意したい点が4つありますので順番に解説します。

1、自社の環境を整理

クラウド型のシンクライアントを利用しても問題ないかどうか、自社の環境を整理しましょう。DaaSとして提供されるVDI環境は自社にマッチしているのか、自社システムとの連携は容易か、自社専用の環境が必要かどうかは必ず確認したいポイントです。

DaaSの料金プランを検討する際、自社の環境を考えて必要な機能・不要な機能も確認しましょう。最新の機能があっても、自社には不要という場合もあります。

2、サイジング設計をしっかり行う

DaaSには複数のプランが用意されているため、どのプランを適用するべきか慎重に検討しましょう。

自社の環境を整理する際は、サイジングの設計をしっかり行い、VDIが遅くて作業がなかなか進まない、という状況を発生させないようにすることが重要です。業務を行う人数や規模、サーバーマシンにかかる負荷を分散させるように注意しなければなりません。

3、将来の人員増減やテレワークなどへの対応も考慮に入れる

サイジング設計をする際は、将来の人員増減、テレワーク対応なども考慮に入れてください。DaaSはリモートアクセスが前提なので基本的にテレワークは可能なはずですが、念のため確認しましょう。

4、料金システムの試算は忘れずに行う

DaaSは、料金プランを確認し、自社で運用する場合に毎月いくらかかるかの試算をする必要があります。ボリュームディスカウントもあれば、オプション料金もあるため、すべてを考慮に入れて計算してください。少人数では割安な製品でも、大規模になるとかなりのコストがかかる可能性があるためです。

自社の環境に合ったクラウド型シンクライアント導入を

クラウド型シンクライアント(DaaS)は、テレワークの環境を手軽に実現できるサービスです。ただし、提供形態によって特徴に違いがあり、自社にはどの形態が向いているかは、自社の環境を整理して確認しなければなりません。

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