シンクライアントの導入メリット・デメリットとは?実現方式ごとの解説も!

シンクライアント

テレワークの実施に伴い、シンクライアントを導入する企業も増えています。シンクライアントにはどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、シンクライアントを導入するメリットとデメリットについて解説します。また、シンクライアントの実現方式別のメリット・デメリットについてもまとめました。

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シンクライアントを導入するメリット3つ

シンクライアントとは、端末側にデータを保持せず、処理もサーバー側で行う仕組みを持つ端末のことです。シンクライアントは、利用者の入力情報をサーバーに送信し、サーバーから実行結果を受け取ってその情報を画面表示します。

シンクライアントの実現方式によって細かな違いはありますが、いずれも何らかの形で実行結果だけを画面表示する点では同じです。

このような機能を持つシンクライアントを導入するメリットは主に3点あります。 どのようなメリットがあるかを確認して、シンクライアントがなぜテレワークに役立つのかについての理解を深めましょう。

1、クライアント端末からの情報漏洩防止

社外にクライアント端末を持ち出す限り、情報漏洩のリスクは付きまといます。しかし、万が一シンクライアント端末を紛失したり盗難に遭ったりしても、シンクライアントは内部にデータを保持しないため情報漏洩の心配はありません。

2、一元管理できるため管理者負担とコスト軽減

テレワークでクライアント端末を従業員に配布する場合、端末のセットアップには時間も手間もかかります。しかしシンクライアントを導入すると、ソフトウェアのセットアップ・アップデートなどの作業はサーバーのみ。クライアント端末にかける管理者の負担やコストを軽減できます。

3、スマートデバイスとの連携でBYODも可能

BYOD(Bring Your Own Device)とは、私物のデバイスを業務利用することです。シンクライアントでは、サーバー側ですべて処理が完結します。そのため、シンクライアント端末だけでなく、私物のデバイスをシンクライアントとして利用することも可能です。

処理やデータ操作はすべてサーバー側で行うため、私物のデバイスをシンクライアントとして使っても情報漏洩などの心配はほとんどありません。

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シンクライアントを導入するデメリット3つ

シンクライアントには多くのメリットがありますが、一方でデメリットもいくつかあります。シンクライアントの導入を検討する際は、デメリットも確認しましょう。

1、障害発生の影響が大きい

サーバーで障害が発生すると影響範囲が大きくなる点はシンクライアントのデメリットです。

通常のクライアントマシンなら、文書ファイルをダウンロードしていれば、サーバーで障害が発生していても仕事を進めることは可能です。しかし、シンクライアントはすべてサーバー側で処理を行い、ローカル端末内にデータやファイルを保存できません。サーバーに障害が発生すると、そのサーバーに接続しているシンクライアントはすべて仕事がストップします。

2、サーバーに負荷がかかる

シンクライアントの接続先サーバーは、複数ユーザーの処理を代行して行うため大きな負荷がかかる点も、シンクライアントのデメリットです。文書ファイルの作成や修正程度の作業であればいいのですが、プログラムの実行やデバッグなど、重い処理を実行すると他のユーザーへも影響が出てしまいます。

3、社外ではネットワーク環境が必要

シンクライアントは、サーバーと接続しなければ業務そのものができません。通常のクライアント端末なら、データを端末内にダウンロードしておき、社外でもローカル環境で仕事を続けられます。

シンクライアントの実現方式別メリット・デメリット

シンクライアントの機能を実現する方式には、大きく分けてネットブート型と画面転送型の2種類があります。画面転送型はさらに3種類に分類でき、それぞれメリットとデメリットに違いがあります。

以下の表に、実現方式別にメリットとデメリットをまとめました。

実現方式 メリット デメリット
ネットブート型 ・通常のクライアント端末と同様の操作が可能
・他の利用者によるパフォーマンス低下などの心配はない
・イメージファイルのダウンロードに時間がかかる
・イメージファイルを多く用意する管理工数がかかる
画面転送型
ブレードPC型
・従業員ごとに独立して利用できる
・高度な処理が可能
・高コスト
・管理工数増大
画面転送型
サーバーベース型
・低コスト ・アクセス集中によるパフォーマンス低下
・サーバーダウンで利用者全員が業務停止
画面転送型
デスクトップ仮想化
(VDI)型
・各端末で別環境を使うためお互いに影響を受けにくい
・サーバーの台数が1台でいいためコスト削減や省スペースとなる
・VDI専用ソフトのライセンス料が必要
・管理工数がかかる

各実現方式の特徴については、以下でもう少しくわしく説明します。

1、ネットブート型

ネットブート型のシンクライアントは、サーバー上にあるOSやアプリケーション、設定情報をすべて含んだイメージファイルを利用する実現方式です。イメージファイルをサーバー上に配置し、各シンクライアント側はイメージファイルを自端末にダウンロードし、OSやアプリケーションを起動して利用します。

ネットブート型の場合、アプリケーションの処理はシンクライアント側で行い、データの保存はサーバー側で行うため、ある程度のマシンスペックは必要です。

この方式は、インターネットカフェやPC教室など、サーバーとネットワークの近い同一施設内で多くの端末を管理する際に便利です。ただイメージファイルをダウンロードするため、社外では起動に時間がかかる懸念があります。

2、画面転送型

画面転送型は、サーバー側でアプリケーションの処理もデータの保存も行い、処理の結果をデスクトップ環境の画面イメージ転送で実現する方式です。ネットブート型と違い、アプリケーションの処理もサーバー側で行うため、シンクライアント端末は、高い処理性能がなくても問題ありません。

画面転送型には、さらにブレードPC型・サーバーベース型・デスクトップ仮想化(VDI)型の3種類があります。

1.ブレードPC型

ブレードPC型とは、会社のサーバー側にブレードPCをシンクライアント端末と1対1で用意する実現方式です。

ブレードPCとは、PCの構成要素(CPU・メモリ・ハードディスク)を搭載した電子基板を集約したPCのことです。1台のブレードPCで基板数分のPCの役割を果たすため、場所を取ることなくPCを用意できます。また、シンクライアント端末単位でCPUやメモリなどを確保するため、処理性能も高いことが特徴です。

CPUなどを他の従業員と共有せずに済むため、混雑による処理速度の劣化も発生しません。管理コストやブレードPCの導入コストは重くなります。

2.サーバーベース型

サーバーベース型とは、1つのアプリケーションをシンクライアント側で共有するする画面転送型のシンクライアントです。1つのサーバーで多くのクライアント処理を実行するため、低コストで構築できる点は魅力ですが、アクセスが集中すると遅くなるというデメリットがあります。

3.デスクトップ仮想化(VDI)型

サーバー側で仮想デスクトップ(VDI)を用意し、シンクライアント側で別々の仮想デスクトップを利用する方式です。

仮想デスクトップを各自で利用できるため、アクセスが集中してもサーバーベース型のように他のユーザーに影響を与えることがない点はメリットです。ただし、仮想デスクトップを実現するソフトウェアのライセンス料が必要な点や、仮想環境には管理コストがかかる点はデメリットとなります。

シンクライアントのメリットや実現方式を確認して製品を選ぼう

シンクライアントは、情報漏洩などの心配を軽減しつつテレワーク環境を構築するために便利なシステムです。シンクライアントの実現方式によって、メリットやデメリットは変わってくるため、自社の環境に合わせて製品を選びましょう。

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