この記事ではEAIの基礎知識と、各社が提供するEAIツールについて解説します。さらに、EAIツールを選ぶときの選定ポイントも解説しています。EAIツール導入時の比較検討材料として役立つ内容になっていますのでぜひご一読ください。
30秒で分かる「EAI」
EAIとは「Enterprise Application Integration」の略で、「企業アプリケーション統合」という意味のツールを指します。企業では勤怠管理、財務管理、業務管理など、異なるシステムを使っています。
これらのシステムを統合できれば理想的ですが、目的に応じて異なる仕様になっていることがほとんどです。そのため、実際に統合するのは簡単なことではありません。
EAIは、そんなハードルの高いシステム統合を効率よく実現するためのツールです。システムごとに異なるデータの処理方法を変換・統合するための機能を備えています。EAIによって異なるシステムを連携させることで、既存システムを継続して利用しながらさらなる業務の効率化を図れるというメリットがあります。
ETLとの違い
EAIと似た仕組みをもつものに、ETLがあります。共にデータ連携を行うツールです。では、EAIとETLで何が違うのでしょう。
EAIはシステム間の差異を吸収し、システムの連携及び統合が目的です。さまざまなデータを直接やりとりでき、かつリアルタイム同期といった高速な連携が可能です。
一方ETLはデータの抽出・変換処理を行うツールです。データをDB(DWH)に集約するのが目的で、集約されたデータは主にデータモデリングなどの分析に活用されます。システムと連携を行うのはデータベースであり、大量のデータを変換できますが、高速なデータ連携には向いていません。
EAIおよびETLは、ツールの目的およびデータの連携先に違いがあります。目的にあわせてツールを選択しましょう。
EAIのメリット3つ
1、複雑なデータ連携が可能
データ連携の仕組みを自分たちでつくるとなると大変です。プログラミングの知識が必要なうえ、連携するシステム双方の仕様を把握する必要があります。また、システムに仕様変更が発生すれば都度連携用のプログラムも変更しなければならず、運用の負荷もかかります。
EAIツールでは、複雑なプログラミングをすることなくデータ連携が可能です。また、システムの仕様変更が発生しても、迅速に設定変更が行えるため、運用工数も低減できます。
2、データ連携の自動化によるミスの低減
EAIを使用せずにデータ連携する場合、手作業でデータの集計、加工を行わなければなりません。その場合には手作業で行うことによる、オペレーションミスのリスクは避けられません。また、重要なデータを扱うため、集計や加工にミスが発生すると、連携できない、データ不正が発生するといった、さまざまな影響が出てしまいます。
EAIツールによってデータ連携を自動化することで、手作業で発生するオペレーションミスのリスクを排除し、正確で信頼できるデータ連携が実現できます。
3、業務効率化およびコスト削減
EAIツールを利用すれば、それまでデータ連携を手作業でやっていた作業時間や、データ連携用のプログラム開発工数といったコストを大きく削減することができます。また、EAIツールの利用には特別なスキルは不要のため、技術者人件費の削減が可能です。
さらに、システムは1対1、1対多、多対多のシステム連携が可能になり、柔軟なシステム基盤により全体の業務効率化にもつながります。
EAI導入のデメリット2つ
1、ツールを導入するのにコストがかかる
EAIツールを導入するには、それなりのコストがかかります。ツールそのものに対するコストと、ツールを扱いなれるまでの時間が必要です。なお、EAIツールはオンプレミス型、クラウド型など提供形態によってかかる導入費用が異なります。導入時の費用であれば、クラウド型のほうがオンプレミス型に比べコストを抑えられます。
またEAIツールは非常に高機能である分、価格が高くなる傾向にあります。導入にあたり必要な機能を整理し、目的にあったEAIツールを選択することで、コストを抑えることも可能です。
2、大量データの処理には向かない
EAIツールは複数のシステムとの連携を目的としているため、高速なデータ連携には向きますが、大量データの連携には不向きです。一度に大量のデータ処理を行う場合は、EAIツールよりも、ETLツールのほうが向いています。
データ連携はリアルタイムに行う必要があるか、非同期で大量データの連携が必要か、導入前に目的を明確にすることで、ツール導入時の失敗も避けられます。
「EAI」における8製品を徹底比較!
「ASTERIA Warp」
アステリア株式会
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:クラウド/オンプレミス
- 参考価格:初期費用0円、月額費用30,000円~
「ASTERIA Warp」は、Excelから業務システム、クラウドサービスまで、100種類以上のデータソース間の複雑な連携やデータ変換を、ノーコード&高速開発で簡単に実現することができる14年連続国内シェアNo.1※のデータ連携ツールです。
9,000社以上の導入実績を誇り、DX推進に欠かせないシステム間連携や、データ分析・マスターデータ管理を行う際のデータ統合、業務自動化・効率化など、多様な用途で活用できます。
専門の技術者だけでなく、より多くの人が使えることを念頭に置いて設計されたノーコード開発により幅広い業種の方々に最良の製品です。
※テクノ・システム・リサーチ「2020年ソフトウェアマーケティング総覧 EAI/ESB 市場編」より
「NISMAIL」
日本電気株式会社
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:クラウド/オンプレミス
- 参考価格:【初期費用】218,500円~
「NISMAIL」は、システム間のデータ連携を自動化するファイル転送パッケージソフトです。キューイング領域に送受信データを一時格納することで、業務アプリケーションとファイル転送の処理を分離することやファイルの上書きを気にせず転送処理が可能となります。
本製品は、ネットワークやサーバ処理の負荷を考慮した転送多重度制御や間欠転送機能を装備。独自のデータ転送手順により、送信データと受信データが欠損していないことを検証します。ファイル転送失敗時のレジューム機能により、通信インフラが十分整備されていない環境でもファイル転送が可能です。
また、HTTPSプロトコルを利用したファイル転送を標準サポートしており、クラウドとオンプレミスの間のようなインターネットを経由したデータ連携でも利用可能。AESファイル暗号にも標準で対応しておりセキュアなファイル転送を実現できます。
「Qanat2.0」
JBアドバンスト・テクノロジー株式会社
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:オンプレミス/クラウド/パッケージソフト
JBアドバンスト・テクノロジー株式会社の「Qanat2.0」は、企業の内部・外部にあるデータ連携を、プログラミングの知識がなくても実行できるEAIです。データの出力側と入力側を、お互いにアイコンと線でつなぐだけで連携完了。EAIの開発にかかるコストを削減できます。
システム連携時のデータ変換処理も直感的に設定できます。変換方法や四則演算、文字列変更といった処理がアイコン化されているので、ユーザーは実行したい処理をクリックして選ぶだけ。もちろん、コードやスクリプトを書いて細かい処理フローを構築することも可能です。
スケジューリング機能も搭載しており、定期的に発生するタスクは自動化が可能です。データの連携と組み合わせれば、定型業務のさらなる効率化が図れます。
「Boomi」
デル・テクノロジーズ株式会社
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:クラウド
デル・テクノロジーズ株式会社の「Boomi」は、ドラッグアンドドロップ操作のインターフェースによって直感的にシステムの連携が図れるEAIです。コネクタや統合プロセス、コンポーネントなどがライブラリされており、EAIの導入からシステムの連携まで短時間で行えるよう整備されています。
「Boomi」を導入して効果をあげている企業は10,000社以上とされており、Boomiユーザーによるコミュニティが形成されています。他ユーザーの事例を参考にすることで高度な使い方や運用モデルを学べるのは、Boomiならではの特徴です。
デル・テクノロジーズの公式サポートに加えて、他ユーザーの事例も参考にすれば、高いレベルで「Boomi」を運用できるようになるでしょう。「Boomi」はシステムのみならずユーザー同士も連携させる、ユニークなEAIなのです。
「Magic xpi Integration Platform」
マジックソフトウェア・ジャパン株式会社
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:オンプレミス/クラウド
マジックソフトウェア・ジャパン株式会社の「Magic xpi Integration Platform」 は、コーディングの知識がなくても使えるEAIです。システム間を連携させるためのアダプタ群が66種・500機能以上用意されており、ユーザーはアダプタを貼って、メソッド/プロパティを選び、項目同士の線を引くといった、3つの簡単なアクションでシステムを連携させることができます。
パソコンのOS操作のようにドラッグ&ドロップ操作でシステム連携を行えるので、各システムを制御するAPIや開発言語を扱う必要がありません。技術者でなくても簡単かつ短時間で連携が実現可能となっています。
もしアダプタが用意されていなくても、開発キット「コネクタビルダー」を使って独自にアダプタを開発することも可能です。
「DataSpider Servista」
株式会社セゾン情報システムズ
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:オンプレミス/クラウド/パッケージソフト
- 参考価格:Basic 3,000,000円~、Advanced 5,500,000円~
「DataSpider Servista」は、豊富なアダプタをもち、オンプレミスからクラウドまで、あらゆるシステムのデータ連携を可能にするEAIツールです。
データ連携フローはGUIで作成可能。アイコンのドラッグ&ドロップで処理を定義できるため、特別な技術を必要としません。
Javaで開発した場合約14,000ステップにおよぶプログラムも、DataSpider Servistaであればわずか13個のアイコンをつなぐだけで実現できます。このため、データ連携における開発コストを大幅に削減できます。
「PolarisGate」
日商エレクトロニクス株式会社
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:クラウド/SaaS
- 参考価格:30,000円/月額~
「PolarisGate」は、低価格で利用できるEAIクラウドサービスです。豊富なアダプタとノンコーディングで利用できるというEAIの特長を備えたツールがクラウドサービスとして提供されており、低コストでEAIツールを導入できます。
コネクタは66種類500機能以上が用意されており、GUIによりノンコーディングでデータ連携が可能。業務システム、クラウドサービスの他、主要なERP、CRMといったパッケージにも接続できます。
連携はスケジューラで起動設定可能。インターバル処理やバッチ処理など、柔軟に実現できます。
「DataSpider Cloud」
株式会社セゾン情報システムズ
- 対象従業員規模:全ての規模に対応
- 提供形態:クラウド/SaaS
- 参考価格:Basic 200,000円~/月額、Advanced 300,000円~/月額、サービス申込費用 600,000円
「DataSpider Cloud」は、パッケージソフト「DataSpider Servista」の特徴はそのまま、クラウド上で利用できるデータ連携サービスです。クラウド間のデータ連携を実現したいなら、こちらも利用できます。
DataSpider Servistaとは異なり、DataSpider Cloudはクラウドサービスであるため、ハードウェア、ソフトウェア面でのサーバ管理は不要です。また、クラウド系のアダプタを標準搭載しています。
また、初期費用を安く抑えることができる点も特徴です。「DataSpider Servista」との違いを確認し、自社にあったツールを選択しましょう。
EAIの基本的な機能
EAI製品に共通する基本的な機能は、「異なる業務システムを繋ぎ、データを送受信して共有可能にする」ことです。連携によってシステムの使い勝手が上がり、業務の効率がよくなります。
またEAIはシステムを連携させる開発の工数を減らすというメリットもあります。EAIはドラッグ&ドロップなどで直感的に操作できるため、短時間でシステムを連携できるためです。さらにこの操作性は、プログラミングやコーディングの知識がない人でも使えるというメリットもあります。
その他、異なるシステム間でデータを送受信して共有できることで、システムごとに同じデータを重複して入力する手間を省けます。連携前と比べて入力の作業量を半分に減らせるため、業務の効率化につながります。
EAI製品選定のポイント4つ
1、プログラミングやコーディングの知識がなくても使えるか
本来、異なるシステムを連携させるには高度なプログラミングやコーディングの知識が必要です。EAIはそのハードルを低くするために、プログラミングやコーディングの知識がない人でも連携できるよう、ドラッグ&ドロップ操作やアイコンのクリック操作で使えるようになっています。
ただし、せっかくEAIを導入しても使えなければ意味がないので、プログラミングやコーディングの知識がない人でも使えるか、事前に試すと安全です。デモやトライアルが利用できるのであれば、試しに使ってみるといいでしょう。
2、使いやすいようにデータ変換してくれるか
EAIでシステムを連携させても、やり取りしたデータが希望通りに変換されていないと意味がありません。そのため、データ連携状況を常時監視できるEAIツールが望ましいです。
万が一正しく変換できていない場合、速やかに障害箇所を修正する必要があります。迅速な修正が可能かどうか、確認しておくといいでしょう。
3、コネクタやライブラリは充実しているか
コネクタはEAIでシステム同士を連携させるために、ライブラリは処理を行うためにあらかじめ用意されたプログラムです。コネクタやライブラリを活用すれば、EAIの開発工数を大きく削ることができます。
「自社で連携したいシステムが対応しているか」という点を確認しましょう。また、クラウドサービスとも連携したいのであれば、クラウドとの連携が可能か、という点も見ておく必要があります。
4、処理能力はじゅうぶんか
EAIツールによって、処理能力は異なります。リアルタイムによるデータ連携を行いたいのであれば、自社の連携データ量およびトランザクション量に対応できるじゅうぶんな処理能力があるか、確認しましょう。
また、バッチによるデータ連携を行うのであれば、想定時間内にデータ連携が完了できるか確認しておく必要があります。無料トライアルなどで性能評価ができるのであれば、導入前に試しておくことをおすすめします。
まとめ
業務システムを数多く導入している会社ほど、EAIの恩恵は大きくなります。業務のさらなる効率化のために、EAIの導入を検討してみてはいかがでしょうか。製品の詳細を知りたい場合は、ぜひ下記ボタンより資料請求をしてみてください。