リレーショナルデータベースとはどういったデータベースなのでしょうか。この記事ではデータベースの概要やリレーショナルデータベースの特徴、リレーショナルデータベースの用語などを紹介します。
リレーショナルデータベースとは
リレーショナルデータベースとは行と列によって構成された表形式のデータベースです。複数のテーブルを関連付けることで結合して新しい表を作成したり、更新したりすることができます。現在データベースと言えばリレーショナルデータベースを指す場合がほとんどです。
リレーショナルデータベースは、リレーショナル型が登場するまでのデータベースの課題となっていた柔軟なデータの取り扱いを可能にしました。
リレーショナルデータベース以外のデータベースの種類
リレーショナルデータベース以外のデータベースの種類をご紹介します。データベースの種類を大きく分けると、「リレーショナルデータベース」、「ネットワーク型データベース」、「階層型データベース」に分けることができます。それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。
ネットワーク型データベース
「ネットワーク型データベース」はノードが網状に構成されたデータベースです。ネットワーク型データベースは1つのノードが複数の親ノードを持つことができる構成になっているため、階層型データベースの問題である重複登録を避けることができるという特徴があります。ただし、プログラムがデータ構造に依存してしまうという問題があるため、データベースのメリットであるデータの柔軟な取り扱いに支障をきたすケースがあります。
階層型データベース
「階層型データベース」はツリー状に構成されたデータベースです。1つのノードから複数のノードが派生してツリー上に展開していくことでデータを表します。ノードは親と子や1対複数の関係になり、特定のノードへのルートが限定的になることから速度が速いという特徴があります。ただし、子が複数の親を持ちたい場合、重複登録が行われるというデメリットもあります。また、データの追加や削除が発生した場合は再登録が必要です。
リレーショナルデータベースの特徴
リレーショナルデータベースは日本語で「関係データベース」という意味になり、複数のテーブルを関連付けることでさまざまなことが可能になります。それでは、現在一般的なデータベースとして利用されているリレーショナルデータベースにはどのような特徴があるのでしょうか。ここからはリレーショナルデータベースの特徴についてご紹介します。
データの関連性が扱える
リレーショナルデータベースはデータの関連性が扱えるという特徴があります。リレーショナルという名前のとおり、リレーショナルデータベースはデータを互いに関連付けた関係モデルを利用しています。データを複数の表として管理し、それぞれの関係性を定義することで、リレーショナルデータベース以外のデータベースよりも複雑なデータの関連性が扱えます。
さまざまな用途で使える
リレーショナルデータベースはさまざまな用途で使えるという特徴があります。リレーショナルデータベースは企業が使用している基幹システムなどの大規模なものから、個人で利用する電話帳や住所録といった小規模のものまで、さまざまな規模のデータを管理することが可能です。
リレーショナルデータベースの用語6つ
リレーショナルデータベースについて知るためには、データベースに関連した専門用語を事前によく理解しておくことが重要です。ここからはリレーショナルデータベースの用語6つをご紹介します。
用語1:表
「表」はテーブルとも呼ばれ、列と行によって構成されています。リレーショナルデータベースは表を用いるという特徴があるデータベースです。表はExcelのように縦の列と横の行によって構成されており、行の1つ1つがデータとなっています。
用語2:行
「行」はレコードとも呼ばれ、データそのものを表すものです。リレーショナルデータベースの表は列と行によって構成されており、水平方向にある行の1つ1つがデータになります。テーブルには行を識別するための「プライマリーキー」が設定されており、プライマリーキーは他のデータのプライマリーキーと重複しないようになっています。また、行は「ROW」と呼ばれることもあります。
用語3:列
「列」はカラムとも呼ばれ、表の中では属性を表すものです。行と同じようにリレーショナルデータベースの表を構成するもので、Excelで例えれば垂直方向にあるデータのことです。テーブルでは列がそれぞれ属性を意味しています。また、列は「カラム」や「コラム」、「Col」などと呼ばれることもあります。
用語4:フィールド
「フィールド」はリレーショナルデータベースの中での最小単位です。フィールドはExcelで言えば「セル」を意味するもので、表の中でのもっとも小さな単位になります。例えば、顧客情報のデータであれば、「顧客氏名」や「住所」、「電話番号」などの項目1つ1つがフィールドになります。フィールドが集まったものが行や列になり、それらが組み合わさることで表になります。
用語5:NULL値
「NULL値」はNULLはリレーショナルデータベースにおける「何のデータも含まれていない状態」を表したデータ表現です。データベースの初期値は何もない状態であるため、NULL値であると言えます。また、NULL値が入っているということはまだ何も登録されていないという意味でもあります。NULLが含まれていると検索できず、NULLを指定して検索することもできません。
用語6:正規形
「正規形」とはレコード内のデータの重複をなくしたデータベースのことです。データの重複をなくし、整合的にデータが取り扱える状態に設計することを「データベースの正規化」と言います。リレーショナルデータベースはレコード単位でデータを扱うため、繰り返し項目が含まれているとデータベースに登録することができません。
また、レコードの中に複数同じ項目が存在しているテーブルのことを「非正規形」と呼びます。
リレーショナルデータベースとNoSQLとの違い
NoSQLとはSQLを利用しないデータベースを指します。
リレーショナルデータベースの場合、データをテーブルで分けて関係付けることで、複雑なデータでも扱えます。しかし仕様変更に対して柔軟性が低く、処理も重くなるというデメリットがあります。
一方、NoSQLはデータの取得、格納が最適化されており、大規模データなどにも対応できます。しかしデータの整合性が保てないというデメリットがあります。
NoSQLへ移行を検討する理由
リレーショナルデータベースは現在の主流のデータベースですが、近年はNoSQLへ移行するケースもあります。ここでは最後に、リレーショナルデータベースからNoSQLへ移行を検討する理由について解説していきます。
変化への対応を考えて設計されているか
リレーショナルデータベースが変化への対応を考えて設計されているかどうかを確認するようにしましょう。
例えばリレーショナルデータベースは行と列によってデータを扱いますが、近年ではテキストだけでなく画像や音声などの非構造データを扱うケースも多くなってきており、リレーショナルデータベースでは柔軟に対応できないこともあります。
そのため、変化への対応を可能にするためにNoSQLへ移行するケースがあります。
さまざまなデータに対応できるようになっているか
リレーショナルデータベースがさまざまなデータに対応できるようになっているかどうかを確認するようにしましょう。
前述のとおり、データベースはデータの形式が整理された構造データだけでなく、非構造データを取り扱うことも多いです。
リレーショナルデータベースは非構造データを含めたさまざまなデータを表現することに対応できないため、NoSQLへ移行するケースがあります。
リレーショナルデータベースを活用しよう
企業が所有する情報の管理を便利にするリレーショナルデータベース。この記事でご紹介した特徴や用語などを参考に、ぜひリレーショナルデータベースを活用してみてはいかがでしょうか。