Excelは表計算やデータ管理など、さまざまな用途で使える便利なソフトです。しかし、大量のデータ管理や分析などには向きません。そこで導入を検討したいのが膨大なデータ分析とさまざまな可視化ができるBIツールです。ここでは、BIツールとExcelの機能の違いや、それぞれが向いている分析作業について詳しくご紹介します。
BIツールの製品比較記事を見るBIツールとは
BIツールとは、大量のデータを多角的な視点で分析して、経営方針の決定に役立てるツールです。ビジネスを効率よく展開するには、商品単位での売上、顧客の年齢層、時間帯別売上、競合他社の売上など、さまざまなデータの分析が必要です。
データを分析すれば、シーズンごとに展開すべき商品の特徴や売り場の展開方法など、売上アップに繋がる施策を立てやすくなります。
BIツールとExcelの違い5つ
BIツールとExcelには、分析可能なデータ量・対応可能なデータソースの量・表示可能なグラフの量・レポート作成の工数・データ共有の利便性、これら5つの観点において違いがあります。
総合的にみるとExcelよりもBIツールの方がより高度な分析が行えるため優れていると言えますが、必ずしも全ての企業にBIツールが必要なわけではありません。例えば、ITツールをこれまで使ってきておらず、操作に長けた社員も不足している企業の場合には、いきなり導入しても定着させることが難しいでしょう。一方で、他の業務などでITツールをある程度使っている場合には、特に問題なく導入できるはずです。
BIツールとExcelに共通する4つのデータ分析方法
BIツールとExcelのデータ分析方法には共通点があります。BIツールが自社に必要かどうかを知るためにも、Excelとの共通点を確認しておきましょう。
1、予実分析
予実分析とは、予算と売上を分析する機能です。部門や商品、担当者などのカテゴリに分けて細かく分析できるため、売上の構成比率や予算達成率なども確認できます。
2、ABC分析
ABC分析は、商品を売上や利益率などからABCの3段階に分けて分析する方法です。例えば、商品を売上が大きい順にABCでランク付けすると、優先的に販売すべき商品がわかります。
3、RFM分析
RFM分析とは、「最新購買日(recency)」と「平均購買頻度(frequency)」、「累計購買金額(monetary)」を組み合わせ、顧客をランク付けする分析方法です。積極的に営業をかけるべき顧客と様子を見るべき顧客に分類することで、営業担当者のリソースを適切に配分できます。
4、相関分析
相関分析とは、「天気」と「商品Aの売上」といった2つのデータを分析して関連性を示す分析方法です。商品の陳列方法、場所、展開するタイミングなどの決定に役立ちます。
Excelのデータ分析機能4つ
Excelには、次のデータ分析機能が搭載されています。
1、ピボットテーブル機能
ピボットテーブルは、顧客単位やメンバー単位、支社単位などに項目を細分化して集計できる機能です。数字データを細分化して集計できれば、状況を改善するために取り組むべき施策が見えてきます。
2、関数機能
関数を入力することで、足し算や引き算、掛け算、割り算のほか、条件に合った抽出や統計など多様な処理ができます。個人売上を足してチーム全体の売上を算出、部署ごとの売上を足して会社全体の売上を算出など、さまざまな用途があります。
3、グラフ作成機能
数字を棒グラフや折れ線グラフなどに「見える化」できる機能です。視認性が優れたデータは社員の理解を得やすいため、PDCAサイクルを速やかに回したいときに役立ちます。
4、予測シート機能
現在の売上や在庫状況などのデータから予測データを自動で導き出す機能です。必ず正確な数値を導き出せるわけではありませんが、今後のビジネス展開を決めるときの参考になるでしょう。
ExcelができなくてBIツールができること7つ
BIツールを導入すべきかどうか判断するために、ExcelではできなくてBIツールなら実現できることについて、詳しくみていきましょう。
1、大量データの集計・高速分析
Excelは、ワークシート上にデータを格納する形式になっており、データ容量の上限は2007以降のバージョンで「104万8,576行×1万6,384列」です。一見、膨大な容量に思えるかもしれませんが、データは日々蓄積されるため、すぐに上限に達するでしょう。
BIツールはデータベース上にデータを保管するため、サービスの容量上限に達するまで利用できます。また、容量が上限に達しても、プランのアップデートや複数アカウントの作成などで対処可能です。
さらに、データの効率的な処理が可能な「リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)」の採用によって、大量のデータをスピーディーに処理できるBIツールもあります。Excelのデータ処理能力はパソコンのスペックに依存するため、通常では大量のデータの処理に多くの時間を要します。
2、様々なデータを組み合わせたデータ集計・分析
BIツールは、Excelよりも多くのデータソースに対応しているため、様々なデータを一元的に統合して多角的に分析できます。Excelは対応できるデータソースが限られているため、複数のデータを横断した分析が苦手です。
3、最新データのリアルタイム共有
Excelで作成したファイルはメールで共有することが一般的です。BIツールはさまざまな端末からリアルタイムでデータを参照できます。
4、簡単なレポート作成
BIツールは、分析データのドラッグアンドドロップで簡単にグラフを作成できます。Excelと比べて少ない工程でデータを可視化できるため、データ分析の効率が上がります。
5、異なるデバイスからの同時書き込み
Excelは、同時編集ができませんが、BIツールは異なるデバイスからリアルタイムで情報を更新できます。複数人で手分けしてデータを入力できるため、業務効率が上がるでしょう。
6、ユーザー単位での権限の設定
Excelのセキュリティ対策には、ファイルのパスワード設定、アップロードするサーバーの権限設定などがあります。ファイルのパスワードを特定の社員に共有したり、サーバーごとに権限を設定したりするのには手間がかかります。
BIツールは社員ごとに権限を設定できるため、パスワードの共有やサーバーごとの権限設定の必要がありません。セキュリティ対策の手間が削減されることで、業務効率化が期待できます。
7、データの自動処理
Excelは、データをすべて手動で処理する必要があります。対してBIツールは、グラフにカーソルを合わせるだけで詳細表示できたり、クリックするとさらに詳しい情報を表示できたりするため、効率よくデータ分析できます。
BIツールの製品比較記事を見るExcelとBIツールそれぞれが向いている分析作業
それでは、ExcelとBIツールそれぞれが向いている分析作業について、詳しくみていきましょう。
1、Excelの利用が向いている分析作業5つ
Excelは簡易的なデータ分析機能がついているため、次のような分析作業に向いています。
① 表やグラフの作成
Excelは少量データを手軽に可視化できるため、単一データの表やグラフの作成に向いています。
② 共有が不要な自分だけの分析作業
データ共有の必要がなく、分析するデータも少量の場合に向いています。
③ 入力負担が少ない分析
入力に時間がかからない分析は、データの自動処理機能がないExcelでも対応できます。
④ データベースへのアクセスが許可されていない分析
データベースへのアクセスが許可されておらず、単独分析をする場合は、Excelを使うとよいでしょう。
⑤ データ更新の必要がない分析
BIツールは様々なデバイスからデータ更新できますが、Excelはオフラインでのみ更新できます。そのため、将来的にデータ更新の必要がないその場限りのデータ分析にはExcelが向いています。
2、BIツールの利用が向いている分析作業6つ
続いて、BIツールを使う方がよい分析作業をご紹介します。
① 取り扱うデータ数が多い分析
BIツールは大容量のデータを効率よく処理できるため、取り扱うデータの数や種類が多い分析に向いています。
② チームや部署での共有が必要な分析
BIツールの分析データは複数デバイスへ簡単に共有できるため、チームや部署間でのデータ共有が必要な場合に向いています。
③ 複数のデータソースの統合が必要な分析
多くのデータソースに対応したBIツールは、様々なデータの統合が必要な分析に向いています。
④ 様々な指標を使った詳細な分析
大量のデータを効率よく分析できるBIツールは、複数の指標を関連づけて、様々な仮説を立てる必要がある分析に向いています。
⑤ 多くの社員とのデータ共有が必要な分析
BIツールはデータベースへデータを格納する仕組みのため、多くの社員とのデータ共有が必要な分析に向いています。
⑥ 速やかに情報を共有して意思決定したい分析
BIツールは分析データをリアルタイムで共有できるため、速やかな意思決定を求める企業に向いています。
BIツールの製品比較記事を見るBIツールとExcelはどちらかに統一する必要はあるのか?
大容量で複数データを多角的に分析したいときはBIツール、少量のデータを手早く分析したいときはExcelを使いましょう。それぞれの機能と特性を踏まえて使い分けることで、効率的なデータ分析が可能になります。
ただし、大容量のデータを取り扱うことが多い場合は、BIツールに統一した方が現場が混乱しないでしょう。
BIツールを導入するにあたっての心得2つ
BIツールを導入する場合はいくつか気を付けなければいけない点があります。
BIツールを導入する際の心得1:課題の整理と目的の設計
BIツールを導入する際には、課題の整理と目的の設計を行うようにしましょう。とりあえずで決めてしまい、自社に合わないものを導入してしまうと、せっかく導入したのに意味がなかった、ということになりかねません。ツールを導入する場合は、まずは自社が抱えている課題を整理し、導入目的を明確にすることが重要です。
課題整理と目的の設計を行うことで、課題解決に必要な機能がわかり、導入後も目的の達成度を測ることができるようになります。
BIツールを導入する際の心得2:全社での一斉導入は控える
BIツールを導入する際には、全社での一斉導入は控えるようにしましょう。
BIツールをいきなり一斉に導入すると、かえって社内での混乱が生じる原因になりかねません。そのため、まずはスモールスタートで試すことが大切です。
Excelと比較してからBIツールの導入を検討しよう!
BIツールはExcelよりも大容量のデータを効率よく分析できるうえに、他のメンバーへの共有も簡単です。ExcelとBIツールを比較したうえで、導入を検討しましょう。まずは、BIツールの資料請求をしてみてはいかがでしょうか。ツールごとに機能や利便性に若干の差があるため、十分に比較検討することが大切です。
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