スマートフォンの普及に伴い「スマホの乗っ取り」が増加しています。
突如として動かなくなった端末、知らないアプリのインストール、SNSの不正利用といった症状は、スマホ乗っ取りのサインかもしれません。
この記事では、実際の被害例から自分のスマホが乗っ取られているかどうかの確認手順、そして最も重要な対策方法までを詳しく解説します。
あなたの大切な情報とプライバシーを守るためにも、ぜひ参考にしてください。
スマホの乗っ取りとは?乗っ取られた場合の被害例も解説
「スマホ乗っ取り」とは、不正な手段でスマートフォンを遠隔操作されることや、第三者によってそのスマートフォンのコントロールが奪われる状況を指します。
乗っ取りの方法や目的はさまざまですが、一般的に以下のような被害が生じるため、注意が必要です。
- 遠隔操作による盗撮や盗聴
- 機密情報・個人情報の漏洩
- アカウントの乗っ取りや不正利用
- 端末ロック
それぞれの詳細は、以下の通りです。
遠隔操作による盗撮や盗聴
スマホのカメラやマイクを不正にアクセスされると、ユーザーの日常の映像や音声を盗聴・盗撮することが可能となります。盗聴・盗撮はプライバシーの侵害だけでなく、そこから得られた情報がブラックメールや脅迫の材料として利用されることも。
ユーザーが気づかないうちにバックグラウンドでカメラやマイクが動作している場合がありますので、定期的なアプリの権限チェックや不審な動作の監視が必要です。
機密情報・個人情報の漏洩
スマホが乗っ取られると、スマホに保存されている電話帳、メール、メッセージ、写真、動画、位置情報などの個人データが、第三者に盗まれます。
さらに、フィッシングやマルウェアによってクレジットカード情報、銀行口座情報、パスワードなどの機密情報が漏洩すると、その後の金銭的な被害につながる恐れもあります。
アカウントの乗っ取りや不正利用
SNS、メール、オンラインショッピング、モバイルバンキングなどのアカウントが乗っ取られると、不正なアクセス・操作が可能となります。
名誉の損害や不正な取引、第三者とのトラブルの原因となるだけでなく、友人や知人へのフィッシングメールの送信元としても利用されかねません。
端末ロック
攻撃者によってスマホがリモートでロックされると、スマホが利用できなくなります。この攻撃は、解除のための「身代金」を要求される「ランサムウェア」の一種として有名です。
ユーザーが身代金を支払っても解除されるとは限らず、さらに情報が盗まれるリスクも考えられます。
スマホ乗っ取りの手口
上記のような被害を及ぼすスマホの乗っ取りですが、乗っ取りはどのような手口で行われるのでしょうか。ここでは、特に利用されやすい下記3つの手口について解説します。
- 不正アプリやウイルス
- 偽のWi-Fi
- 怪しいリンクやWebサイト
不正アプリやウイルス
不正なアプリをダウンロードすると、そのアプリに組み込まれたプログラムがスマホにマルウェアやスパイウェアを仕込み、情報を盗み取ったり、端末を遠隔操作したりします。
また、一見すると有用なアプリやゲームに偽装されたトロイの木馬と呼ばれるプログラムも、裏で不正な動作を起こすため注意が必要です。
公式のアプリストア以外からダウンロードすると、このような不正なアプリに遭遇するリスクが高まります。
偽のWi-Fi
現在は無料Wi-Fiの普及が進んでいますが、公共の場所に無料Wi-Fiを偽装したWi-Fiアクセスポイントが設置されていることがあるため、注意が必要です。接続すると、攻撃者はその通信を傍受し、パーソナルデータを盗むことができます。
また、Man-In-The-Middle Attack (MITM)と呼ばれる攻撃では、攻撃者がユーザーと本来のWi-Fiアクセスポイントの間に入り込み、通信を傍受・改ざん。これにより、例えば銀行やSNSなどのログイン情報などが盗まれるリスクにさらされます。
怪しいリンクやWebサイト
怪しいリンクのURLをクリックすると、正規サイトを装った偽のWebサイトへアクセスさせられることがあります。いわゆるフィッシングと呼ばれる手法で、ログイン情報やクレジットカード情報を盗む詐欺手法です。
また、何もクリックしなくても、不正なWebサイトを訪れただけで、自動的にマルウェアやウイルスがダウンロード・実行されるドライブバイダウンロードと呼ばれる攻撃手法もあります。
リンクやWebサイトのURLをクリックする前に、そのURLや送信元が信頼できるものか確認する癖をつけましょう。また、不審なメールやメッセージのリンクは開かないように注意が必要です。
スマホが乗っ取られているか確認する方法
お手持ちのスマホが乗っ取られているか不安な方は、以下の方法で確認する良いでしょう。
- セキュリティソフトを利用する
- SNSのログイン履歴を確認する
- インストール済アプリをチェックする
- データの使用量を確認する
セキュリティソフトを利用する
セキュリティソフトやアンチウイルスアプリをスマホにインストールし、定期的にスキャンを行いましょう。スマホに対応したセキュリティソフトであれば、不正なアプリやマルウェア、スパイウェアの存在を検出可能です。
スキャンの結果、疑わしい動作やアプリを検出すると、これらのソフトは警告を発し、問題のあるファイルの隔離や削除を促してくれます。
スマホに対応したセキュリティソフトはこちらの記事でまとめていますので、併せて参考にしてください。
ただし、iPhone(iOS)はセキュリティソフトによるウイルススキャンを行えません。ウイルススキャンが実施できるのは、Androidの端末のみとなります。
SNSのログイン履歴を確認する
多くのSNSやオンラインサービスには、ログイン履歴やアクティブなセッションを確認する機能が提供されています。
この履歴機能を用いて、自分がログインしていない場所や時刻、未知のデバイスからのアクセスがないかを確認しましょう。
もし怪しいアクセスを見つけた場合は、アカウントが不正利用されている可能性があります。
インストール済アプリをチェックする
定期的にスマホ内のアプリ一覧を確認することも、スマホ乗っ取りに気づくための有効な方法です。
自分がダウンロードした覚えのない不審なアプリがインストールされていた場合、それが原因で不正な動作をしている可能性があります。
データの使用量を確認する
突然のデータ使用量の増加は、バックグラウンドでの不正な通信やデータのアップロード・ダウンロードが行われている可能性を示唆しています。
スマホの設定メニュー内より各アプリが使用したデータの量を確認できますので、通常とは異なる大量のデータを使用しているアプリを特定し、必要に応じて対処を行ってください。
スマホ乗っ取りの疑いがある場合の対処方法
ご自身のスマホに上記で解説した症状がみられる場合は、スマホ乗っ取りを疑いましょう。その際に取るべき対処法は、以下の5点です。
- インターネット接続から乖離する
- 不審なアプリはアンインストールする
- SNSなどのパスワードを変更する
- スマホの初期化を行う
- フォレンジック調査会社に依頼する
インターネット接続から乖離する
まずは、スマホをインターネットから切断してください。Wi-Fiやモバイルデータ通信をオフにすることで、外部からのアクセスやデータの送信を一時的に阻止できます。
これにより、さらなる情報の漏洩や不正操作を防ぐことが可能です。
不審なアプリはアンインストールする
前述したように、自分がインストールした覚えのない不審なアプリは、スマホ乗っ取りの経路となります。
そのようなアプリを見つけたら、速やかにアンインストールしてください。アンインストールは、インターネット接続を切断した状態で行うと良いでしょう。
SNSなどのパスワードを変更する
乗っ取りの兆候がある場合は、SNSやメール、オンラインサービスのアカウントの安全も危険にさらされている可能性が高いです。
これらのサービスへの不正アクセスを防ぐためにも、すぐにパスワードを変更しましょう。また、二要素認証を導入することで、さらなるセキュリティ強化を図ることができます。
スマホの初期化を行う
乗っ取りの原因となっているマルウェアや不正アプリを完全に削除するためには、スマホの初期化(工場出荷状態にリセットする行為)が有効です。
ただし、初期化を行うと必要なデータもすべて消去されてしまうため、事前に重要なデータのバックアップを取っておく必要があります。
初期化後は、必要なアプリだけを公式のアプリストアから再度インストールしましょう。
フォレンジック調査会社に依頼する
専門的な調査やデータ復旧が必要な場合は、デジタルフォレンジック調査を行う専門会社への依頼が有効です。
フォレンジック調査会社は、不正アクセスの原因や手口を特定し、適切な対策を講じる手助けをしてくれます。
おすすめのフォレンジック調査会社
フォレンジック調査を依頼するなら、デジタルデータソリューション株式会社がおすすめです。
サイバー攻撃やマルウェア感染調査、情報漏えいの調査などに定評のある専門業者で、過去の相談件数は3.9万件以上。全国の捜査機関にも捜査協力を行うなど、豊富な実績があります。
「ハッキング調査」「社内不正調査」などインシデントごとに専門チームが対応。また、セールスとエンジニアが密に連携することでスピード解決を可能にしています。
24時間365日、無料相談を受け付けていますので、インシデントが発生した際は相談してみてください。もちろん、公的機関に提出可能な作業報告書(調査レポート)も作成してくれます。
スマホ乗っ取り被害を防ぐための対策
最後に、スマホの乗っ取り被害を防ぐための2つの対策をご紹介します。どちらも基本的な内容ですが、普段から意識することでリスクを大きく減らせます。
- 街中の知らないWi-Fiを使用しない
- よく分からないアプリは入れない
街中の知らないWi-Fiを使用しない
公共の場所や街中に設置されているフリーWi-Fiは非常に便利ですが、一方で大きなセキュリティリスクが伴います。
Wi-Fiホットスポット自体が偽物の可能性もありますし、そもそもフリーWi-Fiは通信内容が暗号化されていない場合が多く、第三者に通信内容を傍受されるリスクも高いです。
セキュリティが不十分なWi-Fiネットワークを通じて、マルウェアに感染する可能性もありますので、公共のWi-Fiを利用する機会が多い方は、VPN(Virtual Private Network)サービスの利用を検討しましょう。
VPNサービスを利用すれば通信内容を暗号化することができるため、通信の安全性が飛躍的に高まります。
よく分からないアプリは入れない
悪意のあるアプリや偽のアプリは、スマホ乗っ取りの大きな原因です。これらのアプリをインストールしないためにも、以下の3点を意識する癖をつけましょう。
- 公式ストアを利用する
- アプリの評価やレビューをチェックする
- アプリの権限を確認する
公式ストアを利用する
アプリをダウンロードする際は、公式のアプリストア(例:Google Play、App Store)からのみインストールしましょう。公式ストアではある程度のセキュリティチェックが行われているため、不正なアプリのリスクが低くなります。
アプリの評価やレビューをチェック
アプリのダウンロード前に、評価やレビューを確認する癖をつけましょう。口コミの内容は、そのアプリに信頼性があるかどうかの判断材料となりえます。
アプリの権限を確認
アプリの要求する権限が過剰である、または不適切である場合は、そのアプリのインストールを避けましょう。
まとめ
スマホ乗っ取りは、現代のデジタル社会における深刻なセキュリティ問題の一です。
ですが、日常的な注意と適切な知識を持っていれば、乗っ取りリスクを大幅に低減することも可能です。
常に最新のセキュリティ情報を取り入れ、安全なスマホ利用を心がけましょう。