所有している家の売却や増改築のために「建築確認通知書」という書類が必要だが、どのような資料を指すのかわからずに困っているかたはいませんか?不動産関連の取引には多くの専門用語や書類が存在するため、知らない内容について困ってしまうことは珍しくありません。
「建築確認通知書」は対象住宅の建築確認が完了していることを証明する書類で、家の売却や住宅ローンの申請など様々な場面で必要になります。
この記事では建築確認通知書の詳細や必要な場面、保管方法や万が一紛失していた時の対処法を紹介し、不動産取引の手続きを進める方法を解説いたします。
- 建築確認通知書は、住宅の設計が建築基準法に適合していることを証明する書類です。家の売却や住宅ローンの申請時に必要で、改築や新築の際に発行されます。
- 建築確認通知書の再発行は原則できませんが、建築計画概要書や台帳記載事項証明書を役所で取得することで代用できます。これらの書類も建築確認通知書と同様の情報を提供するようです。
- 建築確認通知書は、専用のファイルボックスや金融機関の貸金庫で厳重に保管することが推奨されます。紛失しないよう適切な保管方法を徹底することが重要。
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建築確認通知書に関する基礎知識
次では建築確認通知書がどういった情報を記している書類なのかを解説します。同内容の確認済証や建築検査済証の理解にも役立てることができますので、確認しておきましょう。
建築確認通知書とは
建築確認通知書は、対象住宅の建築確認が完了していることを証明する書類を指します。
建築確認とは新築や改築などの設計段階において、住居の設計が建築基準法に合致しているかどうかを確認する事を指し、その確認が済んだ後に発行されるものが建築確認通知書です。後1999年以降は改正建築基準法により名称が変更され「確認済証」や「建築確認済証」と呼ばれていますが、内容は変わりません。
改正建築基準法の施行以前に発行された書類が建築確認通知書と呼称され、施工以降に発行された書類が確認済証または建築確認済証と呼称されています。
建築確認通知書のフォーマット
建築確認通知書の記載には、まず宛名の上に
- 確認番号 第○○○号
- 取得(確認)年月日
と記された後、通知文の下部に下の箇条書きの事項が羅列されているケースが一般的です。
- 申請年月日
- 建築場所
- 建築物の名称
- 主要用途
- 工事種別
- 敷地面積
- 延べ面積
- 申請棟数
- 主たる建築物の構造
- 主たる建築物の階数
- 備考
確認済証も類似したフォーマットで記載されていますが、主文面が証明文に相当するものに変化しています。建築確認通知書の主文は規定に適合していることを確認した事を述べ「通知します」と締めているのに対し、確認済証では規定に適合することを「証明する」と表現しています。
建築確認通知書を受け取るタイミング
新築を建てる場合には申請から3週間程度で発行されていますが、実際に書類を受け取るのは、完成した家の引き渡しの時であることが一般的です。発行段階では建築の依頼を受けた建築会社にて保管されています。
再発行はしてもらえない
- 原則的に、建築確認済証は書類の再発行を行うことができません。
建物の引渡し後に受け取ったら厳重に保管し紛失を防ぐようにしましょう。もしも紛失してしまった場合には、別の方法で必要な情報を確認するしかありません。建築確認番号や検査済証番号及びそれらの取得日は、各自治体の役所を利用することで知る事ができます。
建築計画概要書
建築計画概要書は建築物の概要や検査の履歴を記載した書類です。各地方自治体で建築指導を担当する窓口で無料で観覧することが可能ですが、コピーや写真撮影などが行えるかどうかは市区町村によって異なります。
台帳記載事項証明書
台帳記載事項証明書は、建築確認通知書や検査済証を紛失した場合、代替として発行できる書類です。
各地方自治体で建築指導を担当する窓口で、有料で発行することができます。
建築物を特定するためには建築当時の地名や地番が必要なので、分からない場合は法務局問い合わせや固定資産税の課税明細書、図書館で閲覧できるブルーマップで調べておきましょう。
検査済証との違い
建築確認通知書が建築前に発行される書類であることに対し、検査済証は建築完了時に行われる検査において発行される書類で、対象の建物が適法に建築されたことを証明します。
建築完了後の検査で建築基準法に則った建築が行われているかどうかが検査されますが、その際に規定に合致していれば発行されます。
検査済証が発行されている場合、建築確認通知書の記載事項の変更は不可能となります。
建築確認通知書の提出が必要な場面とは
建築確認通知書は、物件が適法に建築された建造物であることを証明する書類であることから、不動産の取り扱いにおいてとても重要な役割を果たします。この項目では、建築確認通知書が必要な場面について解説します。
家を売却するときに新しい家主に渡す
売却物件の引き渡しが決定した際に対象の物件が違法建築でない証明を行うため不動産会社や仲介会社に提出をする必要があります。会社側からも準備を依頼されますので、忘れずに準備しておきましょう。
売却時には通知欄の「建築確認番号」と「取得年月日」が重要事項になります。もしも紛失してしまっているなら、前述の代替書類を参照しましょう。
また、違法建築でない証明には検査済証の「検査済証番号」や「取得年月日」も重要です。そちらの用意も忘れないようにしておきましょう。上記二つに加え必要な書類を箇条書きすると以下の通りです。
- 建築確認通知書
- 検査済証
- 登記済権利書
- 身分証
- 実印・印鑑証明
- 預金通帳
住宅ローンの申請で金融機関に提出する
住宅を担保にするとき、当初の計画通りに建てられた家なのかを判断するために提出する必要があります。
金融機関の立場では建築確認が行われていない物件が計画通りに建築されるかどうかが分からず、担保価値を誤って判断するリスクを背負っているからです。
住宅ローンの審査申請には、他にも以下の書類が必要です。
- 建築確認通知書
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 不動産登記簿謄本(土地、全部事項証明書)
- 不動産登記簿謄本(建物、全部事項証明書)
- 建築確認申請
- 物件パンフレット
家の増改築で確認申請を受けるために提出する
リフォームや増築の規模によっては必要になる場合があります。具体的には確認申請を伴うリフォームや増築を行いたい際に必要となります。
確認申請は新たに建造物が増えると判断される場合に必要なため、通常のリフォーム(フローリングやクロスの張替え)などには適用されないことが一般的です。
確認申請を受ける必要があるかどうかはリフォーム業者に判断を頼みましょう。
3つの方法で建築確認通知書の紛失に対処
建築確認通知書の再発行は原則的に不可能です。万が一紛失してしまった場合は別の手段でその時々に必要な情報を取得しなければなりません。この項目では、建築確認通知書の紛失時における対処法について紹介します。
役所で建築計画概要書を確認する
前の項でも触れましたが、建築計画概要書には建築物の概要や検査の履歴が記載されています。
ほとんどの場合は建築確認番号や検査番号、取得年月日を記載しているので、この書類を使って必要な情報を確認することができます。フォーマットは市区町村や作成年によって異なりますが、新しい建築物ほど正確で詳細な情報が記されているのが一般的です。
各地方自治体で建築指導を担当する窓口での無料観覧が可能ですが、コピーや写真撮影ができない場合や、書類自体を有料で発行してもらえる場合など対応には差異があります。市区町村によって異なりますので、利用の際はしっかり確認するようにしましょう。
台帳記載事項証明書で建築確認通知書の代用
こちらも前の項目で触れましたが、台帳記載事項証明書とは、紛失した建築確認通知書や検査済証と同じ情報が記載された書類です。
各自治体で指定の申請書を建築指導担当窓口へ提出することで発行されます。発行には一通あたり200円から400円ほどの金額が必要なのが一般的です。金額は市区町村によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
台帳記載事項証明書で建築物を特定するためには建築当時の地名や地番が必要です。分からない場合は法務局問い合わせや固定資産税の課税明細書、図書館などにあるブルーマップで調べておいてください。
建築確認証や検査済証の紛失でも対応は一緒
建築確認証や検査済証を紛失しても、台帳記載事項証明書であれば建築確認番号などを確認できます。
ただしこの書類はあくまで建築確認済証または検査済証を紛失してしまった場合にだけ発行できる書類です。また物件の建築確認や完了検査がされていない場合では作成自体が行われていないことに留意しておいてください。
指定機関で審査を受ける
専門家による審査を受けて既存不適格調書などを発行してもらう方法も存在します。
これは検査済証の無い物件でなおかつ増改築やリフォームを行う場合におすすめの方法と言えるでしょう。
国土交通省は「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査のためのガイドライン」を公開し、検査済証がない建築物の有効活用を促す試みを打ち出しました。このガイドラインは膨大な数の検査済証のない建築物が日本に存在することを受け、改めて建築基準法に適合するかどうかを調査するための手順を示したものです。
この調査ではまず建築確認通知書を用いた「図上調査」を行う事となっていますが、書類の存在しない場合は建築士による「復元図書」または「復元構造計算書」の作成によって調査が行われます。その調査結果は「既存不適格調書」の資料として活用され、違反建築物に該当しなければ「既存不適格建築物」として増改築の緩和措置を受ける事ができます。
不動産物件を増改築したいが検査済証も建築確認通知書も無い、という方は指定機関から審査を受け、既存不適格調書を発行してもらうことを考えてみると良いでしょう。
建築確認通知書を紛失しない保管方法
万が一の対応策が存在するとはいえ、重要書類を失わないことこそが最良です。この項目では書類提出を求められた時に困らないよう、以下に保管方法を紹介します。
保管方法は不動産関係の書類に限らず、様々な分野の書類の保管に応用できるので、しっかりと確認しておきましょう。
専用のファイルボックスを作っておく
ファイルボックスを用途別に分類して、各種書類を1ヶ所に集めておくと良いでしょう。ラベルやシール、テプラで書類の分野を明示するなどで保管のルールをしっかりと決めると、引き出す時と収納する時の両方で混乱が避けられます。
また、不要な書類を適宜処分していくことによって、重要な書類を埋もれさせないようにすることも重要です。しかし不要かどうかの確認は厳重に行ってください。重要書類の保管のために別の重要書類を失ってしまっては元も子もないため、細心の注意が必要です。
家庭での保管で役立つグッズの選び方
せっかく買ったファイルボックスも、使い方が合わなかったり収納量が足りなかったりすれば、むしろ散らかり紛失に繋がってしまう恐れも否めません。適切なファイルボックスを選ぶ上で重要な点は以下の通りです。
- 使い方に合わせたタイプを選ぶ
- 分類して収納できるものを選ぶ
- 収納する書類と場所をイメージして選ぶ
「使い方に合わせたタイプを選ぶ」点においては、書類の仕分けが容易なファイル式のタイプなどが適格です。逆に持ち運びに便利なケース式のタイプなどは、重要書類を持ち出す頻度を考えれば不適格と言えます。
「分類して収納できるものを選ぶ」点においては、ポケットで仕切られたタイプのファイルボックスが便利です。不動産関係を一つのポケットにまとめておけば、探す手間も省くことができるでしょう。
「収納する書類と場所をイメージして選ぶ」点では、まずは書類そのもののサイズについて考えなくてはなりません。重要書類の保管においては紙を傷つけないように、書類サイズより余裕のある収納スペースを持ったものがおすすめです。次はファイルボックスそのもののサイズです。本棚や引き出しなど、保管する場所を想定して適切なものを選びましょう。
最寄りの金融機関の貸金庫に保管
金融機関が貸し出している金庫を使用して書類を保管することもできます。自宅での保管とは違い使用料を支払わなくてはなりませんが、金融機関のセキュリティはとても強力ですので、盗難や災害に対しても安心・安全な保管場所になっています。
自宅での保管が不安な方は、貸金庫の利用を検討してみると良いでしょう。
建築確認通知書を含む書類を用意し売却をする手順
これまで建築確認通知書など一連の書類が重要であることについて解説してきました。この項目では、それらの書類が必要な不動産取り扱いを、売却を例にとって紹介いたします。
売却を依頼する業者を探す
不動産の売却には売り出し価格の設定や買い手探し、価格交渉など専門的なやり取りを数多くこなさなくてはならず、全てを自分で行おうとするのは現実的ではありません。そこで「業者選び」が重要です。
まずは複数の業者で査定を受けて、売却価格の相場を把握すると良いでしょう。相場に合った査定をする業者の担当に合い、そのうちで信頼できる業者と媒介契約を結びましょう。
複数の業者への査定依頼には不動産一括査定サイトが便利です。
おすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」
- 初めてで不安だから実績のあるエース級の担当者に出会いたい
- 厳選された優良不動産会社のみに査定を依頼したい
- 悪徳業者が徹底的に排除された査定サイトを使いたい
以下のページで不動産一括査定サイトを紹介しておりますので、是非ご覧になってください。
不動産業者と媒介契約をする
不動産業者に売却依頼を行った際、売り主と業者の間には「媒介契約」が結ばれます。この契約は不動産業者と売り主の依頼関係を明白化し意思決定にかかわる双方の条件を整理、業務におけるトラブルを未然に防ぐことを目的としています。
媒介契約には3種類の形態が存在しています。「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つです。これらの内容の違いは6つの条項の可否や有無によって分けられます。
内容の違いは以下の表の通りとなります。
専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数業者との契約 | × | × | 〇 |
他社への通知義務 | × | × | ○ ※明示型の場合 |
自己発見取引 | ○ | × | 〇 |
契約の有効期間 | 3か月以内 | 3か月以内 | 指定なし |
指定流通機構への登録 | 7日以内に登録 | 5日以内に登録 | 任意 |
業務状況の報告義務 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 | 任意 |
広告を出して家の売却を開始
媒介契約が住んだら売却に向けての活動が開始されます。売却する不動産は「商品」であるため、徹底的な掃除を行いましょう。
購入希望者は内覧(家の見学)を希望しますので、その方々が「買いたい」と思えるような家にしておくことが重要です。
汚れ落としは勿論、部屋や収納を広く見せるためにモノを減らしたり、におい対策も行いましょう。基本的に、内覧では家の全部を見てもらうつもりで準備してください。
また、購入希望者を探すためにインターネットや紙情報での情報発信も欠かさないようにしましょう。
購入希望者から購入申込を受けたら、価格や引渡しでの条件の調整を行います。双方の合意で売買契約が交わされますので、契約に必要な書類の準備を忘れないようにしましょう。
決まった買主に家を引き渡し清算をする
売買契約が決まったら既存ローンの完済や抵当権抹消の手続きや公共料金の精算、引越しを済ませて買主に家を引き渡せる状態にしておきましょう。
買主から家の代金を受け取り、不動産業者に仲介手数料などの費用を支払うことで売買契約は完了です。売却完了までに必要な費用は下記の通りです。
- 仲介手数料
- 印紙税(売買契約書に課税される)
- 登記費用(抵当権抹消などの費用や、司法書士が関わった場合の報酬)
- その他の費用(測量費や解体費、廃棄物処分費など)
- 引越し費用
建築確認通知書に関するよくある質問
まとめ
不動産の手続きにおいて、建築確認通知書は重要な役割を果たします。建築時に受け取るという性質からその存在を忘れてしまう事もあり得ますが、焦る必要はありません。
建築確認通知書が手元にあるならば厳重に保管し、紛失してしまったのならば建築確認概要書または台帳記載事項証明書などの代替手段で対応し、手続きの時までに必要な情報を用意できるようにしましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
・https://www.retpc.jp/chosa/reins/
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
・https://www.zentaku.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/02/2021-fudousan-anke-to.pdf
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