日々忙しく過ごす社長のカバンの中には、どんなものが入っているのでしょうか? 本連載では、各分野で活躍する会社の経営者が愛用するカバンと、必携アイテムを紹介していきます。今回は入江工研株式会社の入江則裕代表取締役社長です。
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1981年3月に法政大学工学部を卒業後、旧三菱化成に入社。漢字オンラインシステムの開発に従事する。1988年の退社後は南アフリカ、パラオ、米国、欧州など世界を回り見聞を広め、1989年12月にペックインターナショナル(入江工研子会社)入社。パソコン事業(パソコンスクール)を始める。1999年6月に入江工研代表取締役社長に就任。写真は趣味のフルートを演奏しているところ。還暦記念コンサートにて撮影
入江工研は1966年に創業。中核事業は金属ベローズの製作です。「ベローズ」(Bellows)とは「蛇腹」のことで、工業製品でいう「蛇腹」とは紙、布、プラスチック、金属などの膜ないしは板状の部材で作られる山折りと谷折りの繰り返し構造の製品を指します。ベローズは半導体、液晶などの真空機器をはじめ、加速器、核融合、原子力、石油化学、鉄道、医療、建築など幅広い分野で気体・流体の気密封止のシール用部材として使用さ れています。
■入江則裕社長の「カバンの中身」
リュックサックは通勤用と生け花用を兼務しており、中には3つのスケジュール帳と生け花セットを入れています。ポケットが多く、細かいものも収納できて重宝しています。
3つのスケジュール帳は使い分けをしており、青のノートは得た情報を記憶するためのノート、ピンクのノートはこれからの予定を把握するためのノート、ベージュのノートは青ノートのスケジュールを基に実際にあった事を清書して残しておく記憶ノートです。どのノートもそれぞれの役割を果たしてくれている大事な存在です。
生け花用ハサミとプラスチック剣山
約5年間に購入しました。ブランドは「池坊」です。花を生けるとき、また、生けた花を直すときに使います。
1週間に1回程度、家庭、職場で花を生けます。長く保つ花もあれば早く終わる「花もの」もありますので、常に「直し」が必要になります。気づいた時にいつでも直せるようにしています。
また、いろいろな場に出席する機会が多いこともあり、突然「花を生けてください」と依頼されることもありますので、鋏とプラスチック剣山をいつでも鞄に入れておくようにしています。この2点があれば皆様に喜んでいただけるパフォーマンスができるので、便利です。
練習用フルート
約10年前に購入したヤマハのフルートです。大学時代からの趣味で、いつでも練習できるように持ち歩いています。フルート専用バックは7~8年前から愛用しています。山野楽器とサマンサタバサジャパンリミテッドとのコラボレーションバッグです。サマンサタバサは妻の御用達ブランドでもあり、私自身も昔から愛用しています。フルート専用のバッグは市場ではあまり売られていない商品で、この型番は現在、販売されておりません。ですので、大切に使わせて頂いております。フルート本体と譜面台が収納できて便利なバッグです。
隙間時間を使って練習する際に練習用フルートが役に立ちます。そんな理由から、鞄を選ぶときはフルートが入るサイズを選び、フルートを持ち歩くようにしています。仕事の帰りにカラオケやスタジオなどで練習するとき、または音を出さずに指だけの練習するときのために入れています。
社長写真日記(某企業製作オリジナルノート)
毎年年末に仲のいい社長が送ってくれます。2003年から毎年、ノートを更新しています。B5サイズの手帳は持ち運びやすく、必要な時にすぐに取り出して参照できるため、日常的に活用しやすいです。また、隙間時間を利用して常に情報の更新を行えるのも便利です。
社長就任から4年後の2003年に先代社長が亡くなり、そのあとに大量に残された写真とバラバラの資料の整理がかなり大変でした。また、過去の記録もかなり曖昧で、資料を見るたびに考古学者になったような気分になり、「せめて父(先代)が日記でも付けていたら、この作業も少しは楽になったのでは」と思いました。そこで私は、B5サイズの手帳に写真を貼り付け、その時にあった大事な出来事を書き記す日記を作りました。これなら他人も参照しやすいかと思います。その数は今までで計21冊になります。普通、日記は人に見せないものですが、自分が退任した時の後継者に向けての日記のつもりで書いています。
サマンサタバサの名刺入れ
5~6年前に購入したものです。女性用のアイテムですがデザインが気に入ったので使用しています。接客の際の評判もよく、重宝しています。
花道の考えを経営方針に応用
入江さんが代表取締役社長を務める入江工研は「守破離コンセプト」を経営方針に掲げています。
「守破離」の「守」は師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」はひとつの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階のことを指すとのことです。
趣味で花道をたしなむ入江社長は、道の教えとして学んだ「守破離」を自社の技術伝承プロセスに応用できると考え、経営方針に取り入れたそうです。