「スキルアップがしたい」「自分の視野を広げたい」「働き方をアップデートしたい」とビジネス書を手に取っても、時間が取れず結局読めていない。そんな人のために、全100冊のビジネス書を要点・おすすめポイント・一読のすすめの3点でまとめた、“ビジネス書のガイドブック”が『ビジネス書大全』です。この連載では、本書から一部を抜粋してご紹介します。
第1回は心理学博士のイ・ミンギュ著(吉川南訳)『「後回し」にしない技術 「すぐやる人」になる20の方法』(文響社)です。
「平凡な人」と「特別な人」を分けるもの
『「後回し」にしない技術 「すぐやる人」になる20の方法』(文響社)
要点
(1)99%の平凡な人たちと1%の特別な人たちを分けるものは、優れたアイデアを持てるかどうかではない。実行力の有無である。
(2)目標達成には、成功への「ルート探索」と、障害物をいかに乗り越えるかという「プロセスの視覚化」が必要だ。
(3)成功者は「終了デッドライン」だけでなく、いつから始めるかという「開始デッドライン」も同時に設定している。単純で楽な仕事へ逃げず、重要な仕事から手をつけるようにするためだ。
おすすめポイント
「家に帰ったらやろう」「ご飯を食べたらやろう」「少し休んだらやろう」「テレビを見終わったらやろう」……。このように心の中でつぶやいて、やるべきことを後回しにする悪癖。直したいと思っている人は少なくないのではないか。
本書は心理学博士でありカウンセラーの経験もある著者が、心理学的見地から問題を分析し、後回しにしないための解決策を提示するものだ。単に勉強や仕事をはかどらせるための小手先のテクニックではなく、一歩足を踏み出せないでいる人が行動に移し、人生を成功に導くための本質的な法則をまとめているのがポイントである。
早起きできない、勉強に身が入らない、重要な仕事の前に雑用をしてしまう……これらの事象を近視眼的に見れば、やるべきことを後回しにしただけの、取るに足らないことのように思える。
ところが大局的に見ると、そこには目標が達成できない根本的な原因が存在する。物事を後回しにしてしまう人とそうでない人の違いは、人間の特性をよく理解しているかどうか、そしてそれを利用できているかどうかで決まるのだ。
本書では、実行力を発揮するプロセスを「決心」「実行」「維持」の3つのフェーズに分けて、具体的な処方箋が紹介される。
たとえば、「明日やろう」という病に対しては、決心をただちに行動に移すようにする、“先延ばしの神”にあらがうためには、開始デッドラインと終了デッドラインという「ふたつの締め切り」を活用する、といった内容だ。目を引かれたものから実践して、人生の目標達成に活かしていただきたい。
一読のすすめ
本書がほかの自己啓発本と一線を画すのは、単なる精神論にとどまらず心理学的な見地から人間理解を深め、合理的に実践できる解決策を紹介している点にある。
いつも“先延ばしの神”の誘惑に負けてしまう人は、それを小事と見過ごさず、自分の人生を見直すきっかけとして捉えていただければ幸いである。
さらに深掘りしたい方はこちら:https://www.flierinc.com/summary/2696