現代に生きる私たちは悩みが尽きません。人間関係のストレスや劣等感で、時には押しつぶされそうになってしまいます。そんな私たちに明るい指針を示してくれるのが「アドラー心理学(個人心理学)」です。
この連載では、『決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本』(明日香出版社)から一部を抜粋し、アドラーの実践的な心理学を学んでいきます。現代の職場、ビジネス、人間関係で役に立つヒントが見つかるかも?
今回は第5章「運が悪いと感じるときは? 〈グッドラックの達人になる〉」の中から「ありのままの自分でいい」というテーマを取り上げます。
以下、『決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本』から抜粋します。
「できない自分」を認める勇気
「間違いに気づいたら、『ごめん、左と言ったけど右だった。すぐに右に進もう』と言えるのが真のリーダーシップだ」
この言葉通り、ソニーの元CEO・平井一夫は、赤字だったソニーをわずか6年で立て直した。
間違いを認め、先に進める人が、変革と成長を手にすることができるとアドラーは言う。
「できない自分を責めている限り、永遠に幸せにはなれない。今の自分を認める勇気を持つ者だけが、本当に強い人間になれるのだ」
「できない自分を責める」ことは、「勇気くじき」に当たる。自分で自分の可能性を潰してはならない。
「今の自分を認める」とは、「自己受容」のことだ。
人は、不完全な自分から目を背けたくなるものだが、その瞬間に成長も止まる。ありのままの自分を認めれば、どうすればよいかもわかる。
自分を認め、「未来志向」になれる人は幸せになれる。
好きな仕事をすると勇気が湧いてくる
アドラーは雇用問題にも関心を寄せていた。
「失業率が高いことは、大きな問題である。協力して物事を成し遂げる能力は、働くことで向上できるからだ。協力の重要性がわかっているすべての人は、雇用 されるべきである」
アドラーは、雇用されない人が「自分には価値がない、恵まれていない」と嘆くことに心を痛めていた。
「彼らを勇気づける方法は、本当の関心を見つけ、それを共感を持って職業指導の基礎にすることだ」
好きな仕事ができるということは、勇気の源泉でもある。
自身の価値を認めた上で働くことによってのみ、人は協力できるようになる。