フリーランスプロ人材マッチングのITプロパートナーズを運営するHajimariは、「収入に関する実態調査」の結果を5月13日に発表した。調査は2025年3月に実施され、20〜50代のビジネスパーソン794名(会社員400名、フリーランス394名)を対象に行われた。
はじめに、昨年と比較した年収の増減を聞いたところ、大半が「ほぼ変わらない」と回答した。なお、年収に変動があった人では、会社員は「年収が増えた」人が多く、フリーランスは「年収が減った」人が多いことがわかった。
続いて、昨年と比較した生活実感の変化を聞いたところ、会社員・フリーランスともに約4割が「生活が苦しくなった」と感じていることが明らかに。会社員よりもフリーランスの方が「生活が苦しくなった」と答えた人の割合が多いものの、「生活に余裕ができた」と回答した人の割合も多く、フリーランスは収入の変動が大きいことが推察される。
年収が増えたと回答した人に限定して生活実感を尋ねると、年収が増えたにもかかわらず、生活に余裕ができたという回答は約25%にとどまり、7割以上の人が「変わらない」もしくは「苦しくなった」と感じていることが明らかになった。
会社員とフリーランスともに、手取り額は30万円台までに集中しており、特にフリーランスでは20万円未満という回答も目立った。会社員においては、年代による大きな変化が見られず、賃上げが叫ばれる一方で給与上昇の実態は限定的であることがうかがえる。
なお、手取りが60万円を超える会社員はごくわずかで、対してフリーランスは収入の幅が広く、ばらつきが顕著だった。
また、会社員・フリーランスともに物価上昇の影響や、税金、社会保険料の高さに不安に感じていると回答。会社員は「収入が上がらない」ことに、フリーランスは「収入が不安定である」ことにそれぞれ不安を感じていることがわかった。また、老後の資金や漠然とした不安を感じると回答した人も多く見られた。
手取りを増やすための具体的な行動を聞いたところ、金銭面の不安や悩みを感じる要素が多い一方で、「何も行っていない」という回答が最も多く、会社員の29.16%、フリーランスの24.30%にのぼった。
行動を起こしている人においては、両者とも「投資」(会社員:104名、フリーランス:71名)への関心が高いことがわかった。
その他では、会社員は昇進、副業による収入アップを目指す傾向が、フリーランスは経費削減、スキルアップによって市場価値を高め、報酬単価を高めるための自己研鑽にも投資をする傾向が見られる。
給与や報酬の引き上げ交渉を行ったことがある人は、会社員で約18%、フリーランスで約26%と、フリーランスの方がやや多いものの、全体では2割程度にとどまった。
交渉経験者の勤務先を見ると、外資系企業、スタートアップ、日系大手企業、中小企業にまんべんなく分布しており、企業規模や業態を問わず給与や報酬の引き上げ交渉を行った人がいることが明らかに。
また、「交渉しようと思ったが、できなかった」と回答した人が全体の4分の1ほどいる一方で、会社員の約57%、フリーランスの約50%は「交渉したいと思ったことがない」と回答しており、多くのビジネスパーソンが賃上げに対して受け身の姿勢であることがうかがる。
交渉したことがある(成功経験あり)と回答した人のみを対象に、年収の増加額の詳細を確認したところ、会社員は、5万円〜10万円未満、10万円〜20万円未満の年収アップを獲得した人が同数で最も多く、次いで1万円未満、1万円〜3万円未満と続いた。
一方、フリーランスでは、1万円〜3万円未満の増加が最も多く、次いで3万円〜5万円未満となった。フリーランスは年収増加額の分布が幅広く、30万円以上の高額な増加を実現した人も会社員より多い傾向にある。
会社員に比べ、収入を増やすための具体的な手段が多いこと、また、リスキリングやトレンド技術の習得により、市場価値を高く評価される新規・追加案件の受注が背景に予想される。100万円以上の大幅な年収アップに成功している人も見受けらた。