2026年度から自動車関連の税金の制度が大きく変わる見通しです。ドライバーにとっては税負担が増えるのか、減るのか気になるポイントでしょう。そこで、現状の「自動車税」「重量税」「環境性能割」など、車を所有、使用する上でかかってくる税金の種類を整理しておきましょう。
また、5月に納税する自動車税の支払い方法もあわせて解説します。今車を持っている人だけでなく、これから車の購入を考えている人も、ぜひチェックしておきましょう。
知っておきたい自動車の税金
自動車を所有、使用する際には、さまざまな税金がかかってきます。どんなものがあるのか、税金の種類と特徴をまとめました。
2025年現在、車に関する税金は以下の4種類があります。
- 自動車税・軽自動車税
- 自動車重量税
- 環境性能割
- 消費税
この他に、使用することでかかる「ガソリン税」や「軽油引取税」があります。
自動車税・軽自動車税
自動車税・軽自動車税は、車の所有者に課される都道府県税です。正式名称は「自動車税種別割」、「軽自動車税種別割」です。
毎年4月1日時点の車の所有者が支払うもので、車の種別、排気量ごとに税率が設定されます。
2019年10月1日に制度が改正され、自家用車の税率が引き下げられました。新車を登録した時期が2019年9月30日以前と2019年10月1日以降で税額が次のように変わっています。
なお、新車登録から11年以上経過したディーゼル車、および13年以上経過したガソリン車とLPG自動車は、環境負荷の大きい自動車として自動車税が重課されます。重課率は自動車税が15%、軽自動車の場合は20%税金が高くなります。(ハイブリット車は除外されます。)
自動車重量税
自動車重量税は車の重さに応じて課される税金です。税額は車種や経過年数によっても変動します。
納税は、購入時に車両代金と一緒に3年分を支払い、以後は車検時に車検代と合わせて2年分を支払います。
車両重量が0.5t増えるごとに税額が上がっていき、環境基準を満たした車両の場合は、エコカー減税が適用されます。
2025年5月1日から、排出ガス規制や燃費基準の達成度などによる減税率の基準が変更となります。
環境性能割
環境性能割は、自動車取得税が廃止されたことで新たに導入された税金です。新車、中古車に関係なく、自動車の購入時に課税されます。
税額は、「自動車の通常の取得価額×税率」で計算され、税率は、自動車の燃費性能などに応じて異なります。普通自動車(登録車)は0~3%、軽自動車は0~2%となっています。
2025年4月1日からは、税率が軽減される環境性能の達成基準が厳しくなっています。
消費税
車に限らず、モノやサービスを購入した時には10%の消費税がかかります。車両本体だけでなく、オプションなどの付属品にもかかってきます。また、後述する「ガソリン税」にも消費税が課税され、二重課税となっている問題が指摘されています。
ガソリン税
ガソリンを購入すると、「ガソリン税」を支払うことになります。現在ガソリンには1リットルあたり53.8円の税金が課され、そのうちの25.1円が暫定税率(一時的に上乗せする税金)になります。さらに石油石炭税も課税され、これらの税金を含んだガソリン価格に対して、消費税10%が課税されています。
現在、ガソリン税の見直しとして、暫定税率の廃止に向けた議論が行われています。今後の動きに注目しましょう。
自動車税の納税方法
前述した自動車に関する税金のうち、毎年決まった時期に支払わなければならない税金が「自動車税・軽自動車税」です。自動車重量税は購入時と車検時、環境性能割は購入時に支払います。
自動車税の納税額は毎年4月1日に決定し、5月上旬に納税通知書が送付されます。納付期限は5月末までとしている自治体がほとんどです。支払期間が短いため、納税通知書が届いたら早めに支払うようにしましょう。期限を過ぎると延滞金が発生するので注意しましょう。
現金納付
納税通知書を持参して銀行の窓口やコンビニエンスストアで支払うと納税証明書がその場で発行されます。以前、納税証明書は車検時に必要でしたが、現在は納税確認を電子化しているため、納税証明書の提示は必要ありません。ただし、納付情報はすぐに反映されないため、車検が近い場合は納税証明書を持参しましょう。
その他の納付方法
パソコンやスマートフォンから手続きすることで、クレジットカードで支払うことができます。この場合手数料がかかります。
ペイジー対応のATMや、インターネットバンキング、スマートフォン決済でも納付ができます。スマートフォン決済は、納付書に印刷されているバーコードやQRコードをスマートフォンで読み取って、アプリ上で決済をします。こちらは手数料がかかりません。
口座振替
口座振替(自動払込)でも納付ができます。最初に手続きが必要ですが、一度手続きをしてしまえば、自動引き落としとなり、納め忘れがなくなります。自治体のホームページから手続きができます。
来年度から車の税金どう変わる?
自動車に関する税について、「令和7年度税制改正大綱」の中で、大幅な改正に向けた基本方針が示されました。
車体課税については、カーボンニュートラルの実現に積極的に貢献するものとすべく、国・地方の税収中立の下で、取得時における負担軽減等課税のあり方を見直すとともに、自動車の重量及び環境性能に応じた保有時の公平・中立・簡素な税負担のあり方等について、関係者の意見を聴取しつつ検討し、令和8年度税制改正において結論を得る。
自動車関係諸税については、公平・中立・簡素な課税のあり方について、中長期的な 視点から、車体課税・燃料課税を含め総合的に検討し、見直しを行う。
ポイントは、「取得時における税負担軽減」、「保有時における公平・中立・簡素な税負担」の2つになります。
この方針の背景には、日本自動車工業会が要望した「自動車税制抜本見直しの改革案」があります。
これによると、取得時にかかる「消費税」と「環境性能割」に対して、消費税で1本化する(環境性能割を廃止する)というものです。
もう一つ、保有時の税負担については、現在、「自動車税・軽自動車税」と「自動車重量税」がありますが、こちらも新たな基準を設けて1本化する案が出ています。
新たな基準とは、EVの登場により、排気量ベースが成り立たなくなることで、重量ベースを課税の標準として統一させる。ただ、EVは航続距離を伸ばすと電池容量が増えて重量も増えるので、環境性能に応じて、税金を軽減させる仕組みを取り入れるといった内容です。
現在の複雑な税制が簡素化されてわかりやすくなることはメリットです。同時に税負担の軽減も実現できると、車が生活の一部となっている人たちとって恩恵となります。これからは、税金の優遇を受けられる環境にやさしい車が、もっと選ばれるようになっていくでしょう。