2025年3月に発表された「地価公示」によると、今年1月時点の東京都・住宅地の価格は、平均で去年と比べてプラス5.7%で、4年連続で上昇しました。東京都で特に地価が上がっているのはどの地域なのでしょうか?
今回は国土交通省の地価公示をもとに、東京都内の住宅地の地価上昇率を駅別に発表します。さらに、地価上昇の背景について、鑑定評価書の情報を用いて分かりやすく解説します。
東京都・住宅地の地価上昇率ランキングトップ20(2025年版)
東京都の住宅地において、2025年1月時点で地価の上昇率がもっとも高かったのは「神泉」(目黒区青葉台4丁目580番7)でした。
次いで2位は「高輪ゲートウェイ」(港区港南3丁目6番7)、3位は「綾瀬」(足立区綾瀬1丁目111番2外)です。
※最寄り駅は筆者の判断により記載
※地価上昇率は2024年比
※国土交通省の地価公示データから作成
※地価上昇率の小数点以下は四捨五入したうえで順位に小数点以下を反映
上位にランクインした街、地価が上昇している理由は?
TOP20のすべての地点で2桁の上昇率となり、そのうち15地点で15%以上を記録しました。 上位は目黒区・港区・新宿区・渋谷区など、西側の区が多く見られ、2024年のランキングと同様の傾向です。
ここからは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書をもとに、上位の地域の特性について解説します。
なお、鑑定評価書の表記は地番や住居表示がベースになっていますが、この記事では分かりやすくするため最寄り駅で表記します。
神泉
1位となった神泉は、18.9%と東京都の住宅地でもっとも高い上昇率をマークしました。周辺地域は、中高層のマンションが建ち並ぶ住宅地です。
鑑定評価書には「居住環境及び利便性が良好な住宅地域である。マンション適地は稀少性が高く、需要は堅調で地価は上昇傾向にある。」とあります。目黒区の人口は微増傾向で、都心への接近性や居住環境の良さから、住宅需要は底堅い傾向です。
高輪ゲートウェイ
2位の高輪ゲートウェイの地価上昇率は18.6%です。2020年にJR山手線の高輪ゲートウェイ駅がオープンし、周辺の再開発も進んでいます。
鑑定評価書の評価は「高層マンションが増えているが、周辺には倉庫等の事業用地も多く、開発の余地が残されている。」です。マンション住宅地への移行がさらに進むものと予測されます。
綾瀬
3位に入ったのは足立区の綾瀬で、地価上昇率は16.6%です。綾瀬駅西口の中央銀座通り沿いにあり、住宅と店舗や事務所が混在する地域となっています。
鑑定評価書には「利便性に優るマンション開発用地の需要は堅調であり、地価は上昇している。」とあります。地域要因に特段の変動はなく、現状はこのまま推移すると考えられる状況です。
赤羽岩淵
4位の赤羽岩淵の地価上昇率は16.1%です。中高層の共同住宅地であり、物件の数はさらに増えつつあります。
鑑定評価書によると「赤羽岩淵駅に近い中高層の共同住宅等が建ち並ぶ地域で、赤羽駅も利用可能で利便性に優れる。」となっています。住宅需要は底堅く、当面は現状の水準が続くと考えられる傾向です。
池尻大橋
5位に入った池尻大橋の地価上昇率は15.8%です。近隣は、幹線道路沿いに高層マンションと事業所が建ち並ぶ地域となっています。
鑑定評価書の評価内容は「都心への接近性、利便性に優れた地域で、マンション開発用地に対する需要は堅調である。」です。住宅需要は多いですが供給物件が少ないため、価格が上昇傾向にあります。