ポーカーが世界的ブームとなって久しい。その波は日本にも押し寄せていて、特にZ世代を中心に人気を高めている。ただし、「ポーカー=カジノ」というギャンブル文脈で捉えている人も多く、その誤解はまだまだ解消されているとは言い難い。
そこで今回は健全なカジノカルチャーを体験すべく、東京・恵比寿にあるポーカーバー「EGP EBISU」を訪問。実際にプレイし、その魅力を体感してみた。
世界的ブームの「ポーカー」を実際に体験してみた!
今回、ポーカーの魅力について教えてくれたのは、「EGP EBISU」などを手掛けるポーカーエンタメ企業「EGP」の小幡和輝さん。実業家であり、ワタナベエンターテインメント所属の文化人であり、ポーカーを始めとするゲームやeスポーツなどにも精通し、『ゲームは人生の役に立つ。: 生かすも殺すもあなた次第』などの著書も持つ超マルチプレイヤーだ。
小幡さんはまず、ポーカーの基本的なルールについて説明してくれた。
「ポーカーは5枚のカードを組み合わせて役を作るゲームです。例えば、この5枚の中には『2』のカードが2枚あるので『ワンペア』が成立します。同じ数字のカードがもうワンペア揃っていれば『ツーペア』。ポーカーは、このように"役"を作って戦っていくルールとなっています」
「まずは基本的な役を覚えてください。先ほどの『ワンペア』が一番下の役で、その次が『ツーペア』。そしてその上の役が、同じカードが3枚揃った状態の『スリーカード』になります。数字がすべて連番で揃えば『ストレート』、絵柄がすべて揃ったものを『フラッシュ』、ワンペアとスリーカードが合わさったものを『フルハウス』と呼びます。他にもありますが、これ以上の役はなかなか揃うことがないので、まずはこの基本の役だけ覚えておいてください」
基本的な役を覚えたところで、さっそく実践。ここからは小幡さんを相手にプレイしながらルールを覚えていく。
まずは各プレイヤーに2枚のカードが伏せた状態で配られるので、他プレイヤーに見られないよう手札の内容を把握。そのうえで、プレイヤーは勝負するか否かを決定する。今回の手札はクローバーの「4」とスペードの「A」。数字として一番大きい「A」を引き当てられたので、これはまずまずの好カードではないだろうか。
とりあえず、勝負する方向で進めよう。
続いて、3枚の「共通カード」がテーブルの中央に置かれる。自らの手札と共通カードを組み合わせ、いかに他プレイヤーより強い役を作れるかがポーカーのキモだ。今回はすでに「4」のワンペアが完成しているので、やはり幸先はよさそうだ。ちなみに、ここでもまたプレイヤーはこのまま戦うか、降りるかを決めることができる。
ゲームを続けると、さらに4枚目の共通カードが追加され、ここでも続行か否かを選択できる。この工程は共通カードが5枚になるまで繰り返され、続行を選択するたびに他プレイヤーと同じだけのコインをベットする仕組みとなっている。
これで5枚の共通カードがすべて出揃った。クローバーの「2」、スペードの「2」、クローバーの「10」、ダイヤの「4」、そしてダイヤの「3」。共通カードだけでも「ワンペア」が成立している。さらに手札にはクローバーの「4」があるので、合わせて「ツーペア」の完成だ。ここでも戦うか降りるかを選べるが、役も揃っているので勝負に出よう。
ちなみに、役がまったく揃っていなくても強気でチップを張り、他プレイヤーを揺さぶる手法を「ブラフ」と言うそうだ。いわゆる心理戦で、これもポーカーの大きな醍醐味なのだという。
それではいよいよ、ショーダウン。
小幡さんは役が揃っていないので、今回は勝利を掴み取ることができた。……が、もし共通カードに「6」や「1」が出ていれば、小幡さんは「ストレート」が完成していたことになる。その場合は「ツーペア」より上の役なので、チップはすべて没収されていた。結構ギリギリの勝利だったのかもしれない。
その後も何回か遊ばせてもらったが、ポーカーというものはかなり奥が深くて面白いし、何より初心者でもいきなり楽しめる手軽さも素晴らしい。お酒を飲みながら仲間同士で楽しむのもいいだろうし、自信がついてきたら何かの大会にエントリーして勝負してみるというのもよさそうだ。
初心者でも楽しめる一方、プロが存在する競技性の高いゲーム
ゲームを終え、改めてポーカーの魅力を「EGP」の皆さんにうかがってみた。
――改めて、競技としてのポーカーの魅力について教えてください。
まずはポーカーを通して仲間ができる、というところでしょうか。社会人になってから新しい仲間を作るのは簡単ではありません。しかし、ポーカーはテーブルトークも楽しめるので、どんどん仲間が増えていきます。コミュニケーションツールとして非常に優れていると思いますね。
それと、20分もあれば初心者でもすぐに楽しめるというシンプルさも魅力です。時間の制約もなく、自由にゲームに参加したり離れたりできるので、フレキシブルに楽しめます。このあたりは麻雀にはない、ポーカーならではの魅力だと思います。
――確かに、10数分の説明を受けただけですぐに楽しめました。
ポーカーは運以上に、数学的な要素と心理戦が問われるゲームです。でも、数学についてはそこまで高度なものではないんですよ。カードは全部で52枚あって、手元に2枚が配られる。残りは50枚で、そのうち5枚は共通カードとして場に出てくるので、合計7枚のカードの情報をもとに確率論で考えていくわけですよね。
もちろん簡単ではありませんが、ほぼ足し算の要領で計算できます。だから初心者でもステップアップしやすいし、初心者がいきなり上級者を倒してしまうことも珍しくありません。ポーカーを始めて約1年で1億円以上の賞金を稼いだプレイヤーもいるほどです。
――それはスゴい……。運よりも数学と心理的な駆け引きが重要というのは意外でした。
ポーカーはギャンブルだと思われがちですが、ギャンブルにはない競技性を持ったゲームです。その証拠に、ギャンブルにはプロというものが存在しませんが、ポーカーにはプロが存在します。ゴルフのような位置づけですね。ポーカーの大会にはスポンサーがついて、彼らから協賛金をもらうことで成り立っているんです。
――日本国内でも人気が広がっていますが、実感としてはいかがですか?
盛り上がっていますね。コロナ禍でYouTuberたちがポーカーを盛り上げてくれて、爆発的に人気に火が点きました。特に20代半ば~30代半ばくらいの間で流行っている印象です。
「EGP EBISU」のようなポーカールームも増えていて、すでに全国で400店舗ほど存在しています。私たちが手掛けている国内最大のポーカー大会「ジャパン オープン ポーカーツアー」も今では約7日間で3万人を動員しています。さいたまスーパーアリーナ2デイズに匹敵する数ですね。同規模の大会は年に4回ほど、1万人規模の大会は年に7回ほど実施されています。
――そんなに盛り上がっているんですね!
海外の人たちは、「日本はポーカーでお金を賭けないのに、なんでそんなに盛り上がれるんだ」と不思議に思っているそうです。でも、日本人はもともとゲームが好きな国民性ですからね。任天堂もプレステも日本発ですし、そもそもポケモンカードや遊戯王のようなカードゲームも流行っています。
オンラインカジノがたびたび話題になるので、ポーカーに悪いイメージを持つ人もいます。でも、ポーカーはギャンブル的な要素がなくても十分に楽しめる、健全なゲームです。だから最近は大学でもポーカーサークルが増えてきていますし、若年層のファンも増えています。EGPは警察とも連携しながら、クリーンで健全なゲームとしてポーカーの普及に取り組んでいます。
「日本では違法なギャンブル」と誤解されがちなゲーム、ポーカー。だが実はプロも存在するほど競技性に富み、奥が深く、コミュニケーションツールとしての魅力も備えている。勝ち負け具合にもよるが、大体1~2時間あたり5000円程度で楽しめる施設が多いようなので、ぜひ一度、近くのポーカールームで体験してみてはどうだろう。