スズキは同社初となるバッテリーEV(BEV=電気自動車)の量産モデル「e VITARA」(eビターラ)を日本で初めて公開した。2025年春ごろからインド・グジャラート工場で生産を開始するモデルで、日本には2025年度中に導入する予定だ。どんなBEVなのか実物を確認してきた。
バッテリーのサイズは2種類
「VITARA」(ビターラ)はスズキが世界戦略車として販売しているコンパクトSUV。日本では以前、「エスクード」の名前で販売されていたことがある。現行型ビターラにはガソリンエンジン車やハイブリッド車などさまざまなタイプがあるが、eビターラはスズキがEV専用に作った新しいプラットフォーム「HEARTECT-e」を使って新作したクルマであって、現行型ビターラの中身をBEVに載せ換えただけのクルマではない。スズキの完全新作BEVだと考えた方がいいだろう。
eビターラはリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載する。バッテリーの総電力量は49kWhと61kWhの2種類だ。49kWhのタイプは前輪駆動(2WD)のみで、61kWhのタイプには2WDと四輪駆動車(4WD)を用意する。日本に全てのタイプが入ってくるのかどうかについてはスズキに聞いても回答が得られなかった。
ボディサイズは全長4,275mm、全幅1,800mm、全高1,635mm、ホイールベースは2,700mm。最低地上高は180mm。車両重量はバッテリーサイズ49kWhが1,702kg、61kWhは2WDが1,760~1,799kg、4WDが1,860~1,899kg。性能は49kWhが最高出力106kW、最大トルク189Nm、61kWhの2WDが128kW/189Nm、4WDがフロント128kW/リア48kW/合計135kW/300Nm
4WDは前後に計2個のモーターを搭載。スズキの強みである四輪駆動の技術を駆使した「ALLGRIP-e」という電動4WDシステムを採用する。片側のタイヤが浮くような路面でも空転したタイヤにブレーキをかけ、反対側のタイヤに駆動トルクを配分(LSD機能)することで悪路からスムーズに脱出できる「Trail」モードも備えているそうだ。
BEVとして気になるフル充電での航続距離と販売価格についても聞いてみたが、いずれも非公表とのことだった。
スズキは日本市場で2025年度中に「eビターラ」と軽商用バンの2種類のBEVを発売する予定。2030年度までにBEVを計6モデル投入する方針だ。