「Japan Mobility Show BIZWEEK 2024」が開幕した。今年はビジネスイベントの様相が強く、派手なコンセプトカーやコンパニオンの皆さんが会場で待ち受けているわけではないが、一般の来場者が楽しめるポイントはあるのだろうか? 会場に行ってみた。
何が展示されている?
「Japan Mobility Show」は「東京モーターショー」の後継イベントとして2023年に始まった。今年はスタートアップ企業とモビリティ関連企業のマッチングを促すビジネスイベント「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024」として開催しているため、いつものようにコンセプトカーや最新のクルマがズラリと並ぶ「クルマの祭典」的な雰囲気にはなっていない。
ということは、一般のクルマ好きは行く意味のないイベントなのかというと、そんなこともない。会場には例えば、マツダの新型車「CX-80」(の次世代バイオディーゼル燃料使用バージョン)や、発表になったばかりの三菱自動車工業「アウトランダーPHEV」マイナーチェンジモデルなどが展示されているので、クルマが好きなら行って損はないイベントになっていると思う。展示の一部をご紹介しよう。
マツダの「MAZDA CX-80 Biofuel車」。ディーゼルエンジン車に軽油の代わりに次世代バイオフューエル燃料を入れて走らせるクルマだ。マツダではナンノクロロプシスという藻類を使ったバイオフューエルの開発に取り組んでいる
トヨタ自動車が展示している「ポータブル水素カートリッジ」。これまでは大型で持ち運びが困難だった水素タンクを、人の手で運ぶことができるサイズに小型・軽量化したものだ。早くから水素で走る燃料電池自動車(FCEV)を手掛けてきたトヨタならではの技術と言える
幕張メッセは広い。「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024」は「展示ホール1」でやっているので、メッセに入ったら右奥を目指して進もう。
併催のCEATECにも注目の技術が!
幕張メッセのほかのホールでは、デジタルイノベーションの総合展「CEATEC 2024」が開催中だ。事前登録しておけばこちらにも入場できるので、せっかくなので見てこよう。
CEATECで興味深かったクルマ関連の技術は、ネクスティ エレクトロニクス(豊田通商グループ)のブースで体験した「くるまで歌えるシステム」だ。
クルマの中で歌を歌う人はかなり多いのではないだろうか。ロングドライブから帰った時、最近のクルマは快適なので身体的な疲労はそれほどでもないのだが、意外にも喉がかれていたという経験がある人は筆者だけではないはずだ。
ネクスティ エレクトロニクスの「くるまで歌えるシステム」は、ナビの画面に車内で流れている曲の歌詞を表示してくれたり、歌いやすいように音声で歌詞を先読みしてくれたりする技術。例えばラジオから曲が流れ始めると、システムが何の曲なのかを検索し、歌詞データがあるものについてはナビ画面に表示してくれる。ただ歌詞を表示するだけでなく、いま現在歌うべき箇所をオレンジ色の表示にして教えてくれる親切設計だ。
運転中にドライバーが歌詞に集中してしまうと危ないので、実際のクルマに搭載するには越えなければいけないハードルがけっこうありそうだが、例えば走行中は歌詞の表示をとめて音声による先読みだけにするなど、対応策も考え中であるとのこと。クルマに同システムを実装する場合はナビにあらかじめ組み込む形を検討しているという。
同社のブースでは、クルマの走行状況や車内で鳴っている音楽などに応じて振動するシートの技術も展示してあった。音楽の場合、曲ごとに振動のデータがあってそれを読み込むのではなく、周波数に合わせてシートを振動させられるそうなので、どんな曲にも対応できるのだという。映画の「4DX」に近い感じかもしれない
ネクスティ エレクトロニクスの担当者によると、クルマの中でカラオケをしたり、映像コンテンツを見たりといった「車内エンタメ」の分野では、中国がかなり先行しているとのこと。日本で車内エンタメに脚光が当たるのはいつなのか、そもそも脚光が当たるのか、そのあたりは見通せないが、同社の技術が市場に出回るかどうかも含め注目していきたい。