土地活用にはアパートやマンションなどの賃貸住宅、駐車場、コインランドリーなどさまざまな方法があります。
所有している土地がある程度の広さがあるなど、好条件に恵まれているのであればコンビニも有力候補のひとつです。
本記事では、コンビニ投資のメリット、どのような土地がコンビニ投資に向いているか、開店までの流れ、注意点などを紹介します。
ここで取りあげる条件に合う土地を所有されている方は、ぜひ本記事を参考にコンビニ投資の検討もしてみてください。
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土地活用でコンビニ投資をするメリット
まず土地活用でコンビニ投資をすると、どのようなメリットがあるかを見ていきましょう。
- 郊外・地方でも需要が見込める
- 建設コストが比較的安い
- 高い収益が見込める
- 長く安定した収入を得やすい
- 地域に貢献できる
コンビニは立地条件が幅広く、安定した収益が見込める事業で地域貢献もできます。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
郊外・地方でも需要が見込める
コンビニは土地活用の方法のなかでは、賃貸住宅や駐車場ほど立地条件が限定されず、都心部だけでなく郊外でも需要が見込めます。建物の建築に制限がある市街化調整区域でも出店できます。
また、全国的に展開しているコンビニチェーンだけでなく、北海道のセイコーマートなど地域密着で展開しているチェーンもあり、全国各地でニーズがある点も魅力的です。
建設コストが比較的安い
コンビニの店舗は基本的に鉄骨造・平家建のため、賃貸住宅に比べて建築費がかかりません。土地所有者が施主になる場合でもコンビニチェーン本部が建設協力金を用意しているので、場合によっては自己資金ゼロで店舗を建てることも可能です。建築協力金については後述いたします。
高い収益が見込める
コンビニ投資は賃貸住宅や駐車場などと比べて収益率が高いこともメリットです。上記にも述べたように建築費が低コストであるにもかかわらず、コンビニ店舗の賃料は飲食店などの他の業種と比較して高く設定できるので、高い収益が見込めます。
建物を2階建て以上にして、1階をコンビニ店舗にあて、2階以上を店舗・オフィスや住居として賃貸に出せば、さらに収益を高められます。
長く安定した収入を得やすい
コンビニの契約期間は一般的に15年前後と長期にわたります。取り扱う商品やサービスも食品や日用品などを中心に需要が安定しているものばかりなので、地域に定着できれば長期間にわたって安定した収入が期待できます。
地域に貢献できる
近年のコンビニは、食品や日用品の販売などにとどまらず、各種料金の支払い、ATM、宅配便の発送・受け取り、住民票・印鑑証明書の交付など、地域のライフラインとしての役割を担っています。
大型スーパーの撤退や商店街の衰退が進むなか、高齢者を中心とした「買い物弱者」の人びとが増えてきており、そのような地域の住民にとってコンビニは頼りとなる存在です。
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土地活用でコンビニ投資に向いている土地とは
では実際にどのような土地がコンビニに向いているのでしょうか。コンビニの立地としては、敷地面積が120坪以上の少し余裕のある広さがあり、人の往来もあり、車で来店しやすい場所が理想的です。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
中敷地面積が120坪以上
1つ目は、120坪(約400平方メートル)以上の広さがある土地です。120坪は建売住宅4軒分の広さに相当します。例えばローソンの出店ガイドラインでは次のように基準を示しています。
- 敷地面積:120坪以上(間口は20m以上)
- 店舗面積:60坪(店舗間口は19.8m以上)
店舗だけでなく駐車スペースも必要なので、余裕のある広さが求められます。例えば郊外であれば、車での来客が多いことが見込まれるため300~600坪程度は必要です。高速道路の出入口付近に出店するのであれば、複数の大型車が停車できる1,000坪程度あれば理想的です。
一方、駅近などの車で来店する人が多くないと見込まれる場所では、駐車スペースがそれほど広くなくても良いので100坪程度でも十分です。
人通りがある場所
2つ目は、人通りがある場所です。市街地、住宅地、オフィス街など、人通りがある場所であれば来客が見込めるだけでなく、防犯上も安心です。具体的には次のような場所の付近があげられます。
- 駅・バス停留所
- 郵便局・銀行・市役所
- ホール・スタジアム
- ビジネスホテル
- マンション・アパート
- 高校・大学・学習塾・予備校
- 図書館・公民館
車で来店しやすい場所
3つ目は、車で来店しやすい場所です。幹線道路など通行量の多い道路の沿線(ロードサイド)であれば、次のようなドライバーが見つけやすく、出入りがしやすいところが有利です。
来店しやすい場所 | 来店しにくい場所 |
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この他、四方から出入りできる角地や交差点にある土地もコンビニの敷地に向いています。
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土地活用でコンビニ投資をする場合の契約方式を比較
続いてコンビニ投資をする場合の契約方式には、リースバック方式と事業用定期借地方式の2つの方式があります。ここでは主だった違いとともに、初期費用、賃料、相続税の節税効果の3つの視点から比較してみます。
リースバック方式と事業用定期借地方式の違い
リースバック方式とは土地所有者が建物(コンビニの店舗)を建て、土地・建物をテナント(コンビニチェーン本部)に貸し付けるもので、建て貸しとも言います。
一方、事業用定期借地方式は、土地所有者は土地のみをテナントに貸し付け、テナントがその土地の上に建物を建てるものです。
次の表で土地・建物の所有者や工事の費用負担者、契約期間などの違いを見てみましょう。
契約方式の種類 | リースバック方式 | 事業用定期借地方式 |
土地の所有者 | 土地所有者 | 土地所有者 |
土地の貸借 | 本部に貸し付け | 本部に貸し付け |
建物の所有者 | 土地所有者 | 本部 |
建物の貸借 | 本部に貸し付け | なし |
契約期間 | 一般的に10~20年 | 一般的に10~30年 |
契約期間満了後 | 本部は建物を解体・撤去せずに、土地所有者に建物を返還 | 本部は建物を解体・撤去し、土地を更地に戻して土地所有者に返還 |
初期費用を比較
コンビニ投資の初期費用の内訳は、土地の整地、建物の建築・内装の工事費です。その費用分担は次の通りです。
契約方式の種類 | リースバック方式 | 事業用定期借地方式 |
土地の整地工事費 | 土地所有者 | 土地所有者 |
建物の建築費 | 土地所有者(注1) | 本部 |
建物の内装工事費 | 土地所有者(注2) | 本部 |
注
1)テナントが建設協力金として土地所有者に貸し付ける場合もある
2)テナントが負担する場合もある
このようにリースバック方式は土地所有者側が、事業用定期借地方式は主に本部側が負担します。事業用定期借地方式のほうが土地所有者の負担が少なく有利に見えますが、リースバック方式は本部で建設協力金を用意していて、地主に対して有利な条件で貸し付けをしてくれます。
建設協力金とは
建設協力金とは、コンビニチェーン本部から土地所有者に対する店舗の建築・内装工事費分の貸付金です。建設協力金によって建てられた店舗は土地所有者から本部に賃貸され、その賃料と建設協力金の返済額が相殺されます。
建設協力金を利用して店舗を建てるメリット・デメリットは次の通りです。
メリット | デメリット |
|
|
コンビニの建築費についてより詳しく知りたい方は、次の記事もお読みください。
「コンビニの建設費はどれくらい?初期費用や開業資金、経営のポイントを解説」
賃料を比較
本部が土地所有者に対して支払う賃料は、リースバック方式の方が高く設定できます。それは土地所有者が初期費用を負担し、万一経営が失敗したときの賃料値下げや途中解約のリスクを負っているためです。
一方、事業用定期借地方式は、土地所有者は土地を貸すだけで、初期費用の負担も撤退リスクも負っていないため、賃料は安くなります。
相続税の節税効果を比較
リースバック方式の場合は、建物については相続税の節税効果が期待できます。土地所有者が建物の所有者となり「貸家建付地」として評価されます。貸家建付地の評価額は概ね60~80%となるため、その分相続税が安くなります。土地についての優遇措置はありません。
一方、事業用定期借地方式の場合もリースバック方式ほどではありませんが、相続税の節税効果が期待できます。本部に貸し付けしている土地が事業用定期借地権の対象となっている土地であるため、次の表の通り事業用定期借地権の残存期間に応じて土地の評価額が減額されます。
定期借地権の残存期間 | 評価減 |
15年を超えるもの | 20% |
10年超~15年以下 | 15% |
5年超~10年以下 | 10% |
5年以下 | 5% |
なお、相続税については、この他にも「小規模宅地等の特例」などの優遇措置がありますが、ケースによって適用できる措置が異なります。また税制は毎年変更されるため、リースバック方式と事業用定期借地方式のどちらが有利かを判断する際は税理士に相談するのがおすすめです。
リースバック方式と事業用定期借地方式のどちらが有利?
以下のように、土地所有者にとってのリースバック方式と事業用定期借地方式の違いのポイントは次の3つです。
- 初期投資がかかるか・かからないか
- 賃料を高く設定できるか・できないか
- 相続税の評価額
リースバック方式の方が本部から得られる賃料を高く設定できます。しかし、建築費等の返済、賃料の値下げ、途中解約といったリスクを考慮すると両者の間に大きな差はありません。どちらかといえば事業用定期借地方式の方が有利と言えます。
一方、本部にとっては、リースバック方式の方が建物を自社で建築する必要がなく、費用負担を抑えられるため、交渉の際はリースバック方式を勧めてくることが多いようです。
いずれの方法を選ぶかは土地所有者と本部との交渉で決めるため、事前に土地活用コンサルタントなどの専門家に相談しておくとよいでしょう。
土地活用コンサルタントについてより詳しく知りたい方は、次の記事もお読みください。
「土地活用コンサルタント選び方とメリット4選!依頼できる内容も解説」
土地活用でコンビニが開店するまでの流れ
続いて開店までの流れを見ていきましょう。
- STEP1:出店規制がないかを確認
- STEP2:商圏内のコンビニ需要を調査
- STEP3:契約するコンビニチェーンを選定・契約締結
- STEP4:店舗の設計・建築工事
- STEP5:オーナーの選定
- STEP6:開店
特にSTEP3の契約するコンビニチェーンを選定・契約締結が重要です。ひとつずつ詳しく紹介します。
STEP1:出店規制がないかを確認
まず土地がある市区町村の役所・役場の都市計画課などで、所有している土地にコンビニが出店できるか、出店できたとしても制限がないかを確認しましょう。
次の場合はコンビニの出店規制があります。
- 第一種低層住居専用地域:出店不可
- 第二種低層住居専用地域:150平米以下であれば出店可能
出店不可エリアの場合でも、個人商店やスーパーが少ない地域ではコンビニの出店を期待している住民が多いため、住環境を害さないなどの条件を満たせば出店が認められるケースもあります。都市計画課などの担当者に相談してみましょう。
用途地域制限についてより詳しく知りたい方は、次の記事もお読みください。
「用途地域ごとの制限を一覧で紹介!理想の土地を見つけて家を建てる!」
「第一種低層住居専用地域の土地用途って?具体的な制限や活用方法を解説!」
コンビニの出店規制についてより詳しく知りたい方は、次のサイトの情報もご覧ください。
内閣府「用途地域における建築物制限の緩和について」(P6)
STEP2:商圏内のコンビニ需要を調査
続いて商圏内の人口や既存店の有無などを調査し、コンビニ需要があるのかを分析します。
コンビニの商圏は、半径350mの徒歩で買い物ができる範囲です。歩いて5分程度、昼間人口3,000人、夜間人口3,000人、世帯数1,000世帯以上であれば商圏として成立します。実際に現地を歩いて見るほか、総務省統計局の地域メッシュ統計を利用すると便利です。
地域メッシュ統計の使い方は、次のサイトの情報を参考にしてください。
総務省統計局「地域メッシュ統計の利用例」(P2-4)
STEP3:契約するコンビニチェーンを選定・契約締結
続いて契約先となるコンビニチェーンを選びます。各チェーンの公式サイトに出店ガイドラインが掲載されているので確認し、問い合わせフォームでコンタクトを取ります。
コンビニチェーン本部の担当者と賃貸借の条件などについて打ち合わせをしたり、本部が物件の立地や商圏について詳しく調査し、出店の可否を審査します。出店可能と判断されればさらに条件をつめて契約書を作成し、取り交わします。
主要コンビニチェーンの出店ガイドラインについて詳しく知りたい方は、各社の公式サイトもご覧ください。
STEP4:店舗の設計・建築工事
契約を締結すると、本部の建築・設計部門がレイアウトを作成し、それに基づいて設計、建築工事へと進みます。土地所有者が施主となるリースバック方式の場合でも、本部が設計事務所や建築会社を紹介してくれます。
STEP5:オーナーの選定
自らはコンビニ経営に関わらない場合は、本部がオーナーを紹介してくれます。オーナーは経営者として本部とフランチャイズ契約を結び、店舗を運営する立場になります。
STEP6:開店
店舗が竣工しオーナーが決まったら、従業員の募集・雇用契約・研修、商品陳列などの開店準備を行います。準備が整ったらいよいよ開店です。
自らはコンビニ経営に関わらない場合でも、店内や周囲の様子をチェックし、近隣住民に迷惑をかけていないかなどを確認しましょう。
土地活用でコンビニ投資をするときの注意点
はじめに土地活用でコンビニ投資をするときのメリットを紹介しましたがデメリットもあります。また、近年のコンビニの多機能化に伴い、初期投資などについてこれまで言われてきたこととは変化している部分もあります。
- 経営の自由度が低い
- 本部側から契約途中で変更・解除される可能性がある
- 土地所有者側からの途中解約が難しい
- 建設コストが増加傾向にある
- 近隣トラブルが起きる可能性がある
コンビニ投資を始めてからこんなつもりではなかったということにならないために、主な注意点を紹介します。
経営の自由度が低い
1つ目は、個人商店などと比較して経営の自由度が低い点です。土地所有者、オーナー(経営者)、コンビニチェーン本部は対等な関係ですが、建物の外観・内装、開店時間、定休日、仕入れ、商品の陳列、棚卸、ロイヤリティなど細かなところまで本部が主導権をもって決めており、そこに土地所有者が関与することはあまりできません。
本部側から途中変更・解約される可能性がある
2つ目は、売上不振の場合、本部から契約の途中変更・解約される可能性がある点です。営業成績もフランチャイズ契約に基づいて本部が主導権をもって査定します。思うような成果があげられないと見なされると、契約期間内であっても賃料の減額など契約条件が変更されたり、場合によっては解約されることもあります。
土地所有者側からの途中解約が難しい
3つ目は、2つ目とは逆に土地所有者側から途中解約をすることが難しい点です。途中解約ができたしたとしても、建物がコンビニ仕様であるため、他業種に転用するには建物を解体・撤去したり、大規模な模様替えが必要です。契約期間は10年以上の長期間にわたるため、契約前に土地活用の長期的な見通しを立てましょう。
フランチャイズ契約の留意点について詳しく知りたい方は、次のサイトの情報もご覧ください。
建設コストが増加傾向にある
4つ目は、近年の店舗の大型化に伴って建築コストが高くなっている点です。店舗大型化の原因は、マルチコピー機、ATM、セルフレジ、宅配便発送ボックス、コーヒーメーカー、キッチン、イートインコーナー、トイレなど専用の設備や機器を設置するスペースが必要なためです。コンビニのサービスは日進月歩で拡大・変化しているため、郊外に出店するのであれば店舗面積は余裕を持って100坪程度は確保しておきましょう。
近隣トラブルが起きる可能性がある
5つ目は、近隣トラブルが起きる可能性がある点です。前にコンビニは住民から頼りになる存在と述べましたが、逆に近隣住民には迷惑な存在と受け取られることがあります。トラブルの原因は騒音問題や深夜に若者がたむろすることなどさまざまで、場合によっては警察に通報されたり、反対運動や訴訟に発展することもあります。
特に住宅地のなかで開店する場合は、来客者の車や物品を配送するトラックなどから出るエンジン音やドアの開閉音、エアコンの室外機などの音がなるべく出ないように配慮するとともに、計画段階から円満な近所づきあいを心がけ、理解を広げるよう努めることが経営の成功につながります。
まとめ
ここまで土地活用としてのコンビニ投資について紹介してきました。コンビニ投資は土地に建物を建てる活用法としては初期投資があまりかからず、長期的に安定した収益が期待でき、相続税の節税もできる事業ですが、コンビニチェーンの本部と結ばなければならない契約の条件や近隣住民との関係などにも注意を払う必要があります。
ただ、コンビニは土地の貸し付けだけでなく地域のなかで接客業がしたいけれど開業は初めてで不安という方にとっては、本部が徹底してサポートをしてくれるので安心して始められます。ぜひコンビニ投資についても本記事を参考にして検討してみてください。
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