中古住宅の売り出し価格は、仲介業者が決めるわけではありません。近隣の相場や売りたい事情、ターゲットとする購入者など、さまざまな情報から売主が中古住宅の価格を決定しています。
そのため、中古住宅の値引きの交渉を成功させるには、買主と売主、それぞれの立場から考えることが重要です。
不動産購入・売却は生涯で何度もあるものではありません。それぞれの立場で考えるには、何を基準に判断をするべきかわからないという方が多いのではないでしょうか?
- 中古住宅の値引き相場は、売り出し価格の端数切りが一般的で、値引き額は10万円台が多く、最高でも販売価格の10%が限度とされています。
- 買主として値引き交渉を成功させるためには、相場の事前調査、他の購入希望者のチェック、交渉相手をイライラさせない態度が重要。
- 売主は最低値引き額を事前に決めておき、値引き交渉相手の本気度を見極めることが大切です。また、販売開始から3か月以降に値下げを検討するのが一般的です。
中古住宅の値引き相場ってどのくらい?
- 買主側は「できれば安く買いたい」
- 売主側は「できれば高く売りたい」
このように売主側と買手側は、双方の思惑が相対していますよね。
中古住宅の相場について理解し、上手に取引していきましょう。ここでは、中古住宅の値引き相場の概要について解説していきます。
中古住宅の値引き額は端数切りが一般的
中古住宅の値引きは、売り出し価格の下二桁までが値切りの対象と言われています。つまり、値引きの相場は10万円代です。たとえば2,980万円の物件なら、端数の80万円までなら値引きを受けてもらえる可能性があると考えられます。
また売主側からみると、10万円代の値切りを行えることを前提で売り出し、物件のお得感をアップさせる方法もあります。たとえば2,980万円の物件を3,000万円で売りに出す、といった方法です。
すると、値引きの額は20万円であっても、百の位より上の数が変動し、よりお得感が強くなります。
値引き額は販売価格の最高10%が限度
値引き額は売却期間が長くなるほど大きくなる傾向があります。しかし、最高でも販売価格の10%ほどが目安です。たとえば3,980万円の物件なら、値引き額は最高で398万円となります。あくまでも限度であり、10%を目安に値下げを交渉してしまうと、売主から断られてしまう可能性もあります。
また、首都圏の中古マンションの場合は、売り出しからの期間が短い物件ほど値引きが難しいとされます。近年は新築マンションの高騰により、中古マンションの需要が高まったため、言い値で買ってくれる買主を売主が探しやすい面もあるためです。
中には、何らかの理由があるために、より高額な値引きをしてもらえる以下のケースもあります。
- 1回売れたが不具合があって、もう1度販売されている
- 売主が早く売りたい理由を持っている
【買主視点】中古住宅の値引きのポイント
- 相場の事前調査
- 他の購入希望者をマークする
- 交渉相手をイライラさせない
- 購入する気があることを示す
- 中古住宅の値引き交渉は買付証明書で行う
- 契約直前の値引き交渉は不可
- 気になるところはスピード重視で動く
- 交渉は1回までにする
上記の8つが、買主として覚えておきたい値引きのポイントです。どのように行動すればよいか、それぞれ見ていきましょう。
相場の事前調査
値引き交渉を考えるのであれば、事前に同じ地域にある似たような物件の相場を調べておきましょう。
不動産の価格は最終的には買主と売主の同意で決定されます。そのため、本当に相場に近い価格で購入できるとは限りません。
しかし、欲しい中古住宅の価格が相場よりも高い場合、値引きを前提にした価格設定の可能性が考えられ、交渉の余地があると判断できます。
相場を知らないと、そもそも値引き交渉の判断が難しくなるばかりか、売主にとって不利益になる値引き交渉を行ってしまい、購入を断られるかもしれません。
以下では、自分で相場を調べるための方法を3つ紹介します。
仲介業者サイトの検索機能をフル活用
仲介業者が運営するポータルサイトでは、エリアや間取り、築年数といった、自分が重視したい条件に沿って参考情報を探せます。中には地域別の相場を表示しているサイトもあるため、フル活用することで、相場を割り出すことができます。
ただし、掲載されている物件の価格は、売主が決めた売り出し価格のため、売却時の価格とは異なります。また、掲載されている物件のデータしか分からないため、いくつか検索をかけてみて、情報量の多いサイトを選びましょう。
レインズで直近の売却情報を確認
レインズ(レインズマーケットインフォメーション)とは、実際に仲介業者が扱っている取引の情報を元に、直近1年間のマンションと一戸建てについて、全国規模で調べられるサイトです。大きな特徴として、次の3点が挙げられます。
- 成約した物件の情報を調べられる
- 仲介業者が登録した取引情報をチェックできる
- 過去2年間の市場動向をグラフ化できる
実際の取引情報や成約した物件の価格が分かるため、住みたいエリアの情報を調べることで、より相場をつかみやすくなるでしょう。ただし、閲覧できるのは個人が特定できない範囲の情報に限られます。
たとえば、建物の種類や1平米あたりの単価や間取りなどは指定できますが、マンション名やより詳細な地域の指定はできません。
国の提供する土地情報で調べる
土地総合情報システムとは、国土交通省が運営するサイトです。実際に不動産を購入した人を対象に国土交通省土地監査委員会がアンケートを行うことで、取引情報を集めています。
- 土地と建物
- 土地だけ
- 宅地だけ
- 農地だけ
など、より多くの種類の不動産の取引情報を検索可能です。
ただし、レインズと同様、個人情報が分からないようになっています。中古物件の場合、取引総額しか掲載が無いため、建物と土地を分けたときの価格の表記はありません。
また、不動産ポータルサイトのように、マンション名が分かるわけではないため、土地総合情報システムのみで相場を調べるのは困難です。
スピーディーに調べたい場合は、一括査定サイトを活用
一括査定サイトで、今暮らしている家と似たような条件で検索すれば、相場や近くにある仲介業者の情報などを調べられます。
ただし、一括査定サイトそのものの種類も豊富です。
他の購入希望者をチェックする
人気が高い物件は、複数の購入希望者が出ることも少なくありません。
すると、値引き交渉を行おうとしても、交渉そのものができなくなる恐れがあります。なぜなら、複数の購入希望者がいると分かった時点で、より高く購入してくれる人に家が売られてしまう可能性が高いからです。
つまり、家の購入者は早い者勝ちで決まるわけではなく、売主が「この人に売りたい」と感じるかどうかで決まります。
値引き交渉を考えている場合は他の購入希望者の有無を確かめ、予算がない場合は縁が無かったとして次の物件を探すべきか、物件を確実に手に入れるために予算をアップすべきかを見極めるようにしましょう。
交渉相手をイライラさせない
中古住宅の購入は、買主と売主の信頼関係があってこそ成り立ちます。売却の決定権を持つ売主をイライラさせてしまうと、家を売ってもらえなくなるかもしれません。お互いが対等な立場であることを意識し、売主に接しましょう。特に避けたいのは、次のような態度です。
- 住宅の欠点を無理に見つけ出そうとする
- 横柄な態度で値引きを迫る
- 買主である自分の都合を押し付ける
- 値引き交渉を繰り返し行う
- 最初に具体的な値引き可能額を聞いてしまう
ただし、過度に気を遣いすぎると、質問しづらくなってしまいます。契約にあたり必要な質問はして、物件のどんな所が気に入ったのかを伝えることが大切です。
購入する気があることを示す
売主の立場で考えると、本気で買いたいと思っているかという点が重要なポイントになります。購入の本気度を示すには、次の2つの行動を起こすことが大切です。
- 買付証明書(購入申込書)の提出
気に入った物件の売主や仲介業者に対し、購入の意思と希望額を伝える書類です。法的拘束力はないものの、提出することで購入意欲を示す第一歩となります。
- 住宅ローンの事前審査を受ける(住宅ローンを利用する場合)
住宅ローンを利用する場合は、融資を受けられることが客観的に伝わるように、買付証明書を提出するとともに、事前審査を受けることが大切です。
大まかな中古物件購入までの流れ
- 仲介業者などを経由して物件を探して見学
- 担当者と相談して気に入った物件に買付証明書を提出
- 住宅ローンを利用する場合は事前審査申込
- 住宅ローン事前審査通過
- 値引きなど売却条件の交渉を行う
- 不動産売買契約の締結
- 住宅ローンの本審査
- 融資の実行と代金の精算
- 物件の引き渡し
買付証明書の提出や実際の値引き交渉は、仲介業者の担当者が行うことがほとんどです。必ず担当者と値引き交渉について相談し、アドバイスをもらっておくようにしましょう。
また、近年は少なくなっているものの、老舗の仲介業者の中には慣習として、同じ物件に対し複数の購入希望者がいる場合、買付証明書を提出した順で対応するケースがあります。
そうした仲介業者に依頼する場合も踏まえて、気に入った物件に買付証明書を提出できるように用意を進めておきましょう。
中古住宅の値引き交渉は買付証明書で行う
購入申込書を介して値引き交渉を受けましょう。口約束で値引き交渉を受けてしまうと紙面に残らないため、後で揉めてしまうのを防ぐためです。
契約直前の値引き交渉は不可
すでに契約を結ぶことが確定し始めた段階で、確実に値引きをしたいと考えている方もいるかもしれません。しかし、売買契約書を取り交わす日など、契約直前の値引き交渉はまずできません。
値引き交渉の理想的なタイミングは、以下です。
- 買付証明書を出す時
- 住宅ローンの事前審査通過後
売主側は確実に購入してくれる相手と取引したいのです。買付証明書の希望額で購入してくれると期待して交渉したにも関わらず、契約直前になってから値引き交渉をされてしまうと、売主側としても気分が良くありません。
また、仲介業者からすれば、買付証明書の希望額に対し、嘘をつかれたことになってしまいます。気持ち良く取引を終えるためにも、契約直前で値引き交渉を行わないようにしましょう。
気になるところはスピード重視で動く
交渉を行っている途中でも、より高く購入してくれる人や売主が気に入った人が現れ、そちらに交渉権が移ってしまう場合もあります。特に自分が気に入った物件は他の人も気に入る可能性があるものと考えましょう。
気に入った物件があったら、まずは仲介業者に対し値引き交渉を行えるのか、他の購入希望者がいないか確認を行いましょう。並行して、買付証明書の提出用意や、住宅ローンの事前審査も受けておくと、より購入に対する本気度が示せます。
交渉は1回までにする
値引き交渉は1回までと考えて臨みましょう。法律で交渉の回数が制限されているわけではありませんが、何度も交渉を行うと、売主に「もっと値下げを要求されるかも」と警戒されてしまい、断られる可能性があるためです。
住宅ローンの事前審査に通過した状態であっても同じため、先に述べた端数切りや売り出し価格の10%を1つの目安としつつ、仲介業者の担当者と相談し、納得のいく交渉を1回で終えられるようにしましょう。
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【売主視点】中古住宅の値引きのポイント
- 最低値引き額は事前に決めておく
- 必ずしも値引き交渉に応じる必要はない
- 値引き交渉相手となり得る人物か見極める
- 値下げを始めるタイミング
- 高額すぎる値下げ交渉をされた場合
売主側が覚えておきたい値引き交渉のポイントはこの5点です。詳しく解説します。
最低値引き額は事前に決めておく
中古住宅の売主として最低値引き額を前もって決めておくことは、値引き交渉があっても無くても重要なポイントです。
たとえば、今の住宅を売って住宅ローンを完済し、次の住宅へ引っ越す計画を持っていたとします。早く売ろうとして値引き交渉に応じてしまうと、住宅ローンの完済が行えず、次の住宅に引っ越した後の生活費もままならなくなるかもしれません。
中古住宅の場合、値引き交渉を行ったうえで契約する流れが一般的です。そこで、値引きの対応用として売値に80万円をプラスしておき、妥協点を見出すといった方法が挙げられます。中には、10万円台以上の値引きを要求されるケースもありますが、応えるかどうかは「何故相手は値引き交渉をしようとしているのか」を知ったうえで検討しましょう。
また、販売期間が長期化すると、値引きをして物件の魅力度を高めなくてはならないケースもあります。売り出しから1ヶ月経過しても内覧者が全くいない場合は、価格の見直しが必要です。かといって、むやみに値引きをしてしまうと、こちらも資金計画が崩れる原因になってしまいます。仲介業者と相談しつつ、適切な値引きを行うことが重要です。
売却金額の最低金額を決めるためには、相場を知っておいた方が良いでしょう。そのために複数の不動産会社から査定金額を算出してもらえる【一括査定サイト】の利用をおすすめします。
おすすめの一括査定サービスを複数紹介したこちらの記事も併せてチェックしてみてください。
必ずしも値引き交渉に応じる必要はない
どうしても値下げをしたくないときはしなくても良いです。好条件な物件や、売りに出したばかりの物件など、そのままの価格でも売れる自信がある時などです。
ただ、「絶対に値下げはしません。」という姿勢だと印象は良くないため、値下げ交渉をされたら状況を見ながら臨機応変に応じる方が良いでしょう。
値引き交渉相手となり得る人物か見極める
購入希望者(値引き交渉相手)の本気度を測るには、次の3つのポイントに注目しましょう。
- 買付証明書の希望額の理由を確かめる
- 住宅ローンの審査状況を把握する
- 自分の売りたい物件の注目度を知る
購入の意思があることはもちろんですが、何故値引きをして欲しいのか理由を確かめることも重要です。
中には「購入後に棚をつけたいから」や「床が破損しているから」など、自分の事情を優先するために値引きを要求しているケースもあります。特に補修に関する費用の値引きを受け入れてしまうと、さらに値引きを迫られる可能性があり、注意が必要です。
また、住宅ローンの審査状況にも目を配りましょう。事前審査に通過している購入希望者でも、中には本審査を通過できず、物件を購入できなくなるケースもあるためです。もし買主が本審査を通過できなければ、売却活動をもう一度やり直すことになってしまいます。
妥協点を探す際には、物件に対する注目度も重要なポイントです。
- 物件の注目度が低く、この購入希望者を逃せば売れなくなるリスクが高い
→大幅な値引きをしてでも妥協が必要 - 購入希望者が複数いる場合
→その購入希望者との交渉は保留にし、他の購入希望者の希望額を見てから判断
など、物件の注目度によって変わってきます。
値下げを始めるタイミング
一般的には、売り出してから3か月以降に値下げをするのが良いとされています。
ただ、内見希望者が多い場合は値下げをせずに様子を見ましょう。全く内見希望者がいなかったり、お問い合わせもなければ、値下げをするのもひとつの手です。
値下げの前に、以下の点を確認してから行いましょう。
- チラシやHPに記載されているか
- 掲載の写真や文章は魅力的か
- 複数の不動産会社に物件情報が伝わっているか
また、不動産会社を変更することも視野に入れておきましょう。
高額すぎる値下げ交渉をされた場合
3,000万円以内の物件であれば、値下げの相場は100万円~200万円程です。
しかし、まれにあれこれと理由をつけて1,000万円前後の高額な値下げ交渉をされる場合もあります。
そのような時は即決せず、他の不動産会社へ相談したり不動産査定サイトなどで類似物件の相場変動を改めて確認したりして、自分の物件価値を冷静に見極めて返答するようにしましょう。
値引きしやすい・されやすい中古住宅とは
値引きしやすい・されやすい住宅の特徴は、次の5つです。
- 相場よりも高い
- 諸事情で急いで売りたい様子が見られる
- 長期に渡って売れ残っている
- 中古ゆえに痛みがひどい家
- 問題ありの宅地
では1つずつ、詳しく見ていきましょう。
相場よりも高い
中古住宅で注目されるのが、相場と比較してどれくらい高いかという点です。売り出し価格は最終的には売主の希望で付けられるため、家の価値に合わせ相場より高い値段を付けること自体は問題ありません。
しかし、明確な理由がない場合や、家に対する個人的な思い入れが理由の場合、第三者の立場である買主には納得しづらいものです。周辺相場を裏付けとして、「相場と同じくらいに下げてくれないか」といった値引き交渉が行われることがあります。
諸事情で急いで売りたい様子が見られる
転勤や離婚など、売主側の事情で急いで売りたい場合は値引きをしやすい・されやすい住宅といえます。売主側としても、高く売ることより早く売ることに重点を置くケースが多いためです。買主側の視点から見ると、値引きを受け入れてもらいやすい状況といえます。
ただし、あくまでも状況として値引きをしやすい・されやすい住宅というだけであって、必ずしも値引き交渉が行われるとは限りません。複数の購入希望者がいないか、値引き額は適切か、お互いの立場を理解しつつ検討しましょう。
長期にわたって売れ残っている
販売開始から住宅が売れるまでの期間は、3~6ヶ月が平均といわれています。そのため、売り出しから6ヶ月以上経過している中古住宅の場合、すでに売主が値引きを検討していることも多く、値段交渉しやすい物件といえます。
しかし、売主次第では、値段交渉ができないケースもあります。特に「いつか売れればよい」と考えている売主の場合、売り出しから時間が経っていても値引き交渉を断られる可能性があります。長期間経過しているからといって、大幅な値引きを迫らないようにしましょう。
中古ゆえに痛みがひどい家
築年数20年以上の家や、外壁や設備の痛みが激しい住宅は、値引き交渉しやすい・されやすいとされる家です。また、評価額が低くなるだけでなく、建て替えやリフォーム費用が発生することを見越して、相場より低い価格をつけているケースもあります。
ただし、こうした中古住宅の場合は解体費用が高額になったり、リフォーム費用がかかったりと、購入費用以外にも資金が必要です。購入費用以外の資金も含め、資金計画を立てるようにしましょう。
また、価値が低い中古住宅の場合、住宅ローン審査に通らなくなる可能性も考えられます。これは、住宅ローンの返済が滞った場合、最終的に金融機関は住宅を強制的に売却し、その代金で残債を回収するためです。価値が低い中古住宅の場合、将来的に相場より安い可能性が高いため、審査に通りにくくなってしまいます。
問題ありの宅地
購入者が限られやすい宅地にある中古住宅は、購入希望者そのものが少なくなるため、値引き交渉しやすい住宅といえます。値引き交渉を受けてもらいやすい反面、選んでから後悔する恐れもあります。
購入者が限られやすい宅地は、以下の3つです。
- 借地である
地主(土地の所有者)が別にいる土地。土地そのものではなく、土地の上に建物を建てて利用できる、借地権という権利を購入。定期的に土地の賃料を支払う必要があるため値引き交渉を受けてもらいやすい。
- 市街化調整区域の指定を受けている
都道府県が都市計画法に則り、原則として一般的な住宅の建築や建て替えを認めていない区域を指す。中古住宅が古くなって建て替えようとしても認められない可能性が高いことから、値引き交渉を受けてもらいやすい。
- 土地に道路が面していない(面していても2メートル以下)
現行の建築基準法に則り、リフォームはできても建て替えができない。2メートル以下の道路しか接していない場合、救急車など緊急車両の通行が難しいため。住宅ローンを利用できない場合に備え、買主は契約を白紙撤回してもらえる融資利用の特約をつけると良い。
値引き交渉が成立しにくい中古住宅とは
値引き交渉がしにくい・交渉を断りやすい不動産の特徴は、次の3つです。
- 数が浅い
- 多くの内見希望者がいる
- 最低金額での売り出しになっている
一つずつ見ていきましょう。
築年数が浅い
当然築年数が浅ければ物件の状態も綺麗なことが多いため、値下げ交渉に応じてもらえないケースがあります。売主にとっては値下げ交渉を断わりやすい時期でしょう。売り出してから半年以上が経過しているなど、売り主が値引きを考えるタイミングならば、値引きしてもらえる可能性はあります。
多くの内見希望者がいる
内見希望者や購入を検討している方が多いのに、値下げを検討することはありません。多くの方が購入したい物件なら、すぐに買い手が決まってしまうことが多いので、値下げ交渉はせずに正規の値段で購入しましょう。
最低金額での売り出しになっている
住宅ローンを一括返済するために物件を売っている場合は、元から最低金額で売り出している場合があります。そこから更に値下げをしてしまうと赤字になっていまうので交渉は期待できません。
また、住み替えなどで売却を急いでいる時も既に最低金額で売り出している場合も多いので、値引き交渉は難しい場合があります。
ただし、上記の値引きしやすい中古住宅の「諸事情で急いで売りたい様子が見られる」のところで書いたように、急いでいるからこそ値下げをしてくれる場合もあります。様子を見て交渉をしても良いでしょう。
大切なのは信頼できる仲介業者を見つけること
売主・買主、どちらの立場においても重要な存在となるのが、仲介業者の存在です。
実際の値引き交渉は、仲介業者の担当者が行うことがほとんどで、買主と売主が直接交渉するわけではありません。適切な値引き額をサポートしてくれるだけでなく、実際の値引き交渉も対応してくれる仲介業者は、信頼度を優先して探すことが大切です。
信頼できる仲介業者を選ぶには、業者選びのチェックポイントを知っておくことが大切です。
買主にとっての不動産会社
値下げ交渉がしにくかったり、何かトラブルがあった時のために、仲介の不動産会社に入ってもらいましょう。仲介業者を選ぶ際に気を付けるポイントは、
「値下げ交渉は当社にお任せ!」など交渉力を売りに宣伝をしている仲介業者です。
高額な値下げ交渉はどんな業者でも難しいので、違反な交渉をしている場合があります。このような記載があったら辞めましょう。
また、反対にその交渉力は買主さんに対してもしてくる可能性があります。申し込みをした途端に、買値アップの交渉をしてくるのです。このような裏事情を知っておくと損をしなくて済みます。
売主にとっての不動産会社
いくら値下げ交渉を想定しておくといっても、売買にはトラブルが付き物です。不動産会社に相談して間に入ってもらい、買い手側の値引き交渉に応じるかどうか判断しましょう。売り手側と買い手側だけで取引するのではなく不動産会社を介入することが大切です。
良い不動産会社を見つけるツールとして大変便利な一括査定サイトを使って、納得のいく不動産売却を成功させましょう!
おすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」
- 初めてで不安だから実績のあるエース級の担当者に出会いたい
- 厳選された優良不動産会社のみに査定を依頼したい
- 悪徳業者が徹底的に排除された査定サイトを使いたい
不動産の中古住宅の値引きに関するよくある質問
まとめ
中古住宅などの不動産の値引き交渉の相場は、売り出し価格に対し最高で10%程度、端数切りと呼ばれる10万円台が基本です。中には築年数が25年以上だったり、制限付きの宅地だったりと、値引きしやすい・されやすい住宅の特徴を備えていることもあります。
ただし、交渉中により高い購入額を提案した人が現れ、物件を持っていかれてしまう可能性を忘れてはいけません。片方の都合だけを優先しようとせず、売主と買主の双方が、お互いの立場を考えながら交渉することで、気持ちよく取引を終えられるでしょう。
また、納得のいく取引のためには、信頼できる仲介業者の存在が欠かせません。まずは、買主も売主も、物件の相場を調べるとともに、仲介業者探しをスタートさせましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
・https://www.retpc.jp/chosa/reins/
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
・https://www.zentaku.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/02/2021-fudousan-anke-to.pdf
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