現在の日本で年収1,000万円以上といえば、比較的高所得者層に分類されるだろう。会社員であれば、かなりの高収入と言えそうだ。

ただ、長引く景気の低迷や先行きの不透明感から、現状の収入では将来が不安だと考える人も多いかもしれない。今年から開始された新NISAへの注目度も高く、すでになんらかの資産運用を行なってるという人もいることだろう。中には、意気込んで投資をしたものの、失敗してしまったというケースもあるかもしれない。

そこで今回は、年収1,000万円以上のマイナビニュース男女会員400人を対象にアンケート調査を実施。「投資の失敗経験」などを聞いた。

  • 年収1,000万円以上の人の投資失敗経験って?

Q.現金以外の資産を保有していますか?(資産運用を行っていますか?)

  • 現金以外の資産を保有していますか?

「はい」(80.8%)
「いいえ」(19.3%)

Q.資産運用を始めようと思った理由は何ですか?(複数選択可)(1〜6個) ※以降、前問で「はい」と回答した方に質問です

  • 資産運用を始めようと思った理由は何ですか?

1位「退職後・老後の資金に充てたいため」(73.4%)
2位「今の生活にゆとりを持ちたいため」(42.1%)
3位「単に収入を増やしたかったため」(34.1%)
4位「欲しいものがあるため」(10.5%)
5位「結婚や出産といったライフイベントに備えるため」(9.9%)
6位「その他」(1.9%)

Q.いつから資産運用を始めましたか?

「20歳未満」(4.0%)
「20歳以上30歳未満」(24.5%)
「30歳以上40歳未満」(32.5%)
「40歳以上50歳未満」(22.0%)
「50歳以上60歳未満」(15.2%)
「60歳以上」(1.9%)

Q.どんな資産運用をしていますか?(複数選択可)(1〜11個)

  • どんな資産運用をしていますか?

1位「株式投資」(39.6%)
2位「投資信託」(20.4%)
3位「NISA」(13.9%)
4位「不動産投資」(5.3%)
5位「貯蓄型保険」(5.0%)
6位「iDeCo」(4.0%)
7位「外貨預金」(3.7%)
8位「金投資」(3.4%)
9位「FX」(2.8%)
10位「暗号資産投資」(1.9%)

Q.前問で選択した資産運用方法のうち、最も失敗したと感じる運用方法を教えてください

  • 最も失敗したと感じる運用方法を教えてください

1位「失敗したと感じる資産運用方法はない」(54.8%)
2位「株式投資」(10.8%)
3位「FX」(9.6%)
4位「投資信託」(6.5%)
5位「不動産投資」(3.7%)
6位「NISA」(3.4%)
6位「暗号資産投資」(3.4%)
8位「貯蓄型保険」(2.8%)
9位「金投資」(2.2%)
10位「外貨預金」(1.5%)
11位「iDeCo」(1.2%)

Q.前問で回答した資産運用方法を選んだ理由を教えてください(失敗した理由、エピソード、他人におすすめしない理由など)「失敗したと感じる理由がない」と回答した人は、その理由を教えてください(記述回答)

■「失敗したと感じる資産運用方法はない」

・「とりあえず少額からはじめることにしているからです」(57歳女性/不動産/営業関連)
・「証券会社の担当に任せていたが、損は出ていない」(60歳男性/農林・水産/技能工・運輸・設備関連)
・「長期視点での運用を考えているので」(56歳男性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
・「十分な収益が出ており、失敗したとは考えていない」(66歳男性/通信関連/IT関連技術職)
・「それなりに通常貯蓄よりは利回りが良い」(60歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「価格が下がっても売らないから実損はない。含み損はある」(68歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「ローリスクな資産運用しか選択しないから」(62歳女性/公益・特殊・独立行政法人/公共サービス関連)
・「リターンにはリスクはつきものだし、投機的な運用には手を出していないから」(53歳男性/インターネット関連/事務・企画・経営関連)
・「確かに一時的には損をすることもあるけれども、長く持っていれば、やがて損を回収できて益が出てくる、ということが身をもってわかっているから、特に失敗したと感じるものはない」(53歳女性/教育/事務・企画・経営関連)
・「長期分散で考えているので。一時的な損失は深く考えないようにしているので、現時点で失敗といえる運用はない」(35歳男性/電力・ガス・エネルギー/事務・企画・経営関連)
・「確かに株式投資において小さな失敗(ロストカット)は多々していますが、その後、なぜそのようなことになったのかを見分することで、次回に活かせたと感じています」(62歳男性教育/事務・企画・経営関連/)
・「長い目で見れば必ず上がるというのを信じていますが、不安もあります」(29歳男性/官公庁/公共サービス)
・「老後に備えて、30年前に手元の資金で『一括した資産運用』を設定したので、25年後あたりの高齢になってからは、その恩恵に毎年預かっている」(74歳男性/教育/専門サービス関連)
・「余裕資金による長期分散投資で自分なりの仮設に基づいた投資を行い、短期で一喜一憂してこなかったから。値が下がったらナンピン買いのチャンスと捉えれば、失敗はない」(56歳男性/その他金融/事務・企画・経営関連)
・「財産に関しては株式であろうが他の投資であっても、現金に余裕があれば、そのものの価値が上がっても下がっても一定の需給が来るまで待つことができるため、失敗と感じることはない」(62歳女性/その他/その他・専業主婦等)

  • 最も失敗したと感じる運用方法、その理由はなに?

■「株式投資」

・「知識もなく購入してしまったから」(58歳男性/通信関連/営業関連)
・「利益獲得に振り回された」(46歳女性/流通・チェーンストア/事務・企画・経営関連)
・「欲が出て損切りできなかった」(50歳男性/システムインテグレータ/IT関連技術職)
・「バブル、リーマンの時に痛い目にあいました」(59歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「個別株だと、株式投資に関する知識がないと下落した際、怖くなって損切りしてしまったため」(58歳男性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「証券会社の言う通りにしていた頃、どんどん目減りした」(66歳男性/不動産/その他・専業主婦等)
・「資産として配当目当てに定額購入していたが、低迷期が長く、購入単価まで戻っていない」(59歳男性/電力・ガス・エネルギー/技能工・運輸・設備関連)

■「FX」

・「なかなか取引環境の判断が難しい」(66歳男性輸送用機器/事務・企画・経営関連/)
・「一日で大暴落があったから」(61歳男性/輸送用機器/技能工・運輸・設備関連)
・「レバレッジを高くすると、損失が膨らむ」(50歳男性/その他電気・電子関連/メカトロ関連技術職)
・「賭け事と同じで、あまり知識やスキルが通用しない投資だから」(59歳男性/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「世界的な為替相場の急変動に巻き込まれて、損を拡大させてしまった」(41歳男性/通信関連/事務・企画・経営関連)
・「相場が大きく動いた時に自動で損切りされてしまうので、長期的な運用に向いていなかった」(56歳男性/総合電機/事務・企画・経営関連)

■「投資信託」

・「手数料が高く、投資成績が出なかったからです」(55歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「レバレッジ型を活用して大失敗したことがある」(55歳男性/証券・投資銀行/営業関連)
・「知識不足でとても損をした。もう絶対やらない」(53歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「銀行は自己の手数料獲得を、顧客より優先するので」(71歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「日経平均連動x3の投信で、強烈な上昇相場に売り向かって大損ぶっこいてしもうた...…もう10年も前の話です」(54歳男性/半導体・電子・電気機器/事務・企画・経営関連)

■「不動産投資」

・「金利や諸費用が当初予想よりも上がっているため」(51歳男性/専門コンサルタント/営業関連)
・「新築物件の投資は失敗」(55歳男性/重電・産業用電気機器/メカトロ関連技術職)
・「空室リスクと税金、管理費用により、利回りが期待値を下回ってしまいました」(64歳男性/重電・産業用電気機器/営業関連)

■「NISA」

・「仕組みが複雑なので」(41歳男性/化粧品・医薬品/その他技術職)
・「相性が悪く、10年やっているが利益は5%程度しか出ていない」(67歳男性/その他メーカー/営業関連)

■「暗号資産投資」

・「難しくて、全くわからなかった」(47歳男性/ホテル・旅館/販売・サービス関連)
・「気付いたら大暴落していた」(38歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「リスクが高く、信頼性も乏しい」(61歳男性/その他電気・電子関連/技能工・運輸・設備関連)
・「その時のブームや詐欺的なのが多い」(54歳男性/重電・産業用電気機器/メカトロ関連技術職)
・「あまり勉強せず流行に乗って買ったら、すごく下がった」(56歳男性/輸送用機器/その他技術職)

■「貯蓄型保険」

・「出ていく額が大きい割にはリターンが弱い」(48歳男性/設計/メカトロ関連技術職)
・「正直、低金利の今では必要のない運用」(53歳女性/専門商社/事務・企画・経営関連)
・「初期投資が必要な割に、利益がほとんど出ないと感じる」(53歳男性/政府系・系統金融機関/公共サービス関連)

■「金投資」

・「価格の乱高下が激しく、運用には向かないと感じた」(31歳男性/精密機器/IT関連技術職)
・「金ではなくプラチナに投資したが、金のように大幅な上昇がなかったため、投資期間に比べ利益が少なかった」(60歳男性/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)

■「外貨預金」

・「つかむタイミングが良くないと、低迷期が長い」(53歳男性/ソフトウェア・情報処理/事務・企画・経営関連)
・「円安になる前に、高いうちに売ってしまった」(64歳男性/その他電気・電子関連/IT関連技術職)

■「iDeCo」

・「アクティブファンドを選択して下落してしまった」(56歳男性/繊維・アパレル/事務・企画・経営関連)

■総評

年収1,000万円以上のマイナビニュース男女会員に、「現金以外の資産を保有しているか(資産運用を行っているか)」を聞いたところ、80.8%と8割以上が「資産運用を行なっている」と回答した。

資産運用を始めたきっかけは、「退職後・老後の資金に充てたいため」(73.4%)、「今の生活にゆとりを持ちたいため」(42.1%)、「単に収入を増やしたかったため」(34.1%)がトップ3に。開始のタイミングとしては、「30歳以上40歳未満」(32.5%)、「20歳以上30歳未満」(24.5%)、「40歳以上50歳未満」(22.0%)で約8割(79.0%)を占めている。

行なっている資産運用としては(複数選択可)、1位「株式投資」(39.6%)、2位「投資信託」(20.4%)、3位「NISA」(13.9%)が上位となっている。

最も失敗したと感じる運用方法では、半数以上が「失敗したと感じる資産運用方法はない」(54.8%)と回答。その理由として、「分散投資」「長期保有」「余裕資金」「少額投資」「ローリスク・ローリターン」などのキーワードが目立った。

また、2位以下では、2位「株式投資」(10.8%)、3位「FX」(9.6%)、4位「投資信託」(6.5%)、5位「不動産投資」(3.7%)と続いている。

上記のうち「株式投資」は資産運用法として最も多くの人が手がけており、その分失敗の経験者も多くなるのは必然だろう。その点、行なっている資産運用では9位に過ぎなかった「FX」(2.8%)が、失敗経験では3位(9.6%)となっているのは興味深い。

反対に、3番目に実行者が多い「NISA」(13.9%)は、失敗したと感じる資産運用方法では同率6位(3.4%)にとどまっており、相対的に安全な投資といえるかもしれない。

今回の調査では、年収1,000万円以上の人は大多数が資産運用を行なっており、運用方法としては4割程度が「株式投資」を選択していることがわかった。半数以上が「運用には失敗していない」と回答しており、現状では多くの人がうまく資産運用を行なっているといえそうだ。

調査時期:2024年9月24日
調査対象:年収1,000万円以上のマイナビニュース会員
調査数:400人
調査方法:インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません