東京・広尾のモダンべトナミーズ「Ăn Cơm」(アンコム)では7月1日から、水が主役の特別なペアリングコース「ホタルが認めた水のコース」の提供をスタートする。
ペアリングの主役となるのは、ホタルが出現した年にしか製造しないという日本酒「語蛍」。ベトナム料理と日本酒という、一見ユニークな組み合わせは、果たしてどんなシナジーを生み出すのか、一足早く体験してきた。
「語蛍」は、三重県の元坂酒造が、取水地の宮川に蛍が現れるのを確認したあと、仕込み水に宮川の水を使って製造する日本酒。日本酒づくりにもホタルの生息にも不可欠な水の重要性を伝え、日本の原風景を守るという思いから誕生した。
宮川の水は、ミネラル分が溶け込んだ軟水で、酵母の発酵には不利。しかし元坂酒造では、過度な発酵をせずにゆっくりと米を溶かすことで、柔らかな甘みを生み出しているそう。
元坂酒造の元坂新平専務取締役は「ホタルは周辺の水質環境にとても敏感。ホタルがいることは水質が担保されているということになる。ホタルが水利きをして、ホタルが生息できる水質のいい水にこだわった」とこだわりを語った。
過去にはミシュラン・ビブグルマンも獲得したアンコム・梅村建之氏が監修したコースは、アミューズ「宮川水源の仕込み水」から始まる。グラスには酒造りに使用している仕込み水が注がれ、軟水の柔らかい甘みとのど越しを感じることができた。
仕込み水のあとに語蛍を味わうと、フルーティーで華やかな香りが鼻に抜けていく。和三盆のような透き通った甘さは、「ホタルが好む水」に近い味わいを表現しているそうだ。
続いて前菜は「海老の生春巻き 大台町産茶葉と練乳のソース」。野菜と海老がたっぷりまかれたボリューミーな生春巻きだ。ソースには、宮川を水源として作られた三重県・大台町の緑茶と練乳、少量の唐辛子を使用しており、控えめの練乳の甘さがエスニックさを演出したあとに、唐辛子のピリッとした刺激があとを引く。
生春巻きにソースをたっぷりとつけほおばったあとに語蛍を飲むと、爽やかな風味が辛みをまろやかに抑えてくれ、また違った味わいの華やかさを楽しめる。
メイン料理は「鮎の揚げ春巻き」。宮川でとれた鮎をライスペーパーに包んで揚げることで、サクサクとした食感とふわふわの鮎の身を堪能できる。そして、脂が乗った鮎のしっかりした食べ応えが、酒の甘さを引き立たせる。
ミンチ状にした鮎の内臓を鮎の腹に仕込んでおり、苦味と旨みの絶妙なコントラストも印象的な一品だ。
今回提供された語蛍は、元坂酒造の公式サイトにて販売中。アンコムの「ホタルが認めた水のコース」は7月1日から鮎のシーズンが終了する7月中旬までの提供予定だ。
それぞれの詳細は以下の通り。
■語蛍
- 内容量:720ml
- 価格:4,800円
- 原材料名:米(国産)・米麹(国産米)
- アルコール度:15度
■ホタルが認めた水のコース
- 提供内容
1.宮川水源の仕込み水
2.海老の生春巻き 大台町産茶葉と練乳のソース
3.鮎の揚げ春巻き
- 価格:3,000円
- 提供開始日時:7月1日
- 予約は特設サイトから申し込み
- 1日のコースの提供数には限りあり。
- 提供期間に関しては、食材がなくなり次第終了予定。
・提供店舗:Ăn Cơm