2024年3月に発表された「地価公示」によると、千葉県の商業地の地価上昇率は+3.7 %です。中でも特に地価が上がっているのはどの地域なのでしょうか?
今回は国土交通省の地価公示をもとに、千葉県内の商業地の地価上昇率を駅別に発表します。さらに、地価上昇の背景について、鑑定評価書の情報を用いて分かりやすく解説します。
千葉県・商業地の地価上昇率ランキングトップ20(2024年版)
千葉県の商業地において、2024年1月時点で地価の上昇率がもっとも高かったのは「幕張豊砂」(千葉市美浜区豊砂1番4)でした。
次いで2位は「新浦安」(浦安市美浜1丁目6番4)、3位は「行徳」(市川市行徳駅前2丁目17番3)です。
千葉県の北西部が上位ですべて10%超え
上位20の地点はすべて千葉県の中心的な商業地である北西部エリアで、いずれも10%を超える地価上昇率を記録しました。千葉市や浦安市のほか、船橋市は6地点、市川市は7地点がランクインしています。
北西部は東京都に近く、都心へ勤務する方も多く住んでいるエリアです。東京都の地価上昇を受け、近隣の千葉県の商業地も地価が大きく上昇していることがわかります。
ここからは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書を基に、上位の地域の特性について見ていきましょう。
なお、鑑定評価書の表記は地番や住居表示がベースになっていますが、この記事では分かりやすくするため最寄り駅で表記します。
幕張豊砂
1位となった幕張豊砂は、27.1%と大幅な地価上昇率を記録しました。その背景にあるのは、JR京葉線の新駅が2023年に開業したことです。
鑑定評価書には「新駅が令和5年3月に開業し、対象地の前面道路は駅前通りとなった。また、周辺でホテルの建設も予定される等発展の方向で推移するものと予測されるため、地価水準は上昇傾向と予測される。」とあります。
千葉県内にJR東日本の新駅が誕生するのは25年振りで、混雑緩和や利用者の回遊性向上の実現を図る取り組みです。
新浦安
2位に入った新浦安の地価上昇率は17.8%です。東京ディズニーリゾート・パートナーホテルである「オリエンタルホテル 東京ベイ」のすぐ近くに位置しています。
鑑定評価書によると「事務所ビル、マンション等が建ち並ぶ商業地域で、地域要因に特段の変化はなく、今後も同様の商的環境を維持するものと予測する。」とあります。
観光需要もあり、ここ数年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、現在は回復傾向にあります。
行徳
3位の行徳駅前の地価上昇率は17.1%です。駅前を中心とした商業地域で、建物の1階には飲食店が多く入っています。
鑑定評価書には「建替えの際に上層階は共同住宅とするものが多くなっており、マンション用地としての需要は高まっている。」とあります。
流山おおたかの森
5位の流山おおたかの森は、人口増で注目を集めた流山市の商業地です。流山市は住宅地の上昇率ランキングで上位を占めました。
鑑定評価書 には「流山おおたかの森駅周辺は近年商業施設の開業が相次いで繁華性が高まり、地価は上昇傾向で推移している。」と表記されています。
中高層ビルや低層の店舗等が多い駅前の商業地域で、大きな変動要因はなく、当面も開発が進んでいくと考えられます。