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【答え】マクラーレン ホンダ「MP4/5B」
マクラーレン「MP4/5B」は「フォーミュラ1」(F1)で活躍したレーシングマシンです。16戦15勝という歴史的な勝利数を誇った「MP4/4」をベースに設計されました。1990年には、故アイルトン・セナが「MP4/5B」を駆って2度目のタイトルを獲得します。ただ、このマシン、ドライバーからの評価は必ずしも高くはありませんでした。
その原因は、ホンダ製の1.5L V型6気筒ツインターボを搭載していた車体に同じくホンダ製の3.5L 自然吸気V型10気筒を搭載したからだと言われていますが、鬼才と言われたゴードン・マレーからニール・オートレイへのデザイナー変更も影響していると考えられます。
MP4/5Bは伝説的な「セナ・プロ対決」を象徴する存在としても有名です。
1990年の「F1日本グランプリ」におけるアイルトン・セナとアラン・プロストの対決は、鈴鹿だけでなくF1史上でも語り継がれる名勝負となりました。両者の接触でシリーズチャンピオンが決定したのは2年連続でした。しかし、それは表面上の話に過ぎません。
1989年の激しいタイトル争いの中、FIA会長のバレストルは、シーズン後半から露骨にプロストに肩入れする発言を繰り返し、それに不快感を示したマクラーレンとホンダは共同声明を発表します。
同年の日本GPでセナとプロストが接触した際には、介入権限のないバレストルがスチュワードの裁定に介入し、トップでチェッカーを受けたセナを失格処分とし、プロストの3度目のタイトルを決定させます。この越権行為は非難を浴びましたが、結果が覆ることはありませんでした。
マクラーレンはFIAに提訴するも、FIAは控訴を却下します。さらに、審理とは無関係な「危険な走行」を理由に、セナに執行猶予付き出場停止と罰金の厳しい処分を追加します。この理不尽な処罰には、セナに必ずしも賛成していなかった関係者でさえも驚愕したと言われています。
セナはオーストラリアGPで会見を開き、裁定の不当性を強く訴えます。
シーズン終了後もバレストルはセナに罰金の支払いと会見で行った発言についての謝罪を要求し、拒否すれば翌年のスーパーライセンスを発給しないと表明します。実際、一時はエントリーリストからセナの名が消えましたが、マクラーレンとホンダの説得でセナは謝罪し、リストに復帰します。セナは、この戦いで味わった屈辱を生涯、忘れることはなかったはずです。
一連の出来事はF1ブームに沸く日本で「フランス至上主義のバレストルによるプロスト贔屓」との報道を招き、ブラジルGPでは観客による抗議行動も発生しました。翌1990年の日本GPでも、バレストルはセナの要求を却下し、接触事故の裁定に介入してセナを処罰しようとします。後任のモズレーも、バレストルのスチュワードへの介入を不当な越権行為と批判しています。
この時のセナの要求は理にかなったものでした。
鈴鹿のポールポジションは伝統的にイン側(ピット寄り)でしたが、走行ラインは外側のため、当然のことながら路面グリップが低くなります。過去2年、スタートに失敗していたセナは、ポールポジションのスタート位置をタイヤラバーが乗るアウト側(スタンド寄り)に変更するよう、水曜日から要求していました。
運営側は一度は同意しましたが、バレストルがこれを認めず、セナはイン側からのスタートになります。そして、これが接触の直接的な原因になったと考えられています。鈴鹿のポールポジションは1991年からアウト側(スタンド寄り)に変更され、セナの要求が正しかったことが証明されました。
このことからも、セナVSバレストルがセナVSプロストに置き換わっていることがわかります。アラン・プロストは通算4度のドライバーズチャンピオンを獲得した天才で、セナをもってしても簡単に勝てる相手ではありませんでした。ライバル同士の確執や接触は、時代やカテゴリーを問わず見られることで、改めて冷静に考えてみると、ここまで大袈裟にする話ではなかったはずです。
しかし、セナVSバレストルは、ブラジル人のアイルトン・セナとヨーロッパ中心主義のバレストルとの戦いであり、ホンダに対して発した「F1にイエローはいらない」という言葉も有名です。今年の鈴鹿では、日本人の角田裕毅がトップチームのレッドブルのシートを獲得しましたが、このような背景を知ると、その価値は想像を遥かに超えることがわかります。
それでは、次回をお楽しみに!
監修: 旧車王(https://www.qsha-oh.com/)
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