BMWモトラッドジャパンが「BMW R12カスタム・プロジェクト」によって誕生した4台のカスタムマシンを公開した。スタイルの異なる4組のカスタムビルダーが丹精を込めた個性爆発の「R12」は、どれも見どころ満載。どんな仕上がりなのか実車を確認してきた。

  • BMWモトラッド「R12」のカスタムマシン

    BMWモトラッドのバイク「R12」が

「R12」ってどんなバイク?

HAMANS CUSTOM、MOONEYES、TRIJYA、CHIRIHAMA SANDFLATSという日本を代表する4組のカスタムビルダーが参加した「BMW R12カスタム・プロジェクト」。カスタムのベースとなった「R12」は、BMWモトラッドブランドの90周年を記念して2013年に登場した「R nineT」の後継モデルだ。

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  • 「R12」は「ライディングモード」やクラッチ操作をしなくてもシフトチェンジが可能な「シフトアシスタントプロ」など最新の電子デバイスを標準装備するモデル。サイズは全長2,210mm×全幅830mm×シート高754mm、販売価格は198.6万円からだ

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    搭載するエンジンは最高出力70kW(95 ps)/6,500rpm、最大トルク110Nm/6,000rpmを発揮する1,169ccの空・油冷2気筒ボクサーエンジン

R12にはクラシックロードスターである「R12 R nineT」という姉妹モデルも存在するが、今回のプロジェクトにはクラシッククルーザーのR12が選ばれた。なぜなのか。

この点についてBMWモトラッドジャパンのマーケティングマネージャーを務める中根智彦さんは、「フロント19インチ、リア16インチのホイールを履かせてクルーザーらしいゆったりとしたシートポジションを実現したR12の車体形状が、カスタマイズの選択肢を無限に広げるため」と説明する。

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    新設計の1ピース式チームチューブラーフレームを採用する「R12」。分割式を採用する「R nineT」と比べてリアサスペンションが大きくレイダウンしたことで、路面追従性が高まり、乗り心地も大幅に向上している。エアクリーナーボックスのレイアウト位置も変更されていて、全体的にシンプルな車体構造だ

中根さんによれば、R12はドラッグバーハンドルやリアエンドトリムなどのパーツを付けるだけで簡単にボバースタイルに変身させられる一方、アメリカンクルーザーのようなカスタムも受容するなど懐の深いバイクだ。これはオーソドックスなR12 R nineTにはないR12ならではのアドバンテージであり、その懐の深さがビルダーのイマジネーションを掻き立てるというわけだ。

完成した4台のカスタム車両を実車確認

ここからは4台のカスタム車両を紹介していきたい。1台目はHAMANS CUSTOMが手がけた「EL Viento」だ。

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  • カフェレーサーをテーマにモダンかつ前衛的なスタイルをメタルワークで表現した「EL Viento」

エクステリアで印象的なフロントエンドは、デュアルヘッドライトとハンドメイドしたライトカウルの組み合わせ。タンクからシートカウルにかけてはシームレスな面構成とし、シートレールのワンオフと合わせてエアクリーナーボックスを新造した。これにより、スチールチューブラーフレームとボクサーエンジンの存在感を際立たせるスタイリングを実現。カラーリングに流行色のアースカラーを取り入れているところもポイントだ。

続いて、2台目はMOONEYESの「MOON Arrow」。

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  • スピード感をテーマに、近未来感のあるマシンに仕上げた「MOON Arrow」

ハイライトのひとつである足回りにはBMW「Kシリーズ」用の前後ホイールを流用し、その両側に軽量かつ空力性能に優れるムーンディスクをセット。他にも、パラレバースイングアームのリアエンドに合わせてフロントブレーキシステムは右側のみにするなど、足元を印象的に演出する工夫が見られる。また、極限までロワードした前後のサスペンションとバランスさせるように、タンクとシートカウルもミニマム化。ボクサーエンジンの造形をいかしたフロントカウルは曲面で、テーマのスピード感を表現しているそうだ。

3台目はTRIJYAの「Legal Weapon R12」。

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  • 「合法的に楽しめるR12」をコンセプトとする「Legal Weapon R12」

4台のなかでノーマル色を最も色濃く残すLegal Weapon R12。タンクはノーマルをベースに両サイドに立体加工を施し、サイドカバーとシートカウルはモダンな印象を引き立てながら洗練されたスタイルにまとめた。大きな特徴になっているのが、将来の市販化を見越してパーツ制作がなされているところ。車体のアイキャッチでもある前後ホイールのワンオフをはじめ、Dr.ジキル & Mr.ハイドのマフラー、YSSの特注サスペンション、AELLAのハンドルなど、国内のトップコンストラクターとコラボしたニューパーツをふんだんに採用している。それらを全てボルトオンで仕上げているのも見どころのひとつだ。

最後の4台目がCHIRIHAMA SANDFLATSの「R12 Sand Speeder Mark Ⅰ.」。

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  • サンドドラッグマシンに求められるファクターを車両各部に落とし込み、ビーチドラッグマシンに生まれ変わった「R12 Sand Speeder Mark Ⅰ.」

長いボトムケースが特徴的なフロントフォークは、スタンダードから約2インチ延長。上下のステムは削り出しによるものだ。タンクからシート、シートカウルへと流れるボディラインの大胆な造形は、燃料ポンプやバッテリーを移設することで実現させた。砂浜で暴れるマシンを確実に押さえこめるようにと、ハンドルやシートなどのライディングポジションもタイトにまとめている。これまでに石川県・千里浜のビーチドラッグレースで数多くのウイニングマシンを生み出してきたCHIRIHAMA SANDFLATSならではと言える1台だ。

カスタムマシンの今後は? 佐伯GMに聞く

それぞれが個性的に生まれ変わったR12だが、カスタムマシンの今後は? BMWモトラッドジャパンの佐伯要GMに話を聞いてみた。

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    自らの猛プッシュもあって実現した「BMW R 12カスタム・プロジェクト」を振り返り、「このポジション(GM)になれて良かったと思っています」と話した佐伯さん

――完成した4台が並んでいますが、「BMW R 12カスタム・プロジェクト」はいかがだったでしょうか?

佐伯さん:私はあまり、仕事で「ああしろ、こうしろ」とは言わないようにしていますが、今回のプロジェクトに関していえば、言ってよかったと思っています(笑)。実際、ビルダーさんとお話ししても、すごくポジティブなコメントをいただいていて、そう意味でも、メーカー側の自己満足ではなく、双方にとっていい企画になったことは非常に嬉しいですね。

――カスタム車両の今後は?

佐伯さん:これで終わりではなく、実際に一般のユーザーの方にも見ていただける機会は作りたいですね。ビルダーの方、おそらくMOONEYESさんは年末の「ホットロッドカスタムショー横浜」に展示されるのかなと思いますが、BMWモトラッドとしても何か考えていきます。

――例えば、9月7日(土)と8日(日)に開催される「BMW MOTORRAD DAYS JAPAN 2024」とかでしょうか?

佐伯さん:「BMW MOTORRAD DAYS JAPAN 2024」には日本初公開の車両をご用意していますが、カスタム車も合わせて見ていただくのもいいですね。皆さんから楽しみにしていただいているイベントなので、いろいろと盛り上がる方法を考えていきたいと思います。