ホスティング(レンタルサーバー)とクラウドの違いとは?それぞれのメリット解説

ホスティング

サーバーを利用する選択肢として「ホスティング(レンタルサーバー)」と「クラウド」の種別があります。両者はどのように違うのでしょうか?またそれぞれの具体的なメリットやデメリットは何でしょうか。この記事では、両者の違いについて明確にし、どちらを選ぶのが最適なのか、様々なケースに応じて考えてみました。

サーバーを構築する方法

ここでは、サーバー構築とは何かと、その方法について解説します。

1、サーバー構築とは

「サーバー構築」とは、ネットワーク上で特定のサービスを提供するために、データを配信するサーバーを設定して環境を作ることです。サーバーには様々な種類があり、電子メールを配信するメールサーバーや、ホームページなどを構築するためのWebサーバー、時には必要に応じてデータベースサーバーなどが必要になります。

2、サーバーの構築方法

サーバー構築作業は、一般的にはサーバー構築技術を持つIT企業が構築しています。しかし個人や企業でサーバー機器を独自に購入して構築したり(オンプレミス)、事業者と契約してサービスの提供を受けたり、機器やディスクスペースをレンタルしたりすることによって構築することが可能です。

ホスティングとクラウドの違い

サーバーには、ホスティングとクラウドの2つのタイプがあります。それぞれの違いを見てみましょう。

1、ホスティングとは

「ホスティング(レンタルサーバー)」とは、原則としてサービス企業が提供する1台の物理サーバーを、複数のユーザーが共有して利用する形態です。これについては1つの物件を複数の店子(ユーザー)が借りているシェアハウスを考えるとわかりやすいでしょう。

1台の物理サーバーのスペック(CPUやメモリー)を多くのユーザーが共有し、それぞれの部屋(例えばWebサイト)で運用します。共有スペース(リビングルーム)もあります。

※通常は1台のサーバーを複数ユーザーがシェアしますが、1社が丸ごと1台借りられる専用サーバーをホスティングするプランもあります。費用はやや高めになっています。

2、クラウドとは

「クラウド」も複数ユーザーで1台のサーバーを利用します。

ホスティング(レンタルサーバー)ではシェアハウスを例にしましたが、クラウドでは、それぞれのユーザーの部屋がもっとはっきりと分かれています。シェアハウスよりも、より独立性が保たれているホテルやマンションのイメージです。自由度はホスティングより高くなります。

ホスティングのメリット4つとデメリット3つ

ホスティングには、メリットとデメリットがあります。それぞれをよく理解して、サーバーを選びましょう。

1、メリット

・コストが低い
自社でサーバー機器を購入して用意する場合よりはるかに安く構築できます。サービスによって価格は幅がありますが、数百円/月から始められるサービスもあります。

・運用負荷が低い
専門知識のある人材や、エンジニアを揃える必要がなく、要求される技術レベルの負荷が低いことも特徴です。トラブル発生時やアップデート時にもサービス提供会社に任せられますので、コンテンツに集中できます。

・短時間でスタートできる
早い場合には、契約してその日のうちにサービスを開始することも可能です。コストの低さとも連動して、スタートのハードルが低いことは、ホスティングの大きなメリットです。

・一定のセキュリティが保たれている
脆弱性対策やハッキング対策など、基本的なセキュリティは保証されているので安心です。

2、デメリット

・他のユーザーの影響を受ける
同じサーバーを利用しているユーザーに過負荷ユーザーがいると、その影響を受けて自分のサーバーの動きも重くなることがあります。これを避けるために前述のようなサーバーの1台丸ごとプランを選択することもできますが、コストはその分高くなります。

・カスタマイズがしにくい
契約プランごとに、想定するスケールや用途、サービスがパッケージ化されているものが多く、ユーザー側でこれらをカスタマイズすることは基本的にはできません。ニーズにマッチしなくなれば解約して、他のプランを契約する必要があります。

・サポート体制
多くのユーザーに低価格でサービスを提供しているので、サポートのトラブル対応が遅くなる傾向にあります。

クラウドのメリット4つとデメリット3つ

ホスティングと同様、クラウドサーバーにもメリットとデメリットがあります。

1、メリット

・コストが安い
時間単位でサービスの提供を受けることができるなど、自社サーバーより安価で同レベル以上のサービスが受けられます。特に開発時など24時間のサーバー稼働は必ずしも必要ない場合は、日勤帯などに稼働時間を限定することもでき、コスト節減も可能になります。

・運用上、ユーザーが望む適切な状態にサーバーを保つことができる
モジュールやライブラリーの更新や、時にはOSのアップデートまで、契約ユーザー自身が、運用上の判断で希望するタイミングで自ら実行できるサービスもあります。これにより、常にユーザーが望む適切な状態にサーバーを保つことができます。

・カスタマイズがしやすく拡張性が高い
メニューがパッケージ化されているホスティングに比べて、同じ契約の中で自由に機能を拡張したり、必要なサービスを選んで追加したりできます。

・導入や運用に関する技術担当者の負担軽減
アップデートやメンテナンスはサービス提供企業と技術ノウハウを共有しています。そのため、自社で対応すべき部分のみ対応し、提供企業に任せるべきところは任せるなどの柔軟な運用が可能です。

2、デメリット

・自社サーバー(オンプレミス)に比べカスタマイズ性が低い
クラウドは、ホスティングよりもサーバー構築の自由度は高いですが、ハードウェア構成に至るまで100%自由に構築できる自社サーバー(オンプレミス)には劣ります。

・セキュリティ対策の一部はユーザー側で行う必要
ソフトウェアの選択やリソース全般の自由度が高い反面、ある程度のセキュリティ対策は、ユーザー側で行う必要があります。

・一定の技術知識が必要
ホスティングに比べると、構築に対する高水準の要求に応えてもらえますが、その分使いこなすユーザーに要求される技術水準も高くなります。

選ぶならホスティング?クラウド?選ぶポイント3つ

ではサーバー構築を考える時に、どちらを選んだらいいのでしょうか。判断する際のポイントについて整理してみました。

1、サーバーの用途

まずサーバーをどのような用途に使うのかはっきりさせる必要があります。

・サーバーの種類(Webサーバー、メールサーバー、その他)
情報発信のみのWebサーバーなのか、メールの稼働も必要なのかによって選択は変わります。ホスティングサービスでは用途を限定しているものもありますが、クラウドでは柔軟に対応できます。

・構築にかけられる時間
スピーディに立ち上げられるのは、何と言ってもホスティングになります。

しかし、一定以上の技術的知識や経験があるユーザーならクラウドでもそれほどの時間を要しません。

2、提供するサービス

・トラフィックや接続ユーザー数
ホスティングはプランごとに上限を設定しているものが多くあります。クラウドはスケールアップすることにより、大幅なアクセス増や一時的な増強にも対応できます。

・要求されるセキュリティ水準
細かなアラート機能やチェックプログラムを備えているか否かは、ホスティング選択の基準になるでしょう。クラウドの場合には、運用しながら自分で実装してセキュリティ水準を上げて行くこともできます。

・拡張の可能性
サーバーへの要求リソースやスケールが今後も大きく変わったりしないならホスティングで十分でしょう。変動する可能性が大きい場合にはクラウドをお薦めします。

3、管理スキル

・経験の有無
ホスティングプランは、経験がなくても比較的容易に始められますが、クラウドの場合には運用経験がないと最初は戸惑うでしょう。

現在、知識や経験がないとしても、勉強しながらカスタマイズも試しつつクラウドを運用していきたいか、それよりも、ホスティングを利用して一刻も早くコンテンツを発信することを優先するかによって選択は変わります。

・社内技術者の有無
ホスティングは技術者がいなくても問題はありません。

クラウドの場合、利用ユーザーに経験や知識がないのであれば、社内あるいは相談できる範囲に技術的知識のあるメンバーがいたほうがいいでしょう。

サーバー構築の目的や計画を明確にして適切なサービスを選択しよう

サーバー構築にあたっては、ニーズに応じて「ホスティング」か「クラウド」かを選択します。

それぞれの特徴やメリット、デメリット、注意すべき点があります。まずはサーバーを構築する目的や今後のサービスの計画を明確にしましょう。そこから要求されるアクセスやリソース、カスタマイズ予定の有無、自社の人的リソースなどを十分考えてサーバーの種類を選ぶことが望ましいでしょう。

ホスティングサービスを検討する場合は、ぜひ各社サービスの資料を請求し、比較検討してみてください。

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